24話 スラと陽菜の3人で買い物2
ブランド物がある場所に向かう前に、部屋着売り場を発見。
「いいか、スラ。部屋着は高校生にとって制服の次に着る機会が多い衣類だ。ここは重要」
「さっきも似たこと言ってたよね?」
「そうだっけ?」
スラはセール品の500円で売ってるTシャツやら安いジャージをいくつか見繕いカゴに入れた。
「部屋着はOKです!」
「もっと良い服を選んだらどうだ?別に俺の金じゃないんだからもっと可愛いの選んどけよ?」
スク水とか売ってないだろうか。
ぜひ部屋着として使っていただきたい。
「店員さん、この子に合うサイズのスクール水着とか売っていますか?」
「も、申し訳ありませんが、ここでスクール水着は取り扱っていません」
「そうですか。じゃあ、メイド服とかは売っていますか?」
「も……申し訳ありません」
品ぞろえの悪い店だ。
後で通販で買っておこう。
そういえば、今朝スラ(美少女化)を初めて見た時、スラは俺好みのスクール水着をベースにしたような魔法少女の衣装を着ていたな。
気になるぞ、気になるぞあのちょっとエッチな服。
紳士に聞いてみよう。
「スラ殿」
「何かね?なお殿」
「今朝、スラ殿が着ていたあのコスプレについて詳細キボンヌ」
「あれはコ……コスプレじゃないんだよな~。デュフフ、あれは機械女神の戦闘服みたいな物ですぞ~」
「戦闘服?夜の戦闘服って意味でございますねキター!」
「夜だけではありません!昼でも朝でも24時間ずっと装備できます!」
マジレスされてしまった。
俺の言った意味がどうやら伝わってないようだ。
「この戦闘服の防御において全属性の魔法に対応してます。また強力なパッシブスキルやアクティブスキルも搭載できる機能も持ってるのですが……」
突然スラがしょんぼりした。
「まだボクには早いと言うことで初心者用の構成しかくれなかったのです。なので簡単なスキルしか搭載されていません」
「ほう、例えば?テンプレ的に考えるとリジェネとかオートガード、魔法反射とか?」
「喉が渇くとおいしい水が自動生成されるパッシブスキルとか、時間を指定するとその時間に起こしてくれるアクティブスキルとかです……。後、本当にピンチの時は警告してくれるアラートシステムもありますが……ピンチは嫌です」
予想以上に地味だった。そりゃあ、しょんぼりする訳だ。
おいしい水が作られたって直接戦闘に関係ないし、時間指定で起こしてくれるスキルとか、ただの目覚まし時計じゃねーか。
「なお君も地味だと思いますよね!ボクだってリジェネとか欲しかったです!『君がボクに5千のダメージを与える間にボクは秒間1万回復している!とか言いたかったです!」
「『どうした?オートガードが発動していて貴様が攻撃していることにすら気づかなかったぞ!ふははは!』っとかも良いよな!」
「ですよね!」
陽菜が呆れたようにしながら話に割って入る。
「あの~……盛り上がってるところ悪いんだけどさ、ちゃんと服選びの方もやってよね」
「陽菜にはそうだな、『敵に負けて捕まったときに絶対○○○なんかに負けたりしない!』っとか自動で言っちゃうパッシブスキルとかどうだ?」
「そんなのいらないわよ!」
そうか、似合ってるとは思うんだけどな。
案外生存率上がるかもしれんぞ?
◇◇◇◇◇
「ナオ~、こんな服私欲しいな~とっても欲しいな~」
「ぐっ……ブランド服なんかに俺の財布が負けたりしない!」
ついにブランド物がたくさんある所に来てしまった。
陽菜はニヤニヤしながらTシャツをねだってきている。
「なんだTシャツか」
俺は安堵する。
明らかに高そうなバッグとかだったらどうしようかと思ったがその心配はなさそうだ。
Tシャツなんて布切れだろ?
さっきスラが買ったTシャツがセールで500円。
通常時で1000円としてブランド物だから普通のTシャツよりも2倍高いとして……たった2000円!
そのくらいなら俺の自腹でも余裕だな!
「まぁ、そんな布の服をプレゼントするだけで許されるなら安いものだ。で、お値段は?」
この前買ったラブライブのカラーTシャツは5000円。
陽菜がねだってきたこのTシャツなんてどこからどう見てもラブライブTシャツより地味で安っぽい。
どんなに計算が狂っていて500円を超えることはない――……えっ!?
「なん……だと……?1万……8千……!?」
こんな布切れに1万8千!?
いつの間に日本はこんなインフレしてしまったのだ!?ぼったくりじゃん!?
だけど、ここでうだうだ言うのも男らしくない。
良い意味で考えたら金髪美少女にセクハラをした示談料が1万8千円と思えばとても安い出費なのだ!
がんばれ俺!貢いで応援!
「……もっと良い服を選んだらどうだ?別に俺の金なんだからもっと可愛いくて高いの選んどけよ?(震え声)」
頼む!このTシャツで勘弁してくれ!
これ以上高くなると、しばらくスラの飯のおかずを一品減らして調整しないといけない!
……まぁ、スラのおかずが減るくらいどうでもいいか。
「へ~もっと良い物、選んでもいいんだ~?」
陽菜がニヤニヤしながら上目遣いで聞いてきた。
「ええで(白目)」
無理無理。
スラに助けてとアイコンタクトを送る。
俺の金が減ると言うことは少なからず夏野家の財政状況に影響するんだぞ?
ここで助けてくれないと、晩御飯のおかずだけじゃなくて、おやつのお菓子も減らしちゃうぞ?
「うにゅ?えへへ~」
目が合ってもニコニコしているだけだった。オワタ。
「じゃあ~これにしちゃおうかな?これ買ってください」
陽菜が新しい物を持ってきたようだ。
どこまで釣り上げられちゃうんだろう?
やだな~怖いな~。
陽菜が手に持っている商品を確認するとアクセサリーだった。
「……」
き、貴金属キターー!!オワターーー!!
震えが止まらない!もうスラの飯を削ると言う次元ではなくなってしまった!
これハウマッチ?これハウマッチ?
「10万円くらいか……?」
「そんなにしないわよ。千円の安物ブレスレットよ」
「あqswでfrgtyふじこlp;!!」
「はいはい。落ち着きなさい、千円よ千円」
「……え?マジ?本当に千円?千ドルじゃなくて?」
「そんな高いもの買ってもらう訳ないじゃん?」
この金髪が滑らかに輝く神々しい女神に見える。。
今すぐひれ伏して陽菜の足を舐めたい。
別にいつでも舐めたいが。
「ほら、スラも欲しいんでしょ?スラの分も買ってもらうから2個分ね」
スラは腕を組んで、
「別にボクは欲しくはないんだからね!」
「……なんでツンデレ発動してるのよ?ツンデレは金髪の専売特許よ」
スラを見ると明らかに欲しそうにそわそわしていた。
「ああ、スラの分も買ってやるぞ?」
「いいのですか!?やったー!」
俺はブレスレットを2個レジに持って行き購入した。




