140話
秋葉原をブラブラと満喫した後、陽菜と別れてそのまま帰宅。
いやらしい意味で陽菜に手を出さなかった俺マジ紳士。
実際は、もし陽菜から『いいよぉ……スライムプレイしよぉ?陽菜をひっなひなにして♡』なんて返事が返ってきたらどうしよう、と妄想してる間に帰られてしまった。
うねうねうね
玄関に入るとミニスラちゃんが5匹でいつものお帰りの舞をしている。
「ただいまー。おっ、5匹揃ってる。ついに研修リタイアか?」
「" (・A ・) "」
「そんな顔文字で返事されても分からんがな」
うねうねしているミニスラちゃんを通り過ぎて、自分の部屋に戻る。
いつも秋葉原に行ったら必ず何かの薄い本を買ってるんだが、今日は陽菜に全力で阻止されたから買えなかった。
『18才以下のナオが入っちゃダメ!
犯罪よ!』とか言われても、不法入国してきたスライムを匿ってる時点で既に犯罪者みたいなもんだろうに。
「あの、なお君、部屋に入る前にちょっとよろしいですか?」
部屋に入ろうとしたらスラに引き止められる。
何だか焦りを隠したようなドヤ顔をしていた。
「先に言いますと、ボクもミニスラちゃんも、なお君と同じように何も聞いてませんでした!先輩方の独断です!」
「……ほう、俺の部屋に何をした?」
「あっ、そっその、そのですね……その……」
地球に存在するパソコンを全て合わせた演算処理能力を遥かに超える演算処理能力を持ったスラの頭のCPU使用率が100%になっている。
このまま問い続けても、やがて状態が『応答なし』になってフリーズするだけだろう。
「へいへい、とりあえず部屋に入って現状を把握してからスラ晩飯をどうするか決める。美少女化してからドックフード食ってないだろう?そろそろ、あの味が恋しい頃だろ?」
「せめてビーフジャーキーもおかずに付けてくれると嬉しいです……」
「ああ、ビーフジャーキーもたくさんあるから好きなだけ食え」
諦めの気持ちを持ちながら部屋に入る。
明日は学校だから、変なことに巻き込まれたくないんだよなぁー。
がちゃ
部屋を見渡す。
「……」
てっきり俺の部屋が無断でラブホテルみたいにリフォームされていたり、ダンジョンに繋げられていたりしてるんじゃないかと思ったが、いつもと全く変わっていなかった。
ぴょんぴょん!
うねうねうね
うにょーん
ただ俺の部屋に知らないスライムが5匹、のんびりしてるだけだった
「……まぁ、このくらいなら許容範囲内か」
いやいやいや、何で俺の部屋がスライムの溜まり場になっているの!?
「" ( ゜Д゜)ポテチうめぇー "」
緑色スライムは床でポテトをポリポリ食べながら俺の漫画を勝手に読んでいる!
俺のポテチ食べるなよ!?
「" (゜∀゜)キター "」
黄色スライムは俺のパソコンを操作して俺の集めたエロ画像フォルダを勝手にあさっている!
俺のお宝漁るなよ!?
ぴょん!ぴょん!ぴょん!
茶色スライムはベットの上で一心不乱で勝手にぴょんぴょん跳ねてる!
ホコリたつから無意味に跳ねるなよ!?
ごくごくごく
赤色スライムはせっかく補充した親父のビールを勝手に飲んでいる!
あ、それは俺には関係ないので好きにしてください!
ふきふき
紫色スライムは雑巾で俺の部屋を勝手に掃除している!
ありがとう!!
結論を言うと、こいつら勝手にめっちゃくつろいでる!!
……訳がわからん。
「何なんだこいつら?とりあえず殺虫剤でも吹きかけて追い出してみるか?」
「殺虫剤の耐性を持ったスライムに進化して、居座るだけです!」
「殺虫剤の耐性を手に入れてまでここに居座るのかよ。……で、なんで俺の部屋にいるんだ?」
「ふむふむ、どうやら地球観光ツアー中の先輩方です!なお君の部屋が勝手にツアーの日程に含まれちゃってます!」
「……ほう。だったら、ちょっと待ってろ。黒をここに持って来て、代わり叱ってもらおう」
そもそも本来のルールではこいつらは地球に来るのは禁止なはず。
だったらここは機械女神のトップの黒にけじめをつけてもらおう。
まだ黒の行動パターンを把握しきれていないが、きっと家のどっかで周りと同化してるだろう。
「黒様ならここで、ぼけーってしてますよ?」
スラは座布団に座った黒を拾い上げて抱きかかえる。
「なんだいたのか。機械女神トップなんだからルール破ってやった来たスライムどもに制裁でもしてやったらどうだ?」
黒に紙と鉛筆を渡すとさらさらと書いて返事をした。
「" ……んっ、むり "」
「黒様の意見に補足しますと、元はといえば、機械女神のトップの黒様自身がルールを破って地球に滞在して、しかもなお君のサブペットになってしまったのが原因らしいです!みんな我慢してたのに黒様だけずるいっと言うことで地球観光ツアーが企画されました!」
「……ツアーの日程ではいつまで俺の部屋にいるつもりなんだ?」
茶色スライムが黒が持っていた(浮かしていた)の紙と鉛筆をパクって俺の問に対する返事を書く。
「" +(0゜・∀・)まんぞくするまで!! "」
こいつらに日程とか予定とかなんて言葉は存在しなかった。
気分のおもむくまま行動する単純な生物だと言うことを再認識した。




