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四十四話 再び

 「おう、天城! ちょっとこれ頼めるか?」


 天文に帰ってくるなり、頭領に仕事を任せられた。 依頼書を見ると人からではなく、神様からの殺しの依頼だった。

 今回の標的になった妖は、この前僕たちを襲ってきたあの腕が長いやつだった。 僕が逃がしたせいで三人が犠牲になったと依頼書には書いてあった。

 きっと後始末をしろ、という意味も込めて僕に依頼したのだろう。

 気持ちの整理のある程度済んだし、問題はない。



 さっそく準備をして、依頼書に書いてある場所に向かった。 その場所は、結月と別れた羅獄山(らごくざん)。 ここでの目撃情報が多いとしてあった。

 僕は刀を抜き、神降ろしがちゃんとできているか確認する。

 抜いたところから炎が燃え盛る様を見て、鞘に戻した。

 僕はまわりに意識を集中させ山に入った。

 山に入ると、いろんな音が聞こえる。

 鳥の鳴き声、獣の動き、そして僕の足音。

 すべてが耳に入ってくるほど、僕はまわりに気を張り巡らした。

 しかしそれでも、目的の妖を見つけることはできなかった。

 山頂まで登っても見つけることができないとなると、獣道まで探さないといけなくなる。

 さすがに気が滅入ってきた。 それにずっと気を張っていたせいで、少し疲れてしまった。


 「少し休もうか」


 大きく息を吐いてから、刀に向かって話しかける。


 「そうですね」


 刀を振るわして答えると、琴が刀から出て来て元の大きさに戻る。

 木の木陰に入って腰を下ろした。

 木陰の中は別世界のように涼しく心地が良かった。

 僕たちは持ってきた弁当を広げて、休憩と合わせて食事を摂ることにした。


 「花ちゃん、向こうでも馴染めてるといいね……」

 「あんな性格してるからすんなり仲良くなるだろう。 僕としては変な妖にバカをこと教わってないかの方が気になる」

 「そうだね。 ついって行ったらめちゃくちゃにされたとかね」

 「うん、そっちじゃない。 エロで返してくるな」

 「えぇー、悠がエロく感じてるだけだよぉ。 わたしはめちゃくちゃとしか言ってないもん、別に犯されるとか言ってないもん!」


 琴が頬をふくらまして怒ったあと、二人して笑った。 なんか久しぶりに笑ったような気がする。

 結月がいなくなってからずっと憂鬱としていたが、今は気分が晴れ晴れしている。

 こういうときの相方は大切だなと再確認した。




 「さて、そろそろ動くか」


 座っている琴に手を差し出して立たせてると、また神降ろしの準備を始めた。

 この神降ろしは目立つのでこれで釣れればもうけものだが、世の中そううまくいかない。 むしろ予期せぬことが起こることが多い。

 そう今みたいに……。


 「お久しぶりです! 天城さん、琴さん」


 腰に刀を差した結月が手を振りながら現れた。

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