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機械女神スラちゃんの飼育日記  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第二章:スラちゃん故郷出頭編
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105話

  地球への帰還は特に問題なくそのまま家に到着。到着時刻は午後9時。俺の貴重なゴールデンウィークは後たった2日しか残されていなかった。

  到着後、陽菜も荷物をまとめて自分の家に帰宅しようとしていたので送ろうとしたが俺に気を使ったのか断れ、代わりに護衛としてミニスラちゃんを付けた。あんなふざけた生き物1匹ですら人類が到底適わないほどの強さを持ってるらしいから不審者の一人や二人くらい余裕で倒してくれるだろう。

  ……本当に大丈夫だろうか。念を入れてミニスラちゃん5匹全員付けたから1匹くらいまともに仕事してくれると願って護衛を付けたがそれでも不安だ。


  まぁ、今更慌てふためいても仕方がない。あの雑草スープから飯を食ってないからすごい腹が減ったから晩飯の準備でもしよう。今日くらい俺が飯でも作ってやるか。


  「ずっと運転してたから疲れてるだろ?今日は特別に俺が晩飯を作って――」


  「んー……」


  スラが力尽きたのか廊下で年末の格闘技でKOされた曙のように寝ていた。一応スラも美少女のカテゴリーに入るんだからもうちょっと可愛い寝方しとけよ。クラスの男子が見たら幻滅されるぞ。

  俺はスラを米を運ぶように担ぎ上げてそのまま部屋に向かう。


  「せーの……!!」  


  ベッドまで2~3メートルといったところだろうか。重かったらめんどくさくなってスラを思いっきり放り投げる。

  腰に力を入れて遠心力をつけて……こうだ!

  

  ぽい


  ゴン!!


  「……ふぎゅ!」


  ……これでよし。スラが小さい悲鳴をあげたような気がスヤスヤ寝てるから何も問題ない。ちょっと力を入れ過ぎて壁に当たって頭にたんこぶが出来てるが何も問題はない。後は布団を掛けて終わり。

  ……一応生存確認くらいしておくか。


  「……大丈夫かー?頭打ってこれ以上馬鹿になってないといいが……」


  「……だからポイッて……ポイッてしないでよ……おねがいです……Zzz」


  大丈夫そうだ。


 

  ◇◇◇◇◇



  スラは寝ていてミニスラちゃんは外。俺は今完全に自由だ。そんな思春期の男が夜遅く一人ですることと言ったら何だ?それは自家発電!

  しかも今日はそのおかずとして最高の物が手元にある。それはオレンジスライムからもらった陽菜のエロ動画!いや、プレゼントの中身が陽菜のエロ動画とは決まった訳ではないけどな。だが、俺は期待してるぞ?


  プレゼント箱の大きさは50cmくらいの正六面体。この中にブルーレイ一枚入ってるだけならアマゾン並みの過剰包装だが果たして目当ての物は入っているのだろうか。

  最高の自家発電をする為の準備は既に済ませてある。もう一度確認しよう。カーテンはちゃんと閉めた。部屋のドアにカギは掛けた。ミニスラちゃんがドアの下の隙間から入ってこないようテーピングもした。スラにも目隠しと手錠をしておいた。完璧だ。

  さぁ俺のワンピースをゲットしよう、お宝はすぐそこにある。邪魔なズボンとパンツを脱ぎ捨てて下半身すっぽんぽんになる。


  丁寧に包装を取り払って箱を開ける。

  嗚呼っ!もし本当に陽菜のエロ動画だったらどうしよう!?途中で俺が邪魔したとは言えあのあえぎ声と実況から察するに相当いやらしい――


  「……」


  箱の中身は俺の予想とは遥かに違った物が入っていたせいで妄想がキャンセルされた。

  この黒い物が箱に敷き詰められているが……何打これ?ようかんか?


  これが何なのか分からないが俺の期待は見事に裏切られてしまった。萎え萎えっすわ。

  はぁ……オレンジスライムには失望したよ。使えねぇ。仕方がない、今日は陽菜抱き枕の方を使うか。

  その前にとりあえずようかんみたいな物は冷蔵庫にでも入れておくか?


  はらり


  「ん?」


  箱を持ち上げようとしたら手紙らしきものが箱から落ちる。これが果たして本当にようかんなのかを知る為に読んでみることにした。


  『お宝を譲っていただきありがとうございました。些細な物ですがお礼として黒ちゃんあげます。スラちゃんと比べてとても飼育しやすいですがあまり放置しすぎるといじけてしまうので適度に可愛がってやってください。オレンジスライムより(゜∀゜)』


  ………………はぁ!?


  ……ええっ!?いや、意味わかんない!!何で!?何で些細なお礼が黒なんだよ!?何でお前の所のリーダーをプレゼントしてきてんだよ!?

  (゜∀゜)じゃねぇよ!!俺の顔が(゜∀゜)になってるわ!!


  「"……むにゅむにゅ……ここどこ?"」


  どうやら故郷で使っていたチャット機能はここでも使えるようで黒がチャットを使って喋りかけて来た。


  「よぉ黒。12時間ぶりくらいか?ここはー……俺の部屋だ」


  「"…………なんで?"」


  いやいやいや、何でって俺が聞きてぇんだけど!?てか黒自身が全く状況理解してなさそうなんだけど!?まさかあのオレンジスライム、黒の許可もなく勝手に箱詰めしてプレゼントしてきたんじゃないだろうな!?いくらあんなふざけた生き物でも流石にそんな事はしてねぇよな!?


  「オレンジスライムがプレゼントだって渡してきた箱を開けたら黒が入ってたんだが。ほら、この手紙」


  手紙を箱にぎゅうぎゅうに敷き詰められて四角形になってる黒に見せる。見せても何も反応はなかったがきっと読んではいるだろう。


  「……って言う事だ」

 

  寝ているスラには悪いがここは叩き起こして一緒に相談にのってもら――


  「"…………ん、よろしく"」


  「(゜∀゜)」


  ……よろしくってどゆこと!?何がよろしくなの!?俺、どうしたらいいの!?


  自分を落ち着かせる為に椅子に座って大きく深呼吸する。


  「すぅーはぁー……」


  まぁ、そこまで急いで何かをしなければいけないって事ではない。今スラを叩き起こさずともしばらくしたらミニスラちゃんたちが帰ってくるだろう。

  そこでこれからの事をゆっくりと話せばいいさ。


  ……


  その後、ミニスラちゃんが夜の散歩をしていたせいで帰ってくるのが数時間後の深夜1時。それまで俺はパンツを穿くことも忘れ下半身すっぽんぽんのまま椅子に座ってミニスラちゃんが来るのを待機して、黒は狭い箱の中で四角形になったままだった。 


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