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アナザーストーリー  作者: りょーじぃ
第一章 国家公務員になる
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第8話 襲撃と仲間

2016/1/30 文構成を修正実施

 第2生物が出没した地点まで、およそ50キロの地点。

 2人は中央道をかっ飛ばす。


 宮田ミヤダへは常時連絡が入っているが現状は厳しいらしく、第2生物相手ではあと2時間持てばいいくらいだと宮田ミヤダは話す。


 暫くすると、高速道路の彼方から黒い大きな雲が涌いて出てくるように上空へと登って行く戦闘場所が見えて来て、それと同時に上村の体に強ばる様な感触が伝わって来る。

 以前に体験したことのある感触だ。


 これは第2生物の特殊能力の範囲に入ってきているのだろうと感じる2人は、しばらく進むと特殊能力を受けた影響で道路は車の立ち往生し大渋滞になっている光景に、ここはもう既に特殊能力の範囲内だと理解し宮田ミヤダは即座に指示を出す。


「上村!横の路側帯を進め!!」


 宮田ミヤダの言葉に上村は反応し、即座にハンドルを切ると車はスキル音を上げ左端の路側帯へ進入する。

 走行車線は止まった車が多数あり塞がって身動きが取れない状態だが路側帯はまだ走れる状態で、暫く進むと先程の黒煙が目の前まで迫って来ていた。


「そこのインターで降りろ!」


 宮田ミヤダの指示で路側帯からそのままインターへ降り下道に入る。

 一般道になればこの先も道が開いている保証はないが、目的地はもう目と鼻の先にまで来ている。


「このまま車が行ける所まで行け!道が無くなったらそこで車は置いて行く!」


 先程から、宮田ミヤダは両目を閉じている。

 この特殊能力に耐性が無い場合の回避方法は目を閉じる事で、目を閉じれば動けるようになるが前が見えないので移動が出来ないが、体制を持つ上村がいれば進む事は可能だ。


「道が無くなります、目的地まではおよそ3キロ程です!」

「よし!ワシは西側に居る1体と気配を辿って相手する!お前は東に居る1体を相手しろ!倒し次第、中央にいる残り1体を倒す!」

「わかりました!」


 その先は立ち往生した車で溢れた行き止まりになっており、上村はその場で車を止め2人は互いに進む場所へ走り出しす。


 ナビの残り距離は約3キロ。

 生物の特殊能力は常に発動している訳ではなく、戦闘を行う場合や近距離の相手に能力を使う場合は途切れる為、宮田ミヤダはそのタイミングをみて移動し気配で相手を探り近づく作戦を取る。


 上村の行う特殊能力の解除方法は頭の中の2割程度別の事を考え事で、以前殺され掛けた時、走馬灯にように記憶が出て来た後体が動くようになった事を思い出した方法で、移動阻害に掛かった時は少し雑念が入れば抜け出す事が出来たが、大島隊長もそれを他の人に訓練をさせたが駄目だったらしくこれは特殊能力という見解になっている。


 上村は頭の整理を終えると体が動くようになった。


「・・・よし。」


 動くようになった体を確認した上村は東を向き爆音と霧のような煙の上がる戦場へ走り出し、戦場へたどり着くと思ったより静観な世界に上村は驚く。


 目の前にはダガーのような短刀とハンドガンを二刀流のように持ち、倒れた生物の前に仁王立ちしている人間がいる。

 その風貌はこの時代に似合わない長いローブを身にまとい、ちょと大きめなトンガリ帽子を軽く被るその姿はまるで西部劇に出てる様な人で、生き残った自衛隊の人も口を大きく開けていて、その風貌か生物に驚いてるのか分からない様子でその戦局を見つめていた。


 その人物を横目に上村は負傷した自衛隊の方々の様子を伺い、携帯を取り出し省舎へ連絡をし救援を要請していると、救護をする上村に気付きその人物は不思議そうに声をかける。


「うん?あんた誰や?普通の人間やと、そんな流暢に動けるはずないんやけどなぁ。」


 その人物は生物の能力を知っているようで、ここで動ける上村に少し驚いた表情を見せ話掛け、上村も一通り連絡と応急処置を済ませその人物と顔を合わせる。


「私は上村と申します。謎の生物対策省第二部隊隊員です。」

「おー!お前第二部隊の人間か!?ワイは同じ第二部隊に入隊する増田っちゅうもんだ」

「え?あなたが増田さん!?」


 親指を己の顎に引き寄せ背筋をそりながら増田は自己紹介をする。

 確かに関西圏から向かっているなら集合予定の場所との中間になるし、これだけの騒ぎならこっちへ向かうのは当然だ。


「丁度着いた所やったけど、間に合ったみたいやな。」


 死体になった第2生物に短刀を向けてポーズを取るその姿に上村は、ちょっとナルシストっぽい人だなと感じる。


「ところで隊長は?」

「あ、今別の所で第2生物の相手をしています。」

「そうか、じゃあそっちだ大丈夫やな。よし!そっちは隊長に任せてウチらはもう一体を倒すか!」


 宮田ミヤダがいるとわかると増田は安心した表情を浮かべ、北側に浮かぶ光を見つめて短刀とハンドガンをしまい走り出す。


 その姿を見て慌てて上村もついて行こうとしたが、彼の運動能力は並じゃなくいくら走っても差が詰まらないどころか一気に離されてしまう。


「上村クン!はよ付いて来なよ!」


 そう言っても彼のスピードは尋常じゃない。

 あなた全国狙えますよ!って言いたい・・・。

 そう感じながら、上村は増田に追いつこうと必死に両腕を振り走りながら「こりゃ、やっぱり訓練せねば」と心から思い、ようやく現場に着いた時にはもう増田は生物と睨みあっていて感じてはいたが、既に生物は特殊能力を発動している。


 身動きが取れない様子の増田を見て上村は助太刀しようとハンドガンを構えるが、動けない状態だが増田は思ったより冷静な表情で上村の助太刀を一旦止め口元を緩めた。


「まあ見とき。これが耐性のない人間の戦い方や。」


 そう話した増田は生物をじっと静かに見つめ、生物は刀を振り上げ上段へ構え上から切り裂く構えを取り生物の目が大きく見開いたと同時に、驚くことに増田は目を閉じる。

 だが増田は振り下ろされた刀より素早く動きその攻撃をかわし、相手が右利きと見ての動きですぐさま生物の左側に回る。


 生物は振る降ろした刀の軌道を横に変え増田を襲うが、目を閉じた増田はそれを状態を反らす事で紙一重で交わす。

 それは一瞬の出来事であったが、間違いなく増田は生物の動きを読み行動していて、さっき増田が見つめていたのは相手ではなく戦いの間合いだったのだ。


 相手の間合いを読みその範囲内で攻撃をかわし、隙を見て間合いに入り攻撃をするシュミレーションを描いている。

 シュミレーションが終われば、後は目を閉じて動ける状態になったらシュミレーションどおり行動する。


 普通に考えれば目を閉じた時点で俊敏な動きなんて無理だと思うが、彼はそんな事を気にもせずに華麗な動きで生物の攻撃をかわし、その後すかさず脇から抜かれたハンドガンで相手の足元を狙い打ちすると右足に当たったプラスティック弾は相手の足を腐食で侵食し、踏ん張りの利かない生物はモーションなしで刀を増田に向け振り回すが、その猛攻をいとも簡単に交わし相手の間合いに再び詰め寄ると、もう片手にある短刀を取り出し素早く相手の胸に突き刺した。


 時間にして一瞬の出来事だったが、増田の動きは華麗且つ人間離れしたスピードだった。


 だが、急所を突いたと思った矢先、生物は痛がる素振りも見せず間合いに入った増田目掛けて左腕を突き出し、増田は両腕をクロスして後ろへ飛びダメージ軽減を狙ったが、リーチの長い生物の左腕がクロスした両腕を捉えて増田は弾き飛ばされ、飛ばされた衝撃で建物の壁に当たり増田は前のめりに倒れる。

すぐに意識は戻ったがダメージは大きそうだ。


「・・・なんでや、あの攻撃で倒せないなんて。」


 うつ伏せの状態のまま狐につままれたような表情で増田は生物を見つめる。

 多分あのナイフは隊長と同じ特殊プラスティック製で、胸に届いた攻撃なら致命傷になっているはずがあの生物は痛がる素振りはみせたが、致命傷と言えるほどのダメージは与えていない。


「まさか、あれが耐性後の生物か。」


 目の前に居るのは恐らくこの刀を置いて戻った生物で耐性能力で強化された生物だ。


「…ふーん、なるほどコイツが耐性能力か。上村!まだワイがやってもいいか?」


 上村の言葉に増田は不適な笑みを見せ、上村に譲らない姿勢を見せ以外にもまだヤル気満々だ。


「策はあるんですか?」

「いや、ちーとばかし油断しただけや。次は本腰入れて相手しちゃる。」


 そう言って立ち上がったが、増田の足は少し震えていてまだダメージが残っている。


「でも次は、私も加勢します。」

「ほう、一緒にやるっちゅんか。」

「増田さんばかりに美味しいところ持っていかれたくないですからね。」

「おもしろい事言うな自分!」

「それに、まだこの刀も試していませんしね。」

「それが秘密兵器かいな。」


 上村は古紙で幾重にを巻いてある塊を取り出し巻いてあった紙を剥がし刀を抜いくと、その刀は青白い不気味な光を放つ刀を見た増田は生物と同じあの刀だとすぐに分かる。


「おーし、ワイが隙を作る、そこを狙って行け。」


 刀を手にしたばかりの上村では刀を持ち続けられる時間は持って数秒で、間合いに入らなければ勝機はない。

 隙を作る為に先陣を切り生物を見つめ間合いを掴んだ増田は、目を閉じて生物目掛けてに突進すし、生物は胸に刺さった短刀を抜き出しそれを向かってくる増田目掛け投げ放つが、増田はそれをかがみこんで避けると一旦地面着地し脚力を溜めさらに加速する。


 生物と戦う増田を見ながら隙を覗う上村は手に持ったままではすぐに体力が無くなってしまう為、刀を大地に刺し生物のスキを狙う。


 増田は生物の間合いに入る寸前、両足を前に出し減速し即座に後ろへ飛びハンドガンを打ち放ち、それを生物は刀を振り抜く事で発生する気で振り払いもう一方の片手の拳を振り抜く。 増田はそれをかわし拾った短刀を生物目掛けて投げ生物がそれを刀で凪ぎ払った瞬間、生物は左下から地面スレスレより忍び寄る気配を感じとっさに視線をそらしたが、その瞬間真正面から青白い閃光が走る。


「どーりゃー!!」


 増田の放った担当を刀で払い腕が伸びきった瞬間、それが生物のスキを見つけた上村は大地に刺さったていた刀をそのまま振り抜き下段の構えのまま生物に詰め寄る。

 生物は防御に入ろうとしたが、両腕を増田・宮田ミヤダにガッチリ押さえられる。

 宮田ミヤダが応援に間に合ったのだ。


 上村の放ったソニックブームのようなその閃光は生物を真っ二つに切り裂き、やがて生物は黒い霧のようになり消え、上村はその場で膝ま着きなんとか倒せた事を実感する。


「いや!見事な切れ味だったな!」


 正面より宮田ミヤダの声がするが倒した当人はこんなんですけどと上村は思い、やはりあの刀は一筋なわではいかないと感じる。


「それにしても、耐性後の生物を簡単に切れるとは!お前は刀の腕は良さそうだな!」

「はぁはぁ…ありがとうございます。」

「しかし!あれくらいでヘバルるんじゃ駄目だな!」


 確かに、これでは戦闘では使えない。

 多数の生物がいたんじゃ次でやられている。


 上村と話した後、宮田ミヤダは隣にいる男に気付き話しかける。


「で?お前は?」

「ワイは増田です、第二部隊に合流しました。」

「おー!お前が増田か!」

「ども、ミヤタ隊長の噂は西の方まで届いてまっせ。」

「キサマー!!!私はミヤタではない!ミ・ヤ・ダ!!」


 宮田ミヤダは軍人の中では結構な有名人とは聞いていたが西の方まで知れている事に上村は驚くが、増田の会話の後の宮田ミヤダの様子が何かおかしいと思ったが、ミヤダとミヤタで間違われて本気で起こる宮田ミヤダに上村は大人気なさを感じていた。

 その後、あまり言い馴れていないであろう敬語で増田は一応あやまっていた。


 そんなに有名人なら名前間違えないと思うんですけど・・・。

 なんかウチの隊員て正常な人いないんじゃないの?


「おーし!後は自衛隊に任せてワシらは帰るとするか!」


 生物の調査等は他に任せて体制作りの続きをしなければならない。


 今回も耐性後の生物が現れプラスチックの効果が薄れたりと、生物も今後強力になるかもしれない。

 一刻も早く第二部隊の体制を作り力を付けなければならない。


 今回の目的は達成したので省舎へ戻ることにした。

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