十八話 一人の露天風呂はいいものです!
さて今日、あったことを話そうと思います。
時刻は夜の十時、誰もいない露天風呂の中で話そうと思います!
まわりを岩で囲まれた湯船の大半を覆う木製の天井。 その四隅に灯篭を垂らしあたりを怪しげに照らす中でのぼせない程度に話そうと思います!
そうですねぇ……まず今日から四ノ宮さんの助手と働くことになったのですが、ただ待合室で待っている患者さんを呼ぶだけでした。 私が四ノ宮さんの代わりに診るとか、薬を調合するとか想像してたんですがちょっと残念でしたが、ほっとしています。
それにしても、なんの予告もなく突然開くことになった診療所なのに多くの患者さんが来てくれました。 でも、そのほとんどがこの旅館の温泉が目当てでしたね。 本来旅館の温泉は宿泊者しか利用できないのですが、ここで診察を受ければ入ってもいい、と女将が表で宣伝したおかげでみんな温泉道具を持って診察を受けました。
そこでちゃっかり「宿泊料金割引券」なんてものも配るあたり、さすが女将さんと感心しちゃいました。
そして、診察をしている四ノ宮さんはちゃんと患者の話をきいて触診をしたり、薬を調合したり、しまいには温泉を勧めることもしていました。
どうやらここに来る患者さんの多くは、身体のどこかを悪くした人ばっかだけど温泉の効能だけで良くなると言ってました。 このあたりのこともちゃんと調べていたみたいですね。 私も見習った方がいいかもしれません!
最後に私のことになるのですが……、あんまりうまくいってない感じです……。
人を呼ぶだけと言われたので時間はいっぱいあると思ったのですが、患者さんに質問攻めされて私の方からはなにも質問できませんでした。
ただ人に「妖の印象はどうか」と聞くだけの簡単なことなのに……。 うーむ、もう少し強引にいかないとダメみたいですね!
ふぅ……、そろそろ頭がぼぉーっとしてきたので上がりますね。 明日も頑張らないと!
それではみなさん、おやすみなさい。




