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19話 友達作り再挑戦

 ふりふりと手を振るスラに見送られて玄関を開けると陽菜が待っていた。まさか今日もステンバイしてたとは。


 「あ、おはよう。早くしないと遅刻するわよ。ほーら、駆け足、駆け足」


 「うーす。何で今日もいるんだ?俺のことが好きで待っていたのか?通い妻か?」


 「本当に早く行かないと遅刻しちゃわよ」


 「陽菜、愛しているぞ。今履いてるパンツくれたら婚約指輪やるよ」


 「ほら急ぐ急ぐ」


 華麗にスルーされている。そんなエロ同人によくある存在感が消されてしまって女の子を好きにできるシチュエーションみたいな事するんだったら、思う存分その大きなおっぱい揉んでやるぞ?

 

 「……ところでさ、ナオが玄関開けた時にコスプレしてる水色の髪の女の子がいたけど……大丈夫?」


 「何を心配してるんだよ、失礼な。あれはスラだ。あの姿が本来の姿で実はスライムじゃなくて機械女神なんだってよ」


 「ふ~ん、そっか」


 あっれぇ~?

 陽菜の性格だったら「頭大丈夫?」とジト目で言われるか「何それ、詳しく聞かせて!!」と興味津々になるかの2択だと思ったのに。

 あの女の子がスラだと言って全く動じてる様子はない。


 「はぁ……これから大変になるわね。何事もなく学校生活を送れると良いんだけど……」


 「え?大変になるって何が?俺の学校生活に何か問題が出るの?」


 「もうすぐしたら分かるわ」


 「もったいぶらないでくれよ~。長い付き合いだから俺のこと分かるだろう?回避できるめんどくさいことは事前に手を打って回避したいんだ」


 「もう手遅れよ。ナオにできることは何もないわ」


 まじすか。手遅れなら仕方ない、心構えだけして待ち構えておこう。



 ◇◇◇◇◇

 

 

 始業のチャイムギリギリで席に座る。先生はまだ来ていない。さて、サクッと友達100人作ってしまうか。


 「しまった!もっと早く登校してクラスメイトと話す時間を作るべきだった~!あ~もったいないことした~!」


 ちらっ。

 左隣に座っている男子学生Aをガン見しながら喋る。


 「でもまだ先生来てないから話す時間は少しはあるかな~!きっとあるよな~!?」

 

 「……」


 スッ


 顔を背けられてしまった。

 そんなコミュ障だったら社会に出た時に苦労するぞ?仕方がないなぁ~コミュ障の男子学生Aに手本を見せてやるか!

 今度は右隣の座っている男子学生Bをガン見しながら喋る。

 

 「ああ~暇だわぁ~!俺、超暇だわぁ~!人と会話したい気分だわぁ~!」

 

 「……あの」

 

 「何だ?」

 

 来た、ついに来た!何だか苦虫を噛み潰したような表情をしてるがファーストコンタクトなんて大体そんなもんだろう。

 さぁ何でも喋りかけてこい!数十秒後にはきっと楽しい雑談で話を弾ませてやる!

 

 「今日、いい天気だね」

 

 「ああ、そうだな」

 

 「……」


 「……」


 「……すぅー」


 会話が止まった。会話なんて言葉のキャッチボール。俺がどんなに上手い球を投げようとも投げ返されなかったらそこで終了。つまりこいつもコミュ障だったって事か。

 仕方がない。ここは小学生の時、学級委員まで務めたこの俺がもう一度投げ返し安い最高のボールを投げてやろう。


 「昨日この机舐めてみたんだどさ、やっぱ進学校の机って味がするんだよ。お前も舐めてみろよ?」

 

 「いや……結構です」

 

 「だよなぁ~!机舐める奴なんてどうかしてるよな!」


 「はは……」


 男子学生Bは乾いた笑いをしていた。心なしかこれ以上俺と関わりたくないって雰囲気を出しているような気がする。もしかして、俺がコミュ障なのか?

 大丈夫、大丈夫だ。安心しろ俺。友達を確実に作る作戦をちゃんと練ったじゃないか!今こそ作戦に移る時だ!

 

 「ところでさ、あの金髪の女の子……陽菜って言うんだがどうよ?可愛い?」


 「えっ……まぁ~……そうですね一般的な観点からすると可愛い部類じゃないでしょうか?」


 男子学生Bは顔を真っ赤にして答える。


 「そんな初々しい君に俺と隣の席になった記念にこれやるよ」


 「何ですか……?」


 俺は今日の為に準備してきた一枚の写真を手渡す。

 

 「陽菜の着替え写真。R-15くらいだな」


 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 ふふっ……これで男子学生Bの心は鷲づかみだ。ありがとう陽菜。おかげで友達が1人作れた。


 「……没収」


 「うわあああああああああああああああああ!!」


 突如現れた陽菜に写真を取り上げられてしまった。随分タイミングが悪い時に来たな!


 「何するんだ陽菜!男の夢を取り上げるなんて酷すぎるぞ!返してやれ!」


 「酷くないし返さない。てか何でこんな写真持ってるのよ。盗撮で退学になりたいわけ?……うわぁーこれどうやって盗撮したのよ?帰ったらセコムさんと契約しないと……」


 陽菜は自分の寝顔が写ってる写真をまじまじと見る。ただの寝顔写真ではない。パジャマのはだけ具合的にR-15レベルの特別な写真だ。


 「盗撮とは心外だな。その写真は買ったんだよ」


 「買った?誰から?まさか……!」


 「スラから。300円分の駄菓子で契約してゲットした」


 「そう……へへっ、あのスライム後で〆るわ」

 

 よっしゃ!これでヘイトはスラに向かったで!スラちゃん何度弾け散ってもへっちゃらだから良いタンクになってくれるで!


 「それとナオもね……」


 おおっと、俺にもヘイトが来てる。止めてくれよ、俺は後衛の紙耐久力なんだぜ。


 「……待て待て、明日、俺の着替え写真をやるからそれで相殺しようぜ?な?」


 「うん、分かった」


 まさかの陽菜の了承を得る。自分で言っておいて何だが何でそれで相殺できるんだ!?

 

 「嫌です。恥ずかしい」

 

 「私だって恥ずかしいわよ!」


 結局、写真は返却されずに友達も作れなかった。

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