143話
さて、次はエロ画像を漁ってた黄色スライムを追い出してやろう、
そう思っていたら黄色スライムと緑色スライムはスラに回収されて大人しく抱きかかえられて無害化していた。
「そうですよね〜昨日の焼き鳥パーティはとても美味しかったです。焼き鳥が美味しかった理由としては素材の良さもありますが、ボクの焼き方が良かったのもあります!赤神ちゃんにも焼き鳥焼く機械にクラスチェンジしたら良いと褒められたほどです!」
スラが一人で楽しく喋っていたが、きっと抱きかかえてる2匹のスライムと会話しているのだろう。
「随分大人しくしてるじゃん。どうやって配達しようかと考えてたんだがそれなら必要なさそうだな」
「この先輩方たちは、なお君が故郷のトイレダンジョンで弾け散らしたスライムなので上下関係がちゃんと分かってるのです。ついでに言うと茶子ちゃんは不参加だったのでまだ上下関係が分かってないのです!」
「ほう、弾け散らしたら大人しく言う事聞くようになるのか。なら、この赤ちゃんも――ぶふっ!?」
ぼふっ
顔面にまた赤ちゃんのスライムアタック。
痛くはないがスライムに攻撃された事に精神ダメージ。
スラは赤ちゃんも一緒に抱きかかえようとしながら言う、
「赤ちゃんは機械女神の中でも、うにゅ!?」
ぼふっ
赤ちゃんが抱きかかえようとしたスラの顔面にスライムアタック。
どうやら俺だけ特別に嫌われてるとかじゃなく、赤ちゃんって言った奴を無差別に攻撃してるだけらしい。
「まぁ、ちゃんと大人しくするんだったらしばらく
滞在したって構わん。ムラサキも呼び戻したらどうだ?」
「ムラサキは元々、別行動で夜の高速道路のジャンクション見学をしに行く予定らしいので大丈夫です!」
「あいつ、地郷高速道路の料金所の料金収受員もしてたし、随分と渋い趣味持ってるな。まるでおっさんみたいだ」
「高速道路だけではなく、インフラ関係全般が好きなのです。放っておくと故郷のあちこちにスライム転送装置とか取り付けたりしてました」
「……地球で余計な事しないよな?大丈夫だよな?」
「ムラサキはボクたちの中でも常識あるスライムなので大丈夫だと思います!」
それ、超不安なんだが?今まで会ってきたスライムはみんな変なスライムしかいなかったんだが?
「本当に大丈夫なの?首都高に勝手にジャンクション造って地郷高速道路に繫げちゃたりしないよね?首都高走ってていきなり宇宙に飛ばされたとか起きないよね?」
「ムラサキはちゃんと安全安心の設計をするので大丈夫です!」
今、俺の精神力がごっそり持ってかれた。
スラさん、俺が気にしてるのそこじゃないから。
……もういいや、聞かなかったことにしておこう。
曲がりなりにもスラだって5年間、致命的な問題なく暮らしていけたんだ。きっと大丈夫だろう。
ぽりぽり
何か食ってる音がしてる方を見ると、赤ちゃんと黒がぴったり寄り添って柿の種をぽりぽり咀嚼していた。
……そういえば黒にはまだ試してなかった事があったな。
「えいっ」
ずぽっ
黒が柿の種を自分の口に(スライムに口はないが便宜上、口と呼んでいる)放り込もうと瞬間、人差し指を口に軽く突っ込んで見る。
「うーん、人肌くらいの温かい豆腐に指を突っ込んだ感覚……やっぱりスラと同じで歯はないか……ぶふっ!?」
ぼふっ!!ぼふっ!!ぼふっ!!
赤ちゃんから今まで以上に強いスライムアタック!しかも連続攻撃だ!
「ど、どうしたんだ!?いきなり!?」
「通訳します!『い、いきなり何やってんだ、てめぇ!?お前はあれか!?モテないからって、とうとう黒にすら手を出すロリコンになったのか!?スラで満足しとけこのロリコンめ!』」
「スラには何度も言ってるが、スライムを性の対象するほど俺は変態じゃねぇよ。歯がないのに柿の種をぽりぽりしてるから、もしかしたら黒には歯があるのかなぁって気になっただけだ」
ちゅーー
黒は俺の人差し指を吸っていた。
てか、黒はおばあちゃんみたいなイメージを持ってたがロリだったんだな。
流石にロリだと言われると美少女化した姿を見てみたい――……いやいや、騙されるな。
あくまでも赤ちゃんから黒を見たらロリなだけであって実際は分からん。
このまま知らないでおくのが一番幸せだ。
「なお君、なお君!今のボクはちゃんと歯がありますよ?何だったら確かめてみますか?あ〜んっ」
「ほれ」
スラが近くで口を開けて待機していたから、空いている手で柿の種をつまんでを放り込む。
ぽりぽり
ちゃんとした食べ物をスラにあげたのにも関わらず、珍しくしょんぼりした表情をしながらぽりぽりしていた。
ちゅーー
「おや?」
気づけば、黒に人差し指をかなり咥え込まれてちゅーちゅー吸われていた。
俺は指を引っ張りながら、
「はいはい、黒おばあちゃん、それは食べ物じゃないっすよ〜」
ちゅぽん
指が抜けた。
うむ、スライム液で溶かされてもない。無事だ。
ぽりぽり
そして黒は何事もなかったかのようにまた柿の種を食べ始めた。




