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俺がこの戦いに絶対に勝つことができないと分からせるためにわざと攻撃を受けたんだろう。
老婆はニヤリと笑い挑発をする。
「名も無き兵がエースに勝つことはできないって顔をしてるぞ!?俺はまだ諦めねぇよ!」
「そんな君は、さっきから面白い顔をしている」
「よく人に言われるけどどんな顔だよっ!?」
こっちが真剣なのにまったく失礼な奴だ。
だが俺がこの戦いが勝てないことはもう分かっていた。
勝つ方法は色々考えたがどれも時間がかかる作戦ばっかりで数分以内に決着をつけるのはほぼ不可能だ。
こんな老婆に勝った所で陽菜を覗けなかったら意味がないのだ。
だが、afk(放置プレイ)してもセクハラ道に反するからやれる事はやってみるか・・・
俺は再びじりじりと距離を縮める。
「そんなひのきの棒じゃ、ボクには勝てないぞ?せめてパンチやキックができたら話は変わるかもしれないけど。君は武道に心得があるようだしね」
「パンチやキックができない・・・?なんで?別にできるけど?」
さっき魔改造をしたからNPCには触ることができるからこんな弱小武器のひのきの棒を捨てて格闘術で戦闘をしてもいいのだ。
じゃあ何故それをやらないかって?
今思い出したんだよ!
そうだよな!できるんだよな!
「おかしな事を言う。この世界では君は異性に素手で触れることができないってことを忘れているのかい?」
「・・・」
ん?
もしかして魔改造した事はNPCに情報伝達されていない?
「えっ?老婆も女の子かよ!?モンスターと同じ扱いでいいだろ!?」
一応、老婆にこの事実を悟られないよう振舞う。
「・・・ちっ」
「おい、婆さん。今ナチュラルに舌打ちしたよな?怒ってんの?怒ってんのぉ~!?デュンド!デュンド!デュンド!」
おまけとして婆さんにオンラインゲームにあるような挑発エモーションっぽい謎ダンスをして煽る。
これで少しでも動きが単調になってくれればいいが・・・
「ふはははっ!!ふははっ!ふははははデュンド!デュンド!デュンド!」
あ・・・なんだか楽しくなってきた。
しばらく様子を見ながら続けてみよう。
老婆は方を震わせ怒りながら笑っている。
おかしな婆さんだ。
「デュンド!デュンド!デュンド!」
「・・・い、いいだろう。だったらボクの本当の姿を見せてやるっ!!」
「デュ?」
すると突然老婆の周りからオーラが漂う。
え・・・何、変身するの?それ以上変身したら骨になっちゃうよ?
てか、冗談言ってる場合ではない。
このゲーム、死んでも別に現実世界の体には全く影響でない親切設計だがダメージを受けると現実世界と同じ痛みを感じる。
これ、拷問されてから殺されるとかそんなやばいことにならないよな・・・?
ヤバイヨ!ヤバイヨー!(芸人風口調)
「見るがいい、これがボクの真の姿だ!!」
財布の中身を確認する。
100円か・・・これじゃあ許してくれなさそうだなぁ・・・
オーラは老婆の体全身を包み込み姿が見えなくなる。
はいはい、課金課金。
早く終わらせて俺を即死させてくれ。
陽菜の風呂・・・覗きたかったなぁ。
ヒューン・・・
オーラが消え老婆の姿が見える。
「おお・・・!」
俺は目を丸くして老婆を見る。
いや、その姿はさっきの杖をついたアフロの婆さんなんかじゃない!
俺が目にしているのは銀髪をしたさらさらロングのゴスロリ美少女だった!




