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21話 初めて教室でまともに会話した相手は……スラだった

 「んふ~!どやぁ~」

 

 1限目が終わると同時にスラがトコトコと寄ってきて、いきなり俺に対してドヤ顔してきた。

 ゲームや漫画のテンプレでは転校生がくるとその転校生を囲んでわいわいと質問大会が行われる。だが、入学2日目ではそういうイベントは発生しなかった。

 さて、言いたいことや聞きたいことは山ほどあるがここは冷静にクールに対応しよう。周りの目だってあるしな。


 「どうやって入学してきたんだよ?機械女神とやらの力でも使って洗脳でもしたのか?そんな事できるんだったらエッチな洗脳を陽菜に!陽菜に!陽菜に!」


 おっとつい熱が入りすぎてしまった。突然の陽菜連呼に隣の男子学生Aは少し俺から遠くに席をずらした。

 

 「そんなズルはしてません!正々堂々と理事長様に交渉して入学することができたのだ!」

 

 「……勝手なことを」

 

 「ふふん、なお君に言ってもダメだって言われることくらい分かってます!」

 

 「よく分かってるじゃないか。なら5年前に買ってきたドッグフードを今日のスラの晩飯にすることも分かるよな?」

 

 「……ドッグフードはご勘弁」

 

 スラは体を震わせてぷるぷるした。

 

 「交渉って言ってもどう交渉したらこんな裏口入学みたいなことできたんだよ?」

 

 「裏口入学とは失礼です。ちゃんとなお君と同じ入学試験を受けてばっちり合格してます!」

 

 「ははっ、受ける~!スラちゃんごときが俺と同じ入学試験を受けて合格?無理だって、スラちゃんバカな子だから合格点の総合100点以上なんて取れるわけ……いや、スラでも正攻法で合格点をとる方法はあるな……。じゃ、じゃあさ、戸籍とか住民票とかはどうしたんだ?それにほら、金とか結構かかるだろう?」

 

 「なお君と同じで特待生っでお金は全額免除なのです!ちゃんと家計のことも考える優秀なスラちゃんです!」

 

 またスラはあざといポーズをとった。

 

 「そのあざといポーズ、異性にはすごくモテモテだけど同姓にはすっごく嫌われるタイプだぞ」

 

 「裸一つで次元を超えてやって来たスラちゃんの世渡りの上手さがあれば大丈夫なのだ!それと戸籍とかは理事長が省略してくれました!機械女神の事はとても詳しく知ってたので話がとても早かったです!」

 

 「ふぅん、そうかそうか。……は!?理事長は機械女神のことを知っていたのか!?」

 

 え?何だって?と難聴系主人公がよく言いそうな事を思わず言いたくなることをスラが言いやがった。

 何者だよここの理事長。確かにスラのスライムの時の状態は近所の人に知られている。だが、機械女神の事に関する情報は俺だって今日知ったことだぞ?

 

 「って事はつまり、スラ以外の機械女神が地球にいてそいつが理事長に情報を伝えたって事だよな?」

 

 「う……う~ん、まぁ……そうです」

 

 「一体何匹くらい地球に不法入国してるんだ?」

 

 「ノ……ノーコメントで……」

 

 「なぜに?」

 

 「その~……ボクたち、社外研修で地球に来たと言いましたが、実は地球に来たら駄目なんです」


 「駄目?」


 「うにゅ。地球を発見した時、現地の人間とは一切関わらないってみんなで決めたのです。つまり今地球に来てる機械女神は言わば約束破った脱走社員です」


 大丈夫かよ機械女神!何が機械女神の職場はアットホームな職場だよ!脱走してきてるじゃねーか!


 「スラ自身のことに関しての質問に答えるけど、一緒に抜け出した仲間の情報は喋らないってことか?」


 「ですです。と言っても一緒に抜け出した訳ではなくて、それぞれが上手く脱走したのでボク自身どれだけ機械女神が脱走してるのかは知りません。後、捕まっちゃうとてもきついお仕置きをされちゃいますので仲間の事はたとえなお君にも喋りませぬ」 

 

 「きついお仕置き?例えばどんな事なんだ?」


 飼い主の俺にすら仲間については喋らないとなると、下手したら死刑レベルの罰が下る可能性があるってことなのかもしれないな。

 もしそうだったら、俺は全力でスラを守らないといけない……か。


 「罰としてご飯のオカズが1品減らされたり、花に水やり当番とか暇な仕事が増えます!」


 大丈夫かよ機械女神!案外アットホームだったよ!生ぬるいじゃねーか!


 「どっちにしろ捕まったら本国?への強制送還だろ?地球に留まりたかったら捕まらないように心がけるんだな」

 

 「それは大丈夫です!強制送還にはなりません!」

 

 「えっ?」

 

 「多分捕まえにきた先輩方も仕事放棄して地球に居つくと思います!帰っても何もなくて暇ですから!」

 

 確かあれだろ?人間が戦争で生き残るために機械女神創ったんだよな?

 こんな適当な奴らがその時の人類の希望かよ。すごく可哀想に思う。


 「そんなことよりなお君!いつものように膝の上に乗っていいですか!」


 スラが唐突にスキンシップを求めてきた。

 

 「駄目です」

 

 「じゃあ、スリスリしていいですか!」

 

 「駄目です」

 

 「……せめて、頭なでなでしてください!」

 

 「駄目です」

 

 「しょんぼり……」

 

 「いいか、教室で男女がそんなスキンシップとるなんて不純異性交遊なんだぞ」 

 

 「男……女?……それはつまり!なお君はボクのことをスライムじゃなくて女の子と捉えてるってことですね!やったー!」

 

 「いや……俺はそういう意味じゃなく――……」

 

 「んふふ~なおく~ん。そう照れなくてもいいんだよ?ほら、スラちゃんに好きなだけ甘えてもいいんだよ?おいで!」


 スラは両手を前に広げてきた。

 イラッ!


 「グーグル先生に聞いてみるか……ドックフード、通販、安い」


 「なんでですかー!」

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