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115話

  「ずみませんでしだー!!反省してまずー!!」


  「"……許す""」

  

  「ぐすっ……ずみませんでしだー!!」


  「"……許す"」


  「これからはじゃんとじまずー!!」


  「"……もう許して"」


  スラは涙目で鼻水を垂らしながら黒を抱きかかえながら許しを乞いている。黒は全く怒ってない様子だったがスラの謝罪ラッシュは止まらない。


  「"オフロそろそろわくよ(*´ω`*)"」


  ミニスラちゃんがぴょんぴょんと跳ねながら知らせる。どうやら準備していてくれたらしい。

  だが、跳ねてるミニスラちゃんは4匹。1匹足りない。


  「1匹どこに行ったんだ?」


  「"オフロそうじ中にうっかり(´;ω;`)"」    

  

  「まさかまさか排水溝に流されたんじゃないだろうな!?」


  サッカボールくらいの大きさのスラならともかく、ミニスラちゃんは拳くらいのサイズ。ひょっとしたらそういう可能性もあるのかもしれない。

  って事は今頃、下水道をウォータースライダーしてるのか?くさそう(確信)


  「"ちがうよ、シャンプー飲んじゃったからバケツであんせい中(´;ω;`)"」


  ミニスラちゃんの近くにあったバケツを覗き込むと水張ったバケツの中にぷかぷかと1匹浮いていた。

  一体どう誤ったらシャンプー飲んじゃうんだよ?3才児かよ?


  「大丈夫か?」


  ちゃぽちゃぽ


  バケツの中からはホワイトボードが見えず筆談ができないのか、水の中で少し跳ねて答えた。


  「流石にシャンプーは美味しくなかったと言ってます!ですよね、ボクも昔飲んで見ましたがダメでした!」


  スラが黒を抱えながらバケツを覗き込んで浮いてるミニスラちゃんに話しかける。母さんも陽菜もバケツの中のミニスラちゃんを覗き込んだ。

 

  「てか、飲んだのかよ!?飼い始めた時にシャンプーは飲み物じゃないって教えたがその時は理解できなかったのか?」

  

  「ふふ~ん、スラちゃんそこまで馬鹿じゃないよ?ただ、天然素材で作られているシャンプーならいけるかなーっと思っただけです!」  

 

  ドヤ顔で自慢してくるスラを見ると哀れな気持ちになって涙が出てしまいそうになる。

  スラってほぼ不死身だから今までケロって生きてこれたけどもし人間だったら長生きできないだろうなぁ。

  いや、ほぼ不死身だからこそ人間より危機回避能力が低すぎて結果、こんな馬鹿な子になってしまったのだろうか?

  

  「あーそれ分かる。ハーブ配合だって書いてたらもしかしたら美味しいかもって思っちゃうよね」


  「うんうん、あれは騙されてしまいますよね!」


  ここでまさかの陽菜とスラの意見が一致。俺、梅干を食べてすっぱいような顔をして陽菜を見る。


  「馬鹿なの?」


  「ち、違うわよ!?わっ、私は――」


  両手をクロスさせてバツマークを作って強く否定する。


  そっかーもしかしたら俺がそう思わなかっただけで一般的にはシャンプーは美味しそうに思えるのか。これは意外な発見だな。


  「はいはい~とにかくお風呂沸いてるから誰か行っちゃいなよ~」


  母さんが話を遮るように喋る。そういや風呂沸いてたな。

  

  「先にお客様の陽菜がお風呂入ってこいよ?俺はバケツの中の哀れなミニスラちゃんの様子を見てるから」


  一応ダメもとで陽菜を先に勧める。

  去年の受験勉強で陽菜が長く家に滞在してた際、先に陽菜にお風呂に入らせて残り香と残り湯を堪能する行為をしていたのがバレしまい、それ以降は俺が先に風呂に入ることになっている。

  何故バレたって?空のペットボトルを持って風呂場に行く姿を見られたからである。


  「えー?私後にするー」


  「そうか。じゃあ先に行ってくるは。あ、そうだ。せっかくだから黒も連れて行くか。ミニスラちゃんも行くか?」


  ぴょんぴょんぴょん!

  

  スラが抱きかかえている黒をもらってそのまま風呂場へ。着替えはいつもスラがやってくれてたようにミニスラちゃんが脱衣所に用意してくれているだろう。

  バケツに入っているミニスラちゃんを除いた4匹が俺の後に跳ねながら付いてきた。

  ……いや、5匹全員付いてきてる。安静中とは一体何だったのか。


  とことことこ


  「んふー!」


  そしてドヤ顔しながら余計なものが1匹付いてきている。


  「何でスラが付いて来るんだ?」


  「何でボクとは一緒にお風呂入ってくれないのですか!1ヶ月前まで毎日一緒に入ってくれたじゃないですかー!スラちゃんいじめよくない!」


  「……その姿で一緒に入るつもりか?」


  スラがその美少女の裸姿で一緒に風呂に入ってきた理性を抑えることが難しいかもしれない。

  ああ、違うそうじゃないぞ!?べ、別に俺はペットごときの裸を見たところで興奮なんてしねーし!?全然しねーし!?ただ、倫理的に良くないなーって思っただけだし!?


  「んふー!」


  俺の考えを見透かされたかのようなドヤ顔が憎たらしい。


  「ほら、とにかく邪魔だ。あっち行け、しっしっ!」


  「仕方ありません、なら今回はボクもスライム状態になって一緒に入りましょう!それなら良いですよね!」


  「あ?何をごちゃごちゃ言ってるんだ?とにかく駄目なものは駄目だ」


  「何でですかー!?それじゃあ不公平です!!何で黒様とミニスラちゃんは良いのですか!?」  


  「こいつらは美少女化しない純スライムだからいいんだよ」


  「それはおかしいです!!黒様やミニスラちゃんだってなろうと思えば――」


  「はいはい、しっしっ」


  抗議するスラを無理やり追い返して風呂場に到着した。


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