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125話

  1組に戻ってきた後は特に何事もなく授業が終わって放課後。俺はこの特別に用意された特等席から静かに1組の様子をうかがっていた。


 


 「……う~む」


  


  1組がどのようにギスギスしているのかを知りたいから黙って様子を見ていたが、どうやら今日は無理そうだ。何故ならば突然現れた俺という存在が1組の奴らを相当困惑させているからだ。  


  さっきからかなりの奴らが平然を装いつつチラチラと俺を見ている。本人たちは気づかられてないのかもしれないが、俺はお前が俺を見ているのを見たぞ。お前らさては集団ストーカーだな。



  ……さて、あまり変なことを考えすぎて深淵を覗き込み過ぎるのは精神上良くない。このまま黙っていても進展しないならば何かしらの行動に移すしかない。



  では何をしよう?1組の問題を解決するにはどうすれば良い?    


  

 

  「あの、夏野君」 



  

  「……ん?」



  気付けば目の前に白澤さんがいて声をかけてきていた。


 


  「あっ、白澤さん。すいません。ぼけーっとしてました。何でしょうか?」




  「その……何て言うか……ごめんなさい。私が無理を言ってしまったせいで夏野君に迷惑を……」

  

  

  

  白澤さんが深々と頭を下げて謝罪する。俺を1組に引っ張ってきたことに加えて、さっきの学年主任の俺に対するパワハラまがいなものを見て申し訳ない気持ちで一杯になってしまったのだろう。

 

 

  さっきまでチラチラと見ていた奴らから一気に注目をあびる。ふっ、そりゃそうだ。人気アイドルが腰を折って謝罪しているのだ。ひょっとしたらあの短めのスカートからアイドルのパンチラが拝めるのかもしれないのだから。

 

  いや……今回は流石に違うか。


  


  「とりあえず頭をあげてください。悪い意味で俺が目立ってしまいます。それに何も気にしていませんよ?このくらい俺にとっては日常ですから。それよりもこの後、白澤さんは仕事があるんじゃないですか?」 

 

 

 

  「え……なんでそれを……?」



 

  白澤さんは少し驚いた様子で俺を見る。


  


  「この特等席からは授業中、スケジュール帳と時計を慌てながらにらめっこしてる白澤さんがをよく見えるんですよ。本当は今日は授業中に早退して仕事場に向かう予定だったんじゃないですか?」


 


  「は……はい。その通りです。でもどうしても直接謝りたかったので……」


  


  「じゃあ、その埋め合わせは今度してもらいますよ」 


 


  偉そうに言ってるが元はと言えばパンツ見た俺が悪いんだが、こう言わないと引き下がってくれないだろう。と言うより、こんなパンツ覗き込み魔野郎の為に、わざわざ時間を割くなんて白澤さんは良い子だなぁ。惚れてまうで。いつもお前を見ているぞ。  


  

  「は、はい!よろしくお願いします!そ、それでは、私はお言葉に甘えてお仕事に行ってきます!」


  


  白澤さんはビシッと可愛く敬礼を決めて荷物を持って教室を出て行った。



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