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「なお君、大丈夫ですか!」

 「・・・ああ」


 スラの喧しい声に起こされ目が覚めて寝転がっている体を起こして今の状況を確認する。

 どうやらスタート地点に戻されていたようだった。


 「それよりびっくししました!変な仮面を被ったお兄さんが棺桶を持ってきて開けたら中になお君がいたのですよ!」

 「・・・そんなアナログな方法でスタート地点に戻されたのか」


 王様の所にワープさせられて「おお、死んでしまうとは情けない!」とか言われるのかと思っていた。

 まぁ、ロリババアにセクハラした罰を自分で受けた事が死因だから会っていたら王様もさぞかし俺を情けなく思うだろうが・・・


 一応自分の体を確認してみる。 

 復活した俺の体にはもう戦闘で受けたダメージは全く残っていない。

 しかもビームで即死できたおかげで死の痛みも感じる事無く安らかに死ぬことができた。

 完全に俺の大勝利だ。


 「テストプレイの方はどうでしたか?」


 スラがぴょんぴょんと元気良く飛び跳ねながら聞いてくる。

 俺の思い通りにゲームは完成しているのでスラに対する答えは一つしかない。


 「大筋は大丈夫だと思うが、ミスってる所やバグとかが残ってるかもしれないからテストプレイを続けるつもりだ(にっこり)」


 そう・・・完成しているのならゲームを楽しむまで。

 デバック作業と称して時間を許す限りテストプレイを繰り返して美少女にセクハラをしてやるのさ!


 「だからここはまかせてもう少し休んでこいよ(超にっこり)」

 「ふふ~ん。仕事できるボクはなお君が死んでる間にバグとかないかちゃんと全部調べてみました!」

 「・・・えっ?」


 自信満々でドヤ顔しているスラちゃんマジ余計。

 てか、もしかしてバグ検証したと言うことは魔改造した事もバレてしまったか!?

 

 「流石ボクのなお君です!バグとか全くなくちゃんと100%の完成度でした!」


 自信満々でドヤ顔しているスラちゃんマジざる。

 最近は色々できる子だと思っていたけど魔改造を見抜けないポンコツで安心した。

 やっぱペットは馬鹿でポンコツの方が可愛くていいんだよ。


 「バグはなかったかー。だったら時間の許す限りクオリティを上げる作業をしないとなー」

 「うにゅ?」

 「さーて、なお君がんばっちゃうぞーはっはっはっ!」

 「あのあの・・・」

 「どうした?」

 「・・・もう納期が」


 スラがごそごそとポケットからスマホを取り出して画面を俺に見せる。

 時間は午後9時を指していた。


 「えっ・・・俺がテストプレイを始めたのは朝だから・・・」

 「はい、12時間ほど死んでました!」

 「リスポーン時間長すぎぃ!そういった無意味な時間はプレイヤーにストレスを与えるだけだからぁ!」

 「ボクもそう思って3秒ほどに短縮しておきました!褒めてください!褒めてください!」

 「ああ・・・うん。たかーい、たかーい・・・」


 スラを抱き上げて作業的に高い高いをする。

 

 「あがめよー。ほめたたえよー」

 「へいへい・・・スラちゃん夏野家で2番目くらいに可愛いよー」


 ・・・まぁ良い。

 ゲームを完成することが出来たんだからこれからこっそりゲームプレイする時間はいくらでもあるはずだ。

 このゲームは永遠に俺の夜おかずとして機能してくれるはずだ。


 てかスライム状態じゃないスラはやっぱり重いな・・・

 腕が疲れて来たのでスラを降ろす。

 

 「ところでこのゲームのタイトルは何て言うんでしょう?」 

 「ゲームタイトル?そうだな~・・・」


 そういやゲームタイトルは決めていなかったなぁ・・・

 剣と魔法のRPGだから適当にスラちゃんクエストとかスラちゃんファンタジーとかにしておこうか?

 ・・・いやいや、このゲームには男の夢が詰まったエロゲーなのだ!

 ならばそれに合ったタイトル・・・それは・・・


 「ゲームタイトルは「夢」にしよう」

 「夢ですか。分かりました!」


 そう言いながらスラはタブレットを操作する。

 すると周りの何もない草原の景色から俺の部屋に戻った。

 どうやら仮想世界から帰ってきたようだ。


 「では早速「夢」を納期をしてきます!ではこれが約束の報酬品です!」


 そして当初の約束通り陽菜の枕を手渡された。


 「すぅーはぁーすぅーはぁー!!」


 俺、即効で枕に顔を埋めて陽菜の残り香を嗅ぐ。

 

 「おおおおう、これはいいいいい!!」


 今更だが、機械女神からの依頼でゲーム製作をしたのに報酬品が陽菜の枕なんだろうか・・・

 陽菜だけが損してるような気もするが・・・まぁいいか。


 「じゃあ、俺は一旦この枕を使って体を癒すからゲームの完成品は後で俺の机にでも置いておいてくれ」

 「うにゅ?」


 部屋を出ようとしたスラが足を止めて振り返る。


 「残念ながらゲームプレイはもう出来ないですよ?」

 「えっ!?そんな事聞いてないんだけど!?why?」


 俺は枕を置いてスラに抱きつく。


 「何でですか~!?何でですか~!?」

 「すいません・・・詳しい理由はボクも知りません。後、口調がボクと一緒になってますよ?」

 「嫌だ嫌だー!!俺はこのゲームをもっとプレイしたいんだー!!」


 がしっとタブレットを握り締めて取り返そうとする。


 「このゲームには俺の・・・男の夢がつまってるんだよー!」

 「なお君・・・」

 「ていっ!」

 「ちょ・・・陽菜!?」


 突然現れた陽菜にタブレットを奪われる。


 「ほら、とっとと行くわよ」

 「待ってくれえええ!話合いをしようじゃないかぁ!」

 「・・・なお君」 

 

 そして陽菜はスラの手を引っ張り部屋を出ようとする。

 恐らくこのまま納品をしにいくんだろう。

 

 「あ、そうそう。死んだなお君を運んでくれた仮面の人が後でスマホを確認するようにと言ってました!それでは行って来ます!」

 「あああああ・・・あああ」


 疲れきった俺の体はスラを追いかける事もできずその場に倒れ伏せた。

 スマホを確認しろ?

 俺はポケットからスマホを取り出す。

 幸い、ロリババアの戦闘で割れていたはずのスマホは無傷だった。

 

 「おお・・・」


 待ち受け画面にはギリギリ見えるか見えないかのとてもおしい陽菜エロの入浴姿が写っていた。

 そうか・・・少なくともここまで覗く事は出来たのか・・・良くやったなフロ・ノゾイタル!


 俺はそのままぐったりとして意識がなくなった。

これにてVRゲーム製作編完結です!

その後のお話は短編「VR-オフラインRPG エロを求めて 僕の終わりなき野望」

http://ncode.syosetu.com/n1357cy/

に続きますが練習目的で書いた作品なのでかなり文の雰囲気とか色々変わります。

なので特に読む必要もないです(迫真)

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