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128話

  「それで、結局スラで何する気なの?」


  陽菜が興味津々で俺に聞く。もう陽菜は用済みだが作戦概要を言わないとこのまま黙って帰ってくれないだろう。まぁ、秘密にするような事でもないしどうせスラには説明する必要がある。一人と一匹にまとめて説明してしまおう。


  「スラを使って友達を作るんだ。スラにはとても多くの友達を持った人気者、今や5組の中心にいるような存在にまで成り上がっている。認めたくはないが俺よりほんの少しだけ友達を作る能力に長けている」


  「絶望的に差があることも認めたら?」


  「……なぜ微々たる差ではあるが、この俺よりもスラの方が友達を作れるのか。この1ヶ月、人類史上最高の頭脳を用いてスラと5組のクラスメイトを分析し続けて導かれた結論は……経験の差だ」


  「いつも周りの事なんてどうでも良いとか言ってるくせに気になって気になって仕方がないのね」


  「…………スラは既に何百万、何億年と生きている。人間と交流し始めたのはここ数年とは言え、その前はスライム同士で仲良くやっていたんだ。友達作り能力の下地は途方もないほど長い間経験を積んでいる。時間は皆に等しく平等な以上、こればかりはどうすることもできない。MMOだってオープンベータから始めた奴の方が有利だろ?」


  「それにナオはスキルポイントの配分を絶望的に間違えてるもんね。特化型の方が強いのは分かるけど最低限のポイントすら他に振ってないから……それがコミュニケーションのうりょ――……」


  「傷つくだけなら友達なんていらない……もうスラだけでいい」


  放心状態になっているスラを優しく撫でる。

  明日からサービス終了まで24時間俺の部屋防衛戦だ。絶対に守り切るぞ。


  「はいはい、友達作れたら私からご褒美あげるからがんばりなさいよ」


  陽菜はやれやれと言った口調で俺のやる気を上げようと餌をぶら下げる。だが、それは悪手だぞ陽菜。何故ならば俺は天元突破で調子に乗るからだ。


  「まじで!?ご褒美くれるの!?じゃあ、前もらったパンツと同じ柄のブラジャーがいい!!ブラジャー!!パンツとブラジャーのセット!!ハッピーセット!!」


  このままなし崩し的に約束を取り付けてやる!陽菜チョロインだから余裕!ああ……あまりの嬉しさに高速ドナルド体操。数十秒後には別にあんたの為にブラジャー上げる訳じゃないんだからねっ!とかなんとか言われながら言質ゲットだぜ!


  「ちょ、ちょっと待ってよ!あれは本当に仕方がないから渡しただけでブ、ブラジャーはあげないんだからっ!」


  「これか!これか!これか!これか!ふっ!ふっ!ふっ!ふっ!」


  いつまでも踊っていられる気がする。これが永久機関か。


  「……」


  俺が踊っている横を誰かが通り過ぎる。名前は知らないが顔が覚えている。1組の奴だ。せっかくだから声を掛けて一緒に踊ろうと誘っちゃうか!?そうしちゃおうかなぁ!!


  「……うわ、きも。変態じゃん」


  そいつはボソッと呟き冷ややかな目を俺に向けた後、立ち去った。

  俺、メンタルバリアを張っていなかったせいで突然の罵倒に踊りが止まってしまうほど動揺する。このガチでドン引きされる感覚……久しぶりだ。クリティカルでヒットしているせいでリジェネが追い付かない。これは緊急回避魔法を使うしかない。


  「で、具体的にどう友達を作るかだがな――……」


  「あの……あのねナオ。じゃあさ、そのっ、友達ができたくらいじゃあげられないけど、1組の問題が解決したらそのご褒美って事なら……ね?」  


  陽菜は顔を真っ赤にして若干涙目になりながら言った。


  「は?何言ってるんだ?ご褒美なんて話聞いてないぞ?」


  「えっ?」


  「いきなりご褒美上げると言われても恐くて受け取らん。ただより恐いものなんてないからな」


  「……うわー……1組の子にドン引きされてご褒美の話ごと記憶からなかったことにしてる……」


  「何を言ってるのか分からないが、話を戻すとだな……」


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