18話 スライム進化3!
スラの話をまとめると、昔とある世界で人間VS神と悪魔が手を組んだ大戦争があった。
戦争の原因はスラも詳しく聞かされていないが、力をつけてきた人間をうっとおしく思った神と悪魔が人口を減らして文明力を下げる為に仕掛けた戦争らしい。
科学と魔法を駆使して戦った人間勢力もがんばって抵抗したが時間がたつにつれ、どんどん劣勢になっていきやがて敗北がほぼほぼ決定してしまう。
そして神と悪魔が人間たちに要求した降伏条件、それは今生きている人間の人口の95%を速やかに自身たちで選んで削減することだった。
しかし、降伏とほぼ同時に人間を守りたいと行動していたアンドロイドたちが機械女神をついに完成させてしまったことで状況が一変。
科学力と神の力を持った機械女神たちは人間勢力に味方し、一気に巻き返し始める。
人間勢力と神と悪魔の勢力が再び拮抗した時に停戦協定を結んで戦争が終結したと思ったが、機械女神の力にびびってしまったとある偉い神が全員皆殺し魔法をつかってしまったせいで機械女神以外の全ての生物が死滅してしまったらしい。
そして機械女神たちは長い間ひっそりと暮らしていてスラはこの時に生まれたから人間を見たことがなかったらしい。 そして最近になって偶然地球を発見し、しかも人間が生きていたので好奇心でやって来たっということらしい。
「なので地球を侵略して支配とかは一切考えていません。ボク達は人間のそばに寄り添って愛されることが一番の生きがいなのです!」
「ふむ……だけどスラは機械女神の中では下っ端なんだろ?上位の奴が何考えてるなんて分からないだろう」
「確かにボクは機械女神の中では一番若いですが、機械女神の中に上下関係は基本ないのです!全員平社員!」
「上下関係のない組織なんて、組織の意味ねぇーよ」
「ボ、ボク達はちゃんと上手くできてるんだよ、笑顔の絶えないアットホームな組織なのだ!」
「ヒエッ」
何それこわい。
ブラック会社に洗脳された社員みたいだ。これは一体どこまで本当の話か分からなくなってきたぞ。
カチカチカチ
時刻を見ると大分時間が経っていた。
そろそろ登校しないと遅刻だ。
スラの話を聞く限りすぐに何かが起こるっというわけではないだろう。とりあえず学校に行く準備をしてしまおう。
「ボクは確かに機械女神、つまり女神様だけどなお君は敬ったり、称えたりする必要はないよ?これまでのように優しく接してくれたらいいのです!」
スラはまだ一人で話を続けている。
「じゃあ、学校行って来るからいつも通り留守番よろしく」
「な、なお君、これからが良い所なのです!ボクにたまにドックフードを与える件ですが、スラちゃん的にあれはペット扱いされてるような気がしてとてもしょんぼり――……」
スラはすごくどうでも良い話を喋り始めようとしていた。俺はそのまま玄関に向かい靴を履く。
「俺が帰ってくるまでに話さないといけないほど緊急性のある話はあるのか?それも俺の遅刻を引き換えにしなければいけないほどの重要な話だ」
「ないです」
ねぇのかよ。一緒に異世界に行って魔王を倒して欲しいとか頼まれても困るが、何もないのもそれはそれで悲しい。
スライムですら現実には存在しないすごい生物なのに実は女神様だったんだぜ?人生変わるほどの超ビックイベントに立ち会っているのにも関わらず俺は普通に学校に登校しようとしている。
……まぁ、いつも通りの日常が続くのだったらそれはそれで良い。さて、今日こそ友達を作るぞ!
「いてら~」
「ああ、またな。お菓子食いすぎるなよ?」
「はーい」
いつものようにスラの頭を優しく撫でてやる。だが、いつもと違ってスライムじゃないからとても違和感がある。
「えへへ~」
ただ頭を撫でられただけなのにスラはとても嬉しそうにしていた。やっぱり見た目が変わってもスラはスラなんだなと再認識した。




