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161話

 軽快なスキップをしながら廊下を渡る。

 赤神ちゃんの弱みを握る方法を考えなければいけないのに、俺の頭は弱みを握った後のお楽しみを妄想してしまう。

 既に俺の脳内の赤神ちゃんは目をパートにさせながら俺に愛情のスリスリをしてくる段階にまで達していた。

 陽菜はぐふふと笑う俺の姿をジト目で見ながら、


 「で、どうやって赤神の弱みを見つけるの?ついでに言うと私は巻き込まれたくないから絶対に暴露しないわよ?」


 「その必要はない。考えがある」


 「考え?」


 「そうだ。今までは赤神ちゃんにとって都合が悪いだろうから暗黙的に知らないフリをしてたし、これからもずっと知らないフリでいこうと思ってたんだがな。だが、今こそ赤神ちゃんの致命的な弱点をあえて攻めていこう。赤神ちゃんと結ばれるために」


 「……その致命的な弱点って?」


 ニヤリと笑みを浮かべながら陽菜に目を合わせる。

 俺が次に言う言葉を聞いた陽菜の反応で赤神ちゃんにとって本当に弱みになるかどうかが分かるはずだ。

 「赤神ちゃんは人間じゃない……スラと同じ、スライムだ」


 「……へぇ〜。……そう」


 「…………」


 「…………」


 「……そ、そのさ。な、何でそう思ったの?」


 陽菜はまるでキョドるのを無理やり抑えるような感じになっている。

 もうその反応だけで十分だ。


 「今まで散々自分自身でボロ出して自爆してるじゃん。むしろあれで隠し通せると思ってるほうがスゲーよ。なぁ、陽菜?」


 「そ……そう?いつものナオの勘違いじゃない?」


 「いや、確信している。だが今は状況証拠しかない。それだけで赤神ちゃんを脅すにはちょっと弱いのが現状だ。だから今から赤神ちゃんがスライムだという証拠をゲットする」


 「……赤神はあれでも学校の先生よ?仕事で忙しいのだから迷惑かけるような事は止めておいたほうがいいんじゃない?ほら、暇つぶしだったら私が遊んであげるからさ」


 陽菜が少し恥ずかしそうにしながら俺の方に向けて両手を広げてる。

 その誘ってるポーズに惹かれて思わず陽菜に抱きついて、おっぱいに顔を埋めたくなるのをぐっと我慢する。


 「……はぁはぁ……危なかった。思わず陽菜の恍惚魔法に引っかかってしまう所だった。ふははっ、そこまでして俺に赤神ちゃんがスライムだと言う証拠を掴まさせたくないのか?」


 「そ、そういう訳じゃ……」


 「残念ながら陽菜がどんなエロい方法で俺を誘惑しようが無駄だ。今の俺のセクハラ対象は赤神ちゃんだ。なんとしても証拠を見つけて脅してセクハラする!」


 陽菜に堂々と宣言する。

 その宣言を聞いた陽菜は止めようとするのを諦めて、小さくため息をついた。


 さて、まずは赤神ちゃんがスライムだと手っ取り早く分かる手段で探ってみよう。

 下駄箱まで来ると、俺たちを待ってるスラがいた。

 スラは俺たちを見つけるとすぐにニコニコしながら近くまで寄ってきて話しかけてきた。


 「これから時間ありますか?もしよかったら散歩しましょう!」


 「ああ、いいぞ」


 スラのほっぺを優しく撫でてやる。

 するとスラは俺の手にスリスリしてきた。


 「ん〜♡」


 スリスリ


 よし、完全にペットの顔になってるな。

 これなら余裕で捕獲できる。


 素早くスラの後ろに回り込む。


 ガシッ!


 「うにゅ?」


 ガッチリとスラの後ろから羽交い締めに成功した俺はそのままスラを人気がない所までズルズルと引きずる。

 さぁ尋問の開始だ。


 「回りくどく質問したってスラの頭の処理能力が追いつかないだろうから単刀直入に質問する。俺は赤神ちゃんが人間ではなくスライムだと思っている。赤神ちゃんはスライムか?ついでに言うと、ついこの間いた赤スライムの赤ちゃんが赤神ちゃんだと思うのだが?」


 陽菜が妨害がしてくると思ったが、俺の尋問をただ黙って様子をうかがっているだけのようだ。

 何を考えてるか知らないが好都合だ。


 「言えませぬ!」


 「え?今、何て言った?」


 スラのほっぺをぷにぷにして無理やり言わせる。


 「言えませぬ!」


 「ほう、飼い主に隠し事とは随分偉くなったじゃないか?スラの晩飯のおかずの選択権は俺にあることを忘れてないか?」


 ぷにぷに


 「どんなに脅されようとも絶対にそれだけは言えませぬ!たとえ一年間ご飯がドッグフードになることになっても言えませぬ!」


 「なっ!?一年間ドッグフードの刑になっても言わないのか!?」


 「前にも言いましたが、例えなお君でも地球に来てる仲間の情報は渡しません!なお君に教えた情報がどこからともなく警察スライムに伝わってしまうのを防ぐためです!強制送還されてしまいます!」


 「あー……なるほど、そういうことか。あったなそんな設定。でも今ってトップの黒が密入国してくるは、故郷にいるスライムが勝手にツアー組んで自由気ままに行ったり来たりしてるはでその設定、形骸化してるじゃん?だからもう暴露したって問題ないだろ?」


 「それとは別に赤神ちゃんから、ロクなことにならないから絶対になお君に言ってはダメだときつく釘をさされてます!なのでこの情報はセキュリティレベルSです!だからなお君にも話せません!」


 「……」


 スラがドヤ顔で言う。

 ……もう赤神ちゃんがスライムだって暗に言ってるみたいなもんじゃねーか。

 きっとスラはこれで本気で隠し通しているつもりなんだろうなぁ。

 セキュリティレベルSがあまりにもガバガバすぎる。


 陽菜はフフンと勝ち誇った顔をしながら、


 「スラを脅せば何とかなると思ってたのだろうけど残念だったわね。スラだってナオに言えない秘密の1つや2つくらいあるわよ」


 ……嘘だろ陽菜までこれで隠し通せたと思ってるのかよ。

 こいつらが馬鹿なのか?

 それとも俺が馬鹿にされてるのか?


 「まぁいい。初めからスラの証言だけで赤神ちゃんを脅そうとは思ってないしな。それだと達成感ないし」


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