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13話 美少女の隣を歩いて登校するのはきついっす

  家を出た後、陽菜が待っていた。


 「おはよう!やっと着たわね!」


 「……うむ」


 「じゃーん!どうよ?これがナオが見たかった正真正銘、鈴木高校の制服を着た私よ!」


 陽菜はフリルのついた可愛い制服をひらひらと見せた後くるっと一回転。

 そしてモデルのようなするようなポーズをとる。  


 「えへへ~どうよ?どうよ?」


 「ふーん。受かっていたんだな、おめでと」


 「……何度も合格したってナオに言ってるわよね?てゆーか、何か反応が薄くない?この制服を着た時の写真を見たときはもっと喜んでたのに」

 

 「あっ……ああ」


 おっといけない、いけない。

 ペットのスライムが喋ったくらいで上の空になるなんて俺らしくない。

 しっかりするんだ俺。スライムだって喋るさ。

 とりあえず考え込んだって仕方ないんだからスラの事は一旦忘れよう。いつもの俺に戻るぞ~!そ~れ!


 「えへえへぇ!!よく見たら凄く可愛いよなぁ!!30分で5万!ぱぱっとやって、終わり!どう!?」


 「ふぅ、よかった。いつものナオに戻った」


 「……えぇー?」


 ちょっと俺自身引いてたのにこれがいつもの俺かよ!?俺に対する陽菜の印象ってこんなんなの!?



 ◇◇◇◇◇

 


 鈴木高校は家から徒歩15分ちょっとで着く。

 学校に近づくにつれ、同じような制服を着ている人間がちらほらと増えてきた。

 

 「見てみろってあの金髪の子。すごい可愛いくね?」


 「すげぇなあの子。二次元から出てきたような美少女じゃん」

 

 「うぁー綺麗……」


 男女構わず周囲からはそんな声が聞こえる。

 陽菜自身はそう言った声は全く気にしてない様子だ。

 きっとこうやって注目されるのがデフォで慣れているのだろう。


 さて、どうしたものか。この場合問題は俺だ。


 「あの隣にいる男って、もしかして彼氏じゃね?」


 「いやーないだろ。あんな薬キメてそうな顔してるような奴が彼氏の訳ねぇだろ!」


 「ですよねー!あんなのが彼氏だったら俺でも簡単に奪えそう!」


 おかしいなぁ。

 あまり目立たないよう陽菜に相応しい男のようなフリしてキリッっとした表情をしているつもりなんだか、俺の事をくすくすと笑っているような気がするぞ?

 いや、きっと気のせいだろ。


 ぱしゃ!


 一応スマホで自分の顔を自撮りして確かめてみる。


 「おや?誰だこいつ?」


 自撮りしたかと思ったらどうやらカメラの設定を間違えていたらしい。

 カメラに写っていたのは誰か分からないアヒル顔をした犯罪者みたいなとてもやばそうな奴だった。

 多分、背面カメラで知らない人間を撮ってしまったんだろう。

 見ていたら呪われそうだから削除っと。


 ってことで、今の所俺は大して目立ってもいないがそれも時間の問題。

 適当な言い訳をして陽菜切り離し作業をしないとな。


 でも、適当なこと言って別れようとしても陽菜って結構しつこくついてくるんだよ。そこんとこ結構スラと似ていると思う。

 何か良い言い訳がないだろうか?

 

 「そろそろ――……」

 

 がしっ

 

 陽菜に腕を掴まれてまるで恋人のように絡まれた。


 「まだ何も言ってないじゃん」


 「どうせいつものように逃げるんでしょ?せっかくの入学式なんだから今日は逃がさない!」


 「離してくれ。目立つ」


 「逃げないと宣言するまでひっつく」


 「おっぱい当たってるんだけどぉ?当ててんの?当ててんの?」


 「あっ……くぅ~!」

 

 顔を真っ赤にさせてきょどっているが腕は絡まれたままだ。

 本当にこの状態で登校する気なのか?正気か?


 「分かった分かった、今日は降参だ。逃げないから離してくれ」

 

 「う、うん。許そう」


 ぱっと離されて開放される。

 開放された瞬間にダッシュで逃げようと思ったが、それを見破ったらしい陽菜はいつでもダッシュできるぞと走る準備をしている。

 本当にこのまま陽菜と仲良く登校するのかよ?嫌だなー。


 「どんなけ目立ちたくないのよ。 私の隣にいて目立つのが嫌だったらさ、髪を黒染めして地味な感じにしてみようか?そしたら一緒に登校してもいいよね?」


 「陽菜が金髪やめたら俺、立ち直れなくて不登校になりそう。好きだったアイドルが実は男の肉便器だったと知ってしまったくらいにショックうけるは」


 「じゃあ私はどうしたらいいのよ」


 「さぁ?」


 結局、そのまま最後まで陽菜と登校しきってしまい鈴木高校の校門まで到着。

 入学案内の紙によると校門まで到着したら広場にある掲示板で自分の教室を確認してその教室に向かうらしい。


 ぐいっ

 

 また陽菜に腕を引っ張られる。

 

 「ここまで着たんだから今更逃げても仕方ないじゃない。ほら、ちゃっちゃと教室に向かう」


 「あん?だから広場に行って教室を確認するんだよ。さては読んでないな?」


 「まさかナオがちゃんとまともに読んできてるとは思わなかった」


 なんとも言えない気持ちになる。流石にそんくらい読むっちゅうに。


 「まぁ、いいや。ナオは私と同じ5組だからそのまま教室に向かうわよ」


 「何で確認もしていないのに知ってるんだ?」


 「えっ!?え~と、それはね、それはね……そう、今日事前に学校に来て確認したのよ!」


 「だからそのまま登校しろよ」


 「え~っと、だからナオのことが心配で一度戻ってきたのよ」


 ん~、何か怪しい。心配だからってわざわざ戻ってくるか?

 まるで俺と陽菜のクラスは事前に知っていたみたいな感じだったが。

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