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144話

 赤ちゃんは明日の準備があると言う事で早々に帰ったが、黄色と緑の2匹のスライムは晩御飯のカレーを食った後、俺のベットで就寝。

 このままスラみたいに居座られたら食費がかさむなぁと思っていたら『楽しかった!また来ます!』と書き置きを残して朝にはいなくなっていた。


 なんにせよ、これで一件落着。

 ここ最近ずっと一緒に登校している陽菜に他愛もない話題として昨日の出来事を話す。


 「……また誘ってくれなかったぁ……。私もカレーパーティー行きたかったぁ……。……私の事、嫌いなの……?」


 「いやいや、俺は嫌いどころか愛してるぞ?別に昨日はミニスラちゃんが作り置きしてたカレーを温め直して食っただけだからパーティーと言うほど何かした訳じゃねーよ」


 「う〜……なんか納得できないけど、まぁ今はこれからの問題を解決する方が先よね……よいしょ」


 「何か問題があるのか?困ったら何でも言えよ?陽菜、愛してるぞ?」


 「……はいはい、私の方がもっと愛してるわよ。後、困るのは私じゃなくてナオよ。はい、これ」


 陽菜はカバンを渡してきて、それを受け取る。

 大きさの割には大して重くはなかった。


 「も、もしかして!今後、何があってもいつでも俺の家に泊まれるようにと、陽菜の着替えを預かってて欲しいとか!?一応、防犯のためにカバンの中身確認していい!?もちろん、任意だから。やましい事がなかったら見せれるよね?はい、中身確認しまーす!…………って、まさかの赤ちゃんかよ。どう言うことだ?俺に赤ちゃんの育児をしろってことか?」


 カバンの中身は赤色のスライム。同じ色のスライムは何匹もいるのは知ってるが、きっと流れ的に赤ちゃんだろう。

 渡してきた陽菜に説明を求めようと思ったら、

 

 「クスクス……ナオ……クスクス、そのスライムの事、赤ちゃんって読んでるの?……クスクスクス、赤ちゃんの育児……だめ、笑っちゃう」


 草不可避って感じに必死に笑いを堪えていた。

 どうやら笑いのツボに当たったらしい。

 スラが慌てて陽菜に言う、


 「ひ、陽菜ちゃん!その事は昨日、黒様にいじられ済みですのでこれ以上は……!」


 「赤ちゃんって自分で名乗ったの?……クスクス、それともナオが名付けたの?」


 スラだと答えようと思ったら、スラは半分放心状態になっていた。

 きっと、この後の自分の運命を予想したのだろう。

 しやーない、助けてやるか。


 「この赤色スライムが自己紹介してくれないから便宜上、赤ちゃんって呼ぶしかないんだよ。赤スライムって呼ぶのも長くて面倒だからな。で、この赤ちゃんどうするんだ?スラの時みたいにカバンの中から学校見学か?」


 「はぁ……はぁ……。……ふぅ。この前、ナオがスラをカバン入れてその都度、アドバイスをもらって友達を作ろうしたじゃない?」


 「結局、やってはないけどな。……まさか――」


 「そう、スラがその事を赤ちゃんに話したら、だったら協力してやるよって事になったらしいわよ?」


 「……協力してくれるのは嬉しいんだけどさ、そのっ、大丈夫なの?」


 赤ちゃんはわざわざ筆談が見やすいようにしたのか、ホワイトボードを持っていて、そこに書き込んで返事をする。


 「まかせとけ。だけど陽菜は覚悟しておけ」


 「なぁ、本当に大丈夫なの?凄く不安なんだけど?」


 「まかせておけ、陽菜は必ず泣かせる」


 「既に目的からズレてるんですけど!?俺の友達作りに協力してくれるんだよな!?」


 陽菜がやれやれといった感じで言う、


 「まぁ、こんな好戦的な性格だけど、機械女神の中では黒と同じようなリーダー的な存在だから何とかなるんじゃない?最悪、アドバイスを無視すれば良いだけなんだし」


 「陽菜ってさ、やっぱりこいつらの事についてかなり詳しく知ってるよな?それもスラから聞いたのか?」


 「も……もちろん、うん……ね、スラ?」


 「そ、そうです!この前、ボクが言いました!」


 「そ、そうだよねー」


 「ねー」


 ぎゅ


 スラと陽菜は手を恋人繋ぎのように繋いで、スラと陽菜の主張に間違いはないのだとアピールしてくる。


 かきかき


 その光景を見た赤ちゃんがホワイトボードに書き込む


 「そんなにいちゃいちゃしたいんだったら、またラブホテルでアヘるか?」


 「だからあれはイッてもないし、アヘってもないって!……あっ」


 陽菜はここが外だと言う事に気づき、顔を真っ赤にさせてうつむき、ぷるぷる体を震わせながら涙目になっていた。


 「見ろ、泣かせてやっただろう?」


 赤ちゃんは陽菜を泣かせたのだ。まさに有言実行。

 赤ちゃんはカバンのなかでうねうねして勝利宣言していた。


 「ほう……やるじゃないか。いいだろう。どうせこのままじゃ、友達作りは停滞なんだ。ここは赤ちゃんにかけてみようじゃないか!」



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