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9話 飼い始めて4年目!

 スラを飼い始めて4年――


 中学3年の夏休みと言えば、高校受験に向けて本格的にがんばる時期らしい。

 今の時期は人生でとても大切な時期だからちゃんと勉強しなさいと先生が言っていたが、俺はそれを強く否定する。

 人生にがんばらなくても良い時期なんて存在しない。


 苦労して高校受験を乗り切ってもその3年後には大学受験、その4年後は就職だ。

 就職したってそれがゴールにはならないだろう、自立やら出世やら結婚やら子育てやらその他もろもろ。


 結局は死ぬまで常に大切な時期があり常に努力しなければいけないのだ。

 だから俺は一つの答えにたどり着いたのだ。


 別に無理して今がんばらなくてもよくね?


 そんなことを思いながら午前10時、ベッドから起き上がりもせずゴロゴロして漫画を読んだりゲームをしたりしている。


 むにゅ


 「んー……このスラ枕が量産された暁には人類は皆安眠を得ることができるだろうなぁ」


 スラ枕とは枕の代わりとしてスラを頭の下に敷いて使う事だ。

 もちろん、ペット虐待じゃないぞ?こうなったのにも正当な理由がある。

 

 スラを飼い始めた時、俺はスラの寝床が必要だろうと思って手作りの犬小屋を2日かけて作って庭に置いたことがある。

 見た目も強度も利便性も良し。

 中々良い作品に仕上がったと思っていた。

 だがスラは何かが気に入らなかったらしくスラが寝る時は犬小屋に行かずに俺のベッドに潜り込む。

 

 頑張って「GO、HOME!」とスラを躾けても行き先は犬小屋ではなく俺の部屋。

 残念ながらその時にのスラにとって俺の部屋=スラの部屋と思われていた。


 どうしようもなかったのでそのまま俺の横に置いてスラを潰さないように寝ていたが、ある日、スラを頭の下にしいた状態で目覚めた。

 おそらく寝返りを打ってそのまま下に敷いてしまったのだろう。


 その当時スラのについて全く知らなかったから、頭の重さに耐えられるとは思っていなかったがスラは何事もなく元気そうに跳ねていた。

 スラは夏は水枕のように冷たく、冬は湯たんぽのように温かくなってくれておまけに用途に合わせて柔らかさや形状もスラが調節してくれるから枕としてすごく便利だった。

 なのでスラは俺の枕として職務を全うしてもらっている。 

 

 後々になって分かったことだが、スラはものすごく丈夫な生き物だと判明した。

 確認しただけでも、この4年間に誤って足で踏まれること30回以上、高層ビルからの飛び降り2回、トラックに潰されること1回。

 強い力衝撃がスラにかかると弾ける散るが、すぐに復活して元通り。

 自殺願望でもあるんじゃないかと思ったが、大体スラの不注意で弾け散っている。


 もしかしたら物理的な攻撃ではスラを倒すのは不可能かもしれない。

 スライムはスライムでもLv99の最強スライムなのかもな。


 まぁいいや、もう一眠りするか。



◇◇◇◇◇



 ピンポーン

 

 意識がなくなるかどうかのタイミングで玄関からチャイムが聞こえた。


 「はいはーい、行きますよ~」


 どうやら母さんが応対しに行ったようだ。

 まかせたぞ母さん、俺は寝る。


 トントントン

 

 「なお君、お友達が来てるよ~」


 「……友達?」


 しばらくすると、俺に伝えるために母さんが部屋まで来た。

 何が嬉しいのか知らないがニコニコしている。


 「俺に友達はいない。きっと詐欺か何かだろうから追い返しておいてくれ」

 

 「またまたそんな事言っちゃって~。来てるのは陽菜ちゃんと陽菜ちゃんの友達だよ?」 

 

 「一体、何の用だ……?」


 まさかこの前、陽菜の体操服を諸事情により黙って借りたことがバレちゃったか!?

 しかも友達連れてかよ。やっちまったなぁ。


 このまま体調不良を装って会わないようにしてもいいが、もし陽菜が母さんに体操服をパクられた事を言ってしまったら家族会議まったなし!

 だからこのまま寝ている訳にもいかない。めんどくさいが陽菜に説明せねば。


 「ああ、そう言えば海に行く約束だったな。夏休みとなんだから海くらいは行かないとな!」


 「勉強会をするって言ってたけど?」


 「えっ?」

 

 「ん?」


 勉強会?そんな約束したっけ?


 むにゅむにゅ


 「"うにゅ~( ´∀`)"」


 スラをむにゅみゅにゅ触ってマッサージをながら思い出そうとしたが、ただスラを気持ち良くさせただけで思い出すことができなかった。

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