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138話

 ちゃりーん


 ういーん


 ぽとっ


 「うにゅにゅ……」


 既にスラは同じUFOキャッチャーに8000円投入している。

 下手くそなのもあるが、スラが狙っているのは人気アニメの『にっこにっこにー』フィギュア。

 こんなアニオタが喜びそうなフィギュアなんて一番辛く設定されている。

 多分、スラが自力で取ろうとすると後8000円は追加投入しないといけないだろう。 

 俺的には渡した100円硬貨分をどう遊ぼうと構わないが、スラはお金を気にしながらプレイしてるようだった。

 仕方ない。ここは俺がアシストして――……


 「そこの可愛いお客様!本日入荷!超絶人気のにっこにっこにーフィギュアに苦戦してる様子ぅっ!わぁ↑たぁ↓くぅ→しぃ↑『ハッピー浩太』がぁ!にっこにっこにーフィギュアの取り方を伝授してあげましょう~!」


 「うにゅ?」


 この店員、普段はビデオゲーム担当でいっつもやる気なさそうにカウンターでこっそりスマホいじったり、漫画読んだりしてるくせに、こっちだとこんなテンションになるのかよ!?

 人格変わり過ぎて怖いよ!?


 店員は鍵を使ってUFOキャッチャーのガラスを開けてながら、


 「アームを使って、こ↑こ↓。に、景品をちょんちょんと引っ掛けて、横にずらしてぇいくと~?あーイキソ!!景品取れてぇ、にっこにっこにー!!お客様ぁ、次の投入準備はOKズラ~?」


 スラの目線がメダルカップのお金に移った瞬間、店員はとても早い動作で景品を手でずらす。


 「OKズラ~!」


 スラは店員のノリに合わせるように答え、200円を投入する。

 

 ちゃりーん


 ういーん


 ぐぐぐっ


 景品が今まで以上に大きく動き、とれる寸前までの状態になる。


 「おおお!見てください!とても動きました!」


 スラのテンションが上がる。

 店員は同じテンションで実況するかのように場を盛り上げる。


 「ヨーソロー!これはもしかすると……もしかするとしれませんよっ!?ひょっとしたら次くらいで……!!がんばるびぃ!!」 


 「は、はいっ!」


 ちゃりーん


 ういーん


 ぽとっ


 「お客様、景品獲得ぅ~おぉ↑めぇ↑でぇ↑とぅ~!!にっこにっこにーフィギュア獲得ぅぅぅ!!!!」


 「おおおおお!!取れました!!スラちゃんやりました!!」


 「やったなスラ!!にっこにっこにー!」


 「にっこにっこにー!」


 スラはすごく嬉しそうに景品を大事そうに抱えている。


 「はい、なお君!なお君が欲しかったフィギュアです!」


 スラは景品を俺に手渡す。

 俺の為に取ってくれようとしたのか?

 まぁ同じ部屋にいるから俺の手元に来ようがこの景品の扱いは変わらないとは思うが……まぁ、いいや。


 「じゃあ、もらっておくか。ありがとな」


 なでなで


 「今日のなお君は何だかとても優しいのだ~」

 


 ◇◇◇◇◇



 店員にさっきの礼を言う為にこっそり話しかける。


 「悪いな。助かったよ。……ちょっとテンション高すぎて引いたけど」


 「ゲームしているNAO君のテンションを真似てみただけだ。少しでも俺が気持ち悪いと思ったんなら……ゲーム中はもうちょっと大人しく遊んでくれよ?他の客様引いてるから」

 

 「いやいやいや、流石にあんな不思議なクスリをキメてるレベルじゃ――……まじで?」


 「まじで」


 衝撃の真実を聞かされてしまった。

 俺はショックのあまり黙って頷くしかなかった。


 「それにしても何で手伝ってくれたんだ?いつもあんなにやる気なさそうなのに」


 「実はさ、聞いてくれよ!さっきすっげぇ可愛い金髪の女の子見つけてさ!芸能人レベルの!流石都会だわ!」


 「あっ……(察し)」


 「へっへっへっ、絶対に落としてやる。もう既に目標はセンターの中に入れてるからトリガーを引くだけだ。それじゃーな。助けてやったんだから、邪魔するなよ?大人しくどっかに行っててくれ。ああっ、いたいた!あの子だよ、あの子!」 


 陽菜がたくさんの景品が入った袋を持ちながらやってくる。


 「ナオ~、スラ~どんな調子?私は結構とれた~」


 「んごごごごごご」


 店員が俺に向けて目をぱちぱちして『俺に紹介してくれ!』とアイコンタクトを送る。

 悪いな。陽菜は俺と俺たち5組のものなんだ。君が入ってこれる余地はないんだ。


 「ボクもたくさんお金使っちゃいましたが取れました!なお君が持ってるにっこにっこにーフィギュアです!」


 「さ、取るもの取れたんだし次行くか。俺の"嫁"と"ペット"たちよ」


 「はいはい、嫁です嫁です」


 「ペットです!」


 陽菜はまた俺がふざけてると思って適当に返事をしたようだが、店員はそんな事情知りもしない。

 きっと本当に付き合ってるとか勘違いしてしまってるだろう。

 いや、付き合ってるけどな!

 

 店員はすごい顔で俺を見ていた。


 「んご、ごご、ごごごごごごごご!!!!」

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もしよほど暇で退屈ならばぜひご覧ください!


『見習い女神ナスクの異世界ゲームセンター繁盛計画』

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