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十話 雑な人助け

 山頂には、古びた小さな朱色の社あり、そばには大きな神木が生えていた。


「ふぅー、やっと着きましたね。 さて、ごはんにしましょう!」


 誰よりも早く神木の幹に座ると、懐からおにぎりの入った包みを取り出しかぶりついた。

 それを見届けた僕たちは近くの茂みに身を隠す。 忘れている人もいるかもしれないが、今日は人探しの仕事でここに来たのだ。 そして悪いが誰が犯人か知っている。 だから頭領も、結月という名のエサをよこしたと思う。


「天城さんたち、何やってるんですか? こっちきて一緒に食べま、きゃあああああああああああ!」


 手を大きく左右に振って、呼びかけていた結月が叫び声だけを残して消えた。


「おにぎりがあああああああああああああああああ!!!」


 わけのわからない結月の悲愴な声が上から聞こえてきた。 上を見上げると青い空に一つ黒い点があった。


「琴!」

「はい、おまかせあれ!」


 両手を勢いよく合わせると、ボンっと琴の下から煙玉が炸裂したように煙が立ち込めた。 煙が消えると琴の姿はなく、上の方で小さな爆発音がしたかと思うと、また煙が立ち込め半泣きの結月を腰に抱えた琴が姿を現した。


「任務完了です!」


 結月を地面に降ろし僕に敬礼して報告した。


「はい、ご苦労さん……といきたいが、お前何した。 さっきの爆発音は何だ」

「こうやった!」


 手のひらを僕に向けると、手で握りつぶせるぐらいの小さな火球が作られそれが爆発した。 あまりにも突然なことで両腕を交差して顔を守ると、琴がどうやって結月を助けたかを理解した。


 つまりは、まず琴が結月の元へ瞬間移動し、火球を爆発させることで犯人が反射的に両腕に持ってるものを手放し顔を守る。 その結果、落ちる結月を拾って僕の元に瞬間移動したというわけだ。


「琴!! おぬし、儂になにをするか!!」


 今度は、空から怒声が飛んできた。 空を見上げると黒い着物に大きな黒い翼、そしてなによりも特徴的な赤い顔に長い鼻を持った天狗が僕たちを睨みつけていた。 天狗はそのまま翼をたたみ、地面に降り立つと一本歯しかない下駄で歩み寄ってくる。


「儂が、そこの可愛い娘っ子をお茶に誘っておったのに! すべてが無駄になったではないか!!」

「その可愛い娘っ子はそこでうずくまって泣いてるぞ。 どうするんだ、天狗? 謝らないのか。」


 少し怒りをあわらにして天狗の反応をうかがうと、さすがに負い目に感じたらしく結月の近くにいき腰を屈めた。


「あー……スマンかったのぅ。 まさかそこまで怖がるとは思っておらんかった。 ()びの印にこれをやろう」


 懐から白い箱を取り出し、蓋を開けると甘い香りがあたり漂い結月が顔をあげた。 目は真っ赤になり、涙をいっぱいに貯めていた。


「……これ、なんですか」


 鼻をすすりながら興味本位で問いかける。


「これは西洋の菓子で『カステラ』というものじゃ。 ふわふわして美味じゃぞ」


 箱からひと切れカステラを取り出し、結月に差し出す。

 差し出されたものを受け取り、味を確かめるようによく噛んで味わった。 初めは怪訝な顔をしていたが、噛むにつれ甘さが口いっぱいに広がり表情が自然に穏やかになっていく。


「どうじゃ、美味じゃろ?」


 ニカっと歯を見せて笑うと、結月もつられてニっと笑い


「はい! 美味です!!」


 結月の笑顔にほっとしたのか、長く息を吐き安心しきった顔になり僕らにもカステラを勧めた。

 さて、人さらいの犯人捕まえないとな!

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