表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/184

165話

 ホームルームが終わり放課後になる。

 ついにこの時がやって来た。

 

 「さぁ陽菜。さっそく個撮だ。赤神ちゃんの家に行くぞ」


 「個撮って表現がいやらしそうだから行かない。てか何で赤神の家?」


 「今回は陽菜に撮らせてほしいと頑張って交渉したが、陽菜が頑なに断って撮影NG。仕方ないから代わりとして赤神ちゃんを撮らせて欲しいと交渉しに行くといったシナリオにする。だから陽菜には手を出さないから安心して欲しい」


 「ふーん。本当に私にはセクハラしない?」


 「ああ。信用できないなら付いて来なくても構わないぞ?今の俺の瞳のレンズには赤神ちゃんしか写ってない」


 「ふーん……」


 ウキウキな俺は高まる気持ちを抑えきれず、ほふく前進で女子トイレ近づき、その女子トイレをローアングルからパシャパシャと撮影の練習。

 それに比べて陽菜は何だか少しだけしょんぼりしてるような気がする。

 セクハラ対象から外れたのだからもっと喜ぶか安堵するのだろうと思っていたのだが、何でしょんぼりしてるのかよく分からん。

 そして何で周囲にいる女の子たちが俺に向けて軽蔑の眼差しを送っているのかも分からない。


 「全く、女の子ってのは何考えてるのかよく分かりませんなぁ」


 「私はこの男の子が何してるのか分からない」


 「撮影の練習だ。ムラムラして気付いたら勝手に身体が動いてた」


 「撮影の練習も兼ねてお巡りさんに捕まった時の自供の練習もしてるなんて天才ね。ほら、さっさと行くわよ」


 「うい」


 陽菜が周りの女の子たちにうちの者がご迷惑をお掛けしましたとペコペコ頭を下げ、俺の腕を掴んで引っ張った。


 「さて、このまま赤神ちゃんの家に向かう前に……」


 これから楽しい事が起きそうだとわくわくしながら黙って様子を伺っていたスラに向かって言う。


 「スラはこのまま真っ直ぐ家に帰って留守番な」


 「なっ……何でボクだけお留守番なのですか!?」


 「個撮の邪魔してきそうだから」


 「ボクはずっとなお君の味方です!邪魔なんてしません!それに陽菜ちゃんが良くてボクがダメなのは不公平です!」


 「悪いとは思ってるが何と言われようと連れて行く気はない」


 「なっ……!?」


 この後、しばらくスラの激しい抵抗にあったが、ずっと前から行きたそうにしていた回転寿司に連れて行ってやると約束してやる事で不服そうにしてはいたが何とかなだめる事に成功。

 そのまま家に帰ってもらった。

 のけものスライムにしてしまったのは少し可哀想だが今回の作戦にスラはとても脅威となる可能性がある。

 連れて行くのはリスクが高かったのだ。

 そんな訳で俺と陽菜の二人で赤神ちゃんの住むアパートに到着。

 ドアをノックするとミニスラちゃんがドアを開けてくれた。

 自宅じゃないのにミニスラちゃんはいつものようにお帰りの舞で出迎えていた。

 きっといつもの癖なんだろう。


 うねうねうね


 「ん?ミニスラちゃんが2匹いる……」


 俺が来たらドアを開けるようミニスラちゃんに言っていたが、ここに2匹いるのは想定外だ。


 「昨日俺と極秘の契約を交わしたミニスラちゃんはどっちだ?」


 片方のミニスラちゃんがぴょんぴょんと跳ねてアピールする。

 そのミニスラちゃんを拾い、手に乗せて話しかけた。


 「昨日の今日でいきなりだがちょうど良いタイミングが来たんだ。これより作戦を実行する。作戦が無事成功したら特別報酬としてまたあのレタスをご馳走しよう」


 むにゅむにゅ


 足にスライムの感触がしたから見下ろすともう片方のミニスラちゃんが紙を見せてきた。


 「なにするの? ぼくもれたすたべたい」


 「えっ? ……えーと……」


 どうやらこっちのミニスラちゃんは極秘の契約については全く知らないらしい。

 このミニスラちゃんとも極秘の契約を交わしても構わないが、昨日はかなり交渉に手間取ったからな。

 何せ赤神ちゃんのヘイトを受ける役になってもらうのだ。

 なかなか難儀な交渉だったし、この作戦にミニスラちゃん2匹も必要ないからなぁ。

 このまま無視してもいいが思わぬアクシデントを引き起こす可能性もある。

 一体どうしたものか。


 ぴょん


 すると手に乗っていたミニスラちゃんが飛び降りて紙のスペースに文字を書いた。


 「ひみつ♡」


 「そんなー」


 うねうねうね


 ミニスラちゃんたちがテレパシー会話に移ってしまって何を話しているのか分からない。

 だが、きっと上手くやってくれるだろう。

 そう信じてる。

 うねうねしたりくっついたりしてるミニスラちゃんたちを横目に靴を脱いで部屋に上がる。

 赤神ちゃんはいなかった。

 まだ仕事中だろうから帰って来るまで待たせてもらうか。


 「陽菜もそんなところで衣類タンスの守護者になってないでもっとくつろいだらどうだ?」


 「怪しー。目を離した瞬間、赤神の私物がナオのヨダレまみれになりそう」


 「ヨダレならまだ可愛いもんだろ。お子様レベルだ。いいか? 普通の変態ならそこはヨダレじゃなくて白濁ーー……」


 「あーあー聞こえなーい。聞こえなーい」


 陽菜は両手で耳をふさいで聞こえないアピールをする。

 俺はこのチャンスを逃したりはしない。

 更なる猛攻をかける。


 「俺の声が届かない今こそあえて言おう! ずっと前から陽菜の事が大好きだ! 愛してると言っても過言ではない!」


 「聞こえーー……っ!?」


 「人の気遣いができる優しい陽菜が大好きだ! 結婚したらとても幸せな生活を送れるだろうな!」


 「…………」


 「ああ、陽菜と結婚する為なら俺はきっと何だってできる! 全てを賭けても陽菜が欲しい!」


 陽菜は両手で耳をふさぎつつも顔を真っ赤にさせてメスの顔になっている。

 まんざらでもない様子。

 ここから上げて落とすぜ!


 「そして! 結婚と言えば性生活だ! 毎日陽菜を裸に剥いておっぱいを思う存分弄くり倒しーー……」


 「なっ!? き〜こ〜え〜な〜い〜っ!!」


 「もちろんおっぱいだけではない! お尻や太もも、そして当然ーー……」


 「ぎ〜ご〜え〜な〜いっーー!!」


 「はっーはっはっはっ!! さぁ愛を語り尽くしてやる!!」


 「お前ら……人の家で何やってんだ?」


 振り返るとそこには冷たい目をした赤神ちゃんがいた。

 どうやら一部始終を見られていたようだ。


 「おかえり。お邪魔してます」


 「いや、本当に邪魔だ。さっさと帰れ」


 「そういう訳にはいきません。今日は学校で話せない大切な話があって来たんですから」


 「あ? 大切な話?」


 「赤神先生……あなたは人間じゃない。スラと同じ機械女神だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ