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107話

  俺と母さんと親父の3人とスラとミニスラちゃん(5匹)と黒の7匹で食卓を囲んで朝食を食べる。

  親父と母さんに朝食がてら話のネタとして故郷での出来事と黒の事をかいつまんで話す。普通なら到底信じられない話をしているが、既にスラを何年も飼ってる親父と母さんはその話を疑いもしなかった。ついでにミニスラちゃんの事も話しておこうと思ったが既に知っていたらしく割愛。 

  

  「なんだーそう言う事だったのか。それだったらもっと早く言ってくれよ。無駄に禿散らかしてしまったじゃないか。はっはっは!」


  親父は黒を優しく撫でる。


  「そういう事だったら、これからはここを自分の家だと思って暮らしてくれ。今日から夏野家の家族だ!!ほら、私のおかずをやろう」


  親父は普段スラにやっているようにシャケの切り身を箸でつまんで黒にやろうとする。すると黒はゆっくりとした動作で体をうにょーんと伸ばしてぱくっとシャケの切り身を食べた。


  「"…………うまうま"」


  「そうかそうか!美味しいか!もう一口やろう!」


  「言ってなかったが黒は機械女神のトップで女王みたいなポジションだ。だからスラと同じような扱いをして黒に無礼な事をしたら人類VS機械女神の大戦争が始まるから十分注意してくれ」


  「…………」 


  親父、驚愕の表情。何でそんな大事なこと早く言わないの?って顔で俺を見てくる。あれは結構な毛根が死滅してそうだな。


  「安心してください!黒様ほど器が大きいスライムはいません!よっぽどお馬鹿な事をしない限り大丈夫です!」 


  俺が冗談だと言う前にスラが動揺している親父をなだめた。

  

  うーん、よっぽど馬鹿な事をしない限り大丈夫ってどのラインまでなんだろうか?

  オレンジスライムなんて黒に全く断りもなく勝手に黒を箱詰めにして俺にプレゼントするという完全に黒の人権無視、いやスライム権を無視をしているが怒るどころかそのまま夏野家の新しいペットになったくらいだ。。

  俺なんか初対面の黒にパンツ被せたくらいだしな。いまいちピンとこないな。


  「じゃあ、スラは黒に何馬鹿な事をしでかしたんだ?」


  「な、な、な…!?スラちゃんは昔から良い子だったのでそんなお馬鹿な事してないのだ!!」


  いつものドヤ顔にあざといポーズをとるがすっごい動揺してる。震えてるし。

  はは~ん、やっぱそう言うことか。


  「へ~。ならなんで黒だけ様付けなんだ?」


  「それはー……黒様は機械女神のトップだから敬うのは当然です!」 


  「でも故郷にいた他のスライムたちは別に黒を特別扱いしてなかったじゃん。さしずめスラが昔何かやって黒に相当こっぴどく怒られのが尾を引いて黒様と呼んでるんだろ?ま、そこまで動揺するなら昔の事は聞かないでおいてやるよ」


  「そ、そうですか。ふぅー……」


  「"…………数万年前スラが――"」


  「黒様!ボクの分の卵焼きも一切れ上げます!ささ、どうですか!おいしいですか!?」


  「"…………うまうま"」


  黒が暴露しようとしか瞬間、スラが一切れの卵焼きを黒に食べさせた。いや、食べさせたというより黒に押し込んだ。

  

  「"……"」


  どうやら卵焼き一切れで買収に成功したらしい。黒は何も言わなくなった。


  「は~い、スラちゃん。あーん」


  母さんが自分の分の卵焼きを箸でつまんでスラの口元まで持っていく。スラが黒にあげて減った分を補うつもりらしい。そんなにスラを甘やかさないでいいのに。


  「あーん……もぐもぐ。美味しいです!」


  そのままぱくっと卵焼きを頬張って美味しそうにもぐもぐする。


  「"なお君、あーん(*´∀`*)"」


  「……」


  何を思ったのかミニスラちゃんが卵焼きを俺の口元まで持ってきて俺にあーんをさせようとしていた。もう腹いっぱいだから別にいらないんだが……断ったら断ったでしょんぼりするだろうしなぁ。仕方ない、食っておくか。


  「むしゃむしゃ……美味い美味い」


  「"(*´∀`*)"」


  合宿後、いっきにミニスラちゃんと黒が加わってどうなるかと思っていたがそんな心配をする必要もないな。うんうん、スライムが数匹増えようが夏野家は全く揺るぎが無いって訳だ。


  「じー……」


  「むしゃむしゃ…………は?」


  何か視線を感じたような気がして外をふっと見てみると…………陽菜がほっぺを窓にへばりつかせてまで俺たちをガン見していた。

  かなり興味津々の様子で強く窓にへばりついているせいで陽菜の顔がおかしい。あれ、美少女がやっていい顔じゃないだろ……。


  「……」


  「……」


  登校する時は玄関前で俺とスラを待っている陽菜がとうとうストーカーの域にまで辿りついた瞬間だった。


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