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プロローグ

 人は一年に何回神様にお願いをするのだろう。

 年初めには家内安全や無病息災を願い、好きな人と結ばれたいなら恋愛を、戦に勝つために勝利を、生きていくために豊作を願うなど、人はいくつもの願いを神様に願う。 そして、神様は願いを叶える。気まぐれで叶える。


「人間は甘やかすと、すぐにダメになる!」


 と踏ん反り返りながら言っていたが、全部を叶えるのが面倒くさいだけかもしれない。

 だが、大和の国だけでも億を超える人間の願いを一つ一つ叶えていくのは確かに面倒くさい。 僕もそうするだろう。

 勝ちがあるから負けがある、正解があるから間違いがある、裕福があるから貧困がある。 ようはバランスが必要みたいだ。 中でも、人間が一番バランスが取れてる。 なんでもできる人はいないし、なにもできない人もいない。

 これは神様にも当てはまる。 つまり、神様にもできないことがあるということだ。

 例えば、子供が急にいなくなることを「神隠し」というが、あれに神様は関係ない。 全部、天狗のせいだ。 天狗は、見た目が爺のくせに幼い子供が好きな変態が多いからさらうのだ。 じゃあ、なぜ「神」の字がついたのかは、実のところ僕にも分からない。 あまりつっこまないでほしい。

 話を戻すと、神様は子供をさらうことができない。 っというよりも、神様は人間に幸福と知識を与えることしかできない。 それ以外はなにもできないクズなのだ。 それにも関わらず、毎年


「妖を退治してください」

「盗賊をなんとかしてください」

「永遠の命をください」


 などと、できもしないことを願う人がいる。 こりもせずに毎年願いに来るのが鬱陶しいのか、神様はできないことを僕らに押し付けた。 最後の願いはどうしようもないが、人間は神様と違って「闘う」ことができる。でも、闘うたびに血を流し死人が出る。

 これに怒った僕らの頭領が、神様に刀を向け阿修羅さながらに叫んだ。


「頼まれるたびに死人が出るとはどういうことだ!! クズ神!!」


 なんて怒鳴りちらかしたせいで、完全にビクついた神様は土下座をする始末である。


「すいませんでした!!」


  威厳もくそもない。 そもそも神様が人間に謝るなよ。 その後も頭領の怒りが30分ぐらい続いたので割愛。

 最後に神様が涙目になりながら「神降ろし」の儀式を教えてくれた。 精霊を刀や弓矢、槍など武器に憑かせることで、大岩を切ることができたり、超常現象を起こすなど人智を超えたことができる。 いわゆる反則技みたいなものだ。

 おかげで、死ぬことは少なくなったが仕事は多くなった。

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