16話 スライム進化!
「まぁせっかくだから親睦を深める為に飲みに行こうず!」
「あ?」
友達作りをがんばろうと意気込んでいたが一瀬先生に拉致され夜中までドライブだの居酒屋だのに付き合わされた。
開放されたのは深夜1時。
疲れた俺は家に帰るとすぐにそのまま寝てしまった。
結局、入学式で作れた友達0。
今日は1人くらい作らなければ。
さぁ、とりあえず朝飯食って気合を入れるぞー!
そういや昨日スラに関してすごい事があったような気がするが何だっけ?寝起きで頭が回らねー。
むしゃむしゃ
「おはようございます!」
「あっ……ああ。おはよう」
知らない女の子が俺の家でご飯を食べながら挨拶をしてきた。
「んふ~!」
何故かは知らないがその女の子はドヤ顔で俺を見ている。
水色の長い髪で年齢は俺より年下のJCくらいだろうか?つまりロリだ。
親戚にこんなのいたかどうかは覚えてないが、それよりもこのロリの格好がおかしい。
スク水をベースとしたような未来的な服装のようなコスプレをしている。
体のラインがはっきりと分かるし、露出度もなかなかあってよろしい。
おっぱいはーあまりないな。ロリだから仕方がない。今後の成長に期待だ。
「失礼ですがどちら様でしょうか?」
「ふっふっふっ~ん!なお君にはボクのことが分かりませんか!分かりませんよねー!」
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
「もっとボクのこと見てもいいんですよ?なお君こういう服、大好きですよね!」
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
「そんなに緊張することはないんですよ?いつも通り優しく触ってください!」
「……」
お互い言いたい事を言ってるせいで会話がまるで成り立っていない気がする。2ちゃんねるかよ。
「……え?」
その女の子はとことこと俺の隣まで寄ってきたと思えば、いきなり体を密着させスリスリしてきた。
女の子からの積極的なスキンシップに大興奮――と言いたいところだが、この声は聞き覚えある。昨日の朝玄関で聞いた声だ。
って言う事はまさか――!!
「お前スラか?スライムがあまり調子に乗るなよ?」
「ご……ごめんなさい」
「えっ、マジでスラかよ!?」
4年以上飼っていたペットのスライムが美少女になっていた!
◇◇◇◇◇
本当はスラを椅子にでも縛り付けながら尋問でもしたいがあまりもゆっくりしていると学校に遅刻してしまう。
仕方がないから朝食を食べながら尋問を開始する。
もぐもぐ。
「で?結局お前何者だよ?」
「スラちゃんです!」
あざといポーズをしてドヤ顔で答えるスラにイラッとする。
「そうか、スラはまともに会話をするのは今日が初めてだもんな。もっと分かりやすい質問に変えよう。お前は人間に化けたスライムなのか?それとも人間なのか?どこから来たんだ?」
「だからボクはスラちゃんです!」
「すぅー……」
俺は箸を置いてスラの所まで寄って行って後ろから抱きかかえる。
「な、なお君!もうスラちゃんルートですか!分かりました!ハッピーエンドまでがんばり――……ふぎゅ!?」
そしてスラに関節技を決める。
「まともに俺の質問に答える気がないなら先に言えよ?手っ取り早く終わらせるようにがんばって協力してやるから!」
「ご……ごめんなさい!痛いです!痛いです!」
スラがタップする。少しだけ緩めて最後のチャンスをくれてやる。
「昨日は、友達どころかまともにクラスメイトに声を掛けることもできなかったんだ。今日の俺は機嫌が悪いぞ?どうする?ちゃんと答える?」
「答えますぅ~!」
「よろしい。だけどな、登校時間まであまり時間がないんだ。次はぐらかしたらずっとスラに餌はやらないからな?野に放ってやる」
関節技をかけるのを止めて飯を食うのに戻る。
「なお君、いつも言ってるじゃないですか!頭を空っぽにして何も考えずに美少女にイチャイチャしたいって!だからボクがその夢を叶えてあげようとしたのにひどいです!」
「だから人間の姿になったのか?」
「んー……それはちょっと違います!」
何を思ったのかスラが机の上にあがって、そして俺を見下ろした。
「スライムの姿は時空移動をする時の省エネもーど!ご飯を食べて力を取り戻したこの姿が本当のボクの姿なのだ!」
スラは大してボリュームのない胸を張りドヤ顔であざといポーズを決めて言った。