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機械女神スラちゃんの飼育日記  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第二章:スラちゃん故郷出頭編
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104話

  「それでは先輩方!スラちゃんたちはそろそろ地球に帰ります!お元気で!」


  スラがスライムたちに別れの挨拶をした後、車に乗り込む。


  「"またね~"」


  「"なお君に迷惑かけたらだめだよー"」


  「"捨てられないようにね!"」


  「"神よ……彼らに旅の安全を……"」


  数え切れないほどのスライムたちがそれぞれ思い思いの言葉をかける。だから神はお前らだろ。祈るくらいならこのオンボロ車を何とかしてくれ。


  「……狭い。もうちょっと減らさない?」


  「そうですね!燃費が悪くなります!」


  後部座席にいた陽菜がボソっと喋る。お土産に持ってきたお菓子は全てあげたから来る時よりはゆったりできると思っていたが、今度はスライムたちの方からのお土産で車内は一杯だ。どうやらスライムたちが勝手に車にいれたようだ。

  しかもそのお土産もよく分からない。例えば紙粘土で作ったスライム像とか言うのをもらったが完全に丸いだけの粘土じゃねーか。その他もろもろ、ガラクタみたいな物がたくさん車内にある。完全にゴミみたいな物だが、一応はお土産だから捨てることもできないが。


  「んーこれはいらない。よいしょっと」


  ぽいっ


  陽菜はお土産の選別を勝手に初めていらないと判断した物を容赦なく車内に捨てる。たくさんあったガラクタが一瞬で不必要だと判断されて速攻で放り投げられる。結果、お土産のほとんどが捨てられた。


  「ちょ、ちょ、ちょ!?陽菜さん!?」


  「ん?何?」

  

  「いや、あのー……確かに捨てた方がマシみたいな物の方がほとんどなんだけど、一応貰ったお土産じゃん?こいつらの目の前で捨てるのはどうかと……」


  「捨てないと全部ナオの部屋に置かれることになるけど?」


  「……ま、まぁ……それは仕方がない事じゃん?」


  家の中に部屋自体はまだ余ってるのにスラはずっと俺の部屋にいるから実質2人分の物が俺の部屋に置かれている。なんとか整理はできているがこのお土産を全部俺の部屋に置かれるといよいよパンクしてしまいそうだろう。

  だけど、だから今ここで捨てると言うのは……


  「例えばこの『お願い、後5分だけ寝かして目覚まし時計』なんてこの真ん中のスイッチを押すと世界の時間を5分止めることができるチートアイテムよ。こんなのナオに使われたら何されるか……」


  「それは俺の物だ(満面の笑み)」


  ぽいっ

  

  「あああああああああああ!!」


  「この『自分が見たいものがとても良く見える双眼鏡』なんて説明しなくても分かるわよね?」


  「それは俺の物だ(懇願)」


  ぽいっ


  「あああああああああああ!!」


  「この紙粘土のスライム像、スイッチを押すとスラが踊るダンスをするだけの物だから悪用はできないけど地球よりも遥かに高い技術力で作られてるから地球には持っていくのはとても危ない」


  「でも、これでボクがいない時もなお君が寂しい思いをするこがないですね!」


  「それはいらない(真顔)」


  ぽいっ


  「何でですかー!!」


  「"なお君、なお君(゜∀゜)"」


  「ん?さっきのオレンジスライムだな」


  陽菜グッズを一緒に買ったオレンジスライムがプレゼント用に綺麗に包装された箱を持ってぴょんぴょん跳ねていた。


  「"さっきのお礼です!受け取ってください(゜∀゜)"」

  

  「あ、ああ。ありがとう」


  「さっきのお礼?何かしたの?」


  「えっ?まぁ、別に大した事はしてねーけどな」

  

  陽菜のエッチな映像が入っているブルーレイをあげたなんて言える訳ない。車内に隠してる俺の陽菜グッズが捨てられるくらいなら別にいい。だが、陽菜グッズ即売会があったと言う事が陽菜に知られたら陽菜の大量のスライム狩りが始まってしまう。所詮スライムとは言え、陽菜の事に関しては同じ志を持つ同志だ。口が裂けても黙っておこう。


  「とりあえず中身確認しちゃって。……変な物が入ってたら捨てるけど」


  「"変な物なんかじゃない(゜∀゜)けど、中身は帰ってから確認してね(゜∀゜)"」


  「……怪しい」


  「"これはなお君にあげるプレゼントだから陽菜ちゃんが捨てる権利なんてない!(゜∀゜)"」


  「ぐぬぬ……た……確かに」


  「そういう事でしたら、この紙粘土スライム像はボクがもらったお土産なので陽菜ちゃんに捨てる権利はありません!」


  ぽいっ

 

  「何でですかー!!」


  「プレゼントの中身は何か知らないし場合によっては悪用もするが、人に迷惑をかけるような事はしねーよ。俺を信じろ」


  「いや、悪用してる時点で人に迷惑かかってるんだけど……。っというより大体ターゲットはいつも私なんだから私に迷惑かかるんだけど……」


  んーこのままだとプレゼントの中身が確認されてしまう。俺の予想だとさっきの特典をダビングした物とかが入ってると思うから中身は確認されたくない。

  仕方がない。プレゼントを守る為にここは禁じ手でいくか。

  

  「っというより陽菜さー。故郷に来た時から思ってたんだけど何かこっちの事に詳しすぎねー?何でお土産の詳しい事まで知ってんのー?」


  「えっ!?いや、……それはーその……スラから色々聞いてるから……」

 

  突然言われたせいか陽菜が慌てふためく。

 

  「へー。俺の方がはるかに長くスラといるのに俺は全然故郷の事とか知らなかったんだけどなー。陽菜が風呂で精鋭スライムと戦うきっかけになったどんぐりの件って何?」


  「……」


  「な、なお君、そろそろ出発しますよ!舌を噛まないように気をつけてください!こちらスラちゃん、発進します!」


  「"カタパルト正常!射出します!(゜∀゜)"」  


  ぐいーん


  「うおおおおおおおおお!?いきなりやめろって!!まだ心の準備が!!」

  

  地球から宇宙に放り出された時と同様、カタパルトで一気に車が空へ投げ出される。一応俺の目論見どおりプレゼントは守れたがジェットコースターの何十倍も怖いカタパルト射出でちびりそうになった。  

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