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自縄自縛な僕・三人の女神   作者: 松永 もっこり
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後輩編 下


沙奈ちゃんはなかなか魅力的かと

思われる。

「咲人、今日は寄り道していくのか?

どこに行くんだよ。」


何気に家が近かった誠とは

一緒に下校することにした。

いい奴だし、おれにはわからないことが

まだまだ多すぎるからな。


「あぁ、今朝に妹が拗ねちまってさ。

機嫌取りにケーキを

買わなくっちゃならなくてさ」


咲人は妹にはかなり甘い。

これも本人の自覚は一切ない。

むしろこれが普通だと考えている。


「なんというか、咲人ってシスコンか?」


からかう口調で誠がいう。

いいぞ、誠。もっと言って

自覚させようじゃないか。


「シスコン?まさか!

確かに妹をかわいがってるのは

認めるが溺愛してるわけではないし

このくらい兄として当然だろ?」


ドヤ顔で言われても誠が困るだけである。

この妹にしてこの兄である。

それにしえも咲人よ、ケーキを

何個買うつもりだ。

軽く店員さん引いてるぞ。

しかし、ここのケーキは

非常に美味しそうだある。

シンプルなデザインの割には

丁寧に作られていて

老若男女問わず好みが多そうなケーキだ。


「咲人の妹さん、たくさん食べるんだね...たくさん食べるのは

悪いことじゃないけどさ...ハハハ」


「体は幼児体系なのに

胃袋だけは大人顔負けだからな。

これくらい30分かからないぞ?」


「へ、へぇ。2ホールに5個のモンブランを30分かからないとは咲人の妹さんすごいね」


「特に、モンブランが大好きでさ。

よく在庫全部買うんだよな〜。」


ドン引きしたままの誠と別れ

ケーキ屋の売り上げに

多大に貢献した咲人は家に帰るはずだった。


一方あのケーキ屋では


「モンブランが全部ないっていうの!

なによそれ、どんな怪奇現象よ!

もーダメだわ、私生きていけない。

ねぇ、店員さん。

誰がモンブラン買ったの!」


小柄な体に見事なツインテール。

華城沙奈である。この少女もまた

楓と負けず劣らずのモンブラン愛好家。

見た目からは想像もつかない迫力に

女性店員は恐怖した。


「え、ええとあちらの学生さんです。」


「学生が?今までモンブランは

私の独占物だったのに!一生の不覚だわ!

ありがとう、店員さん。ご迷惑かけました」


なんというスイッチの変わり具合だろうか。一流女優顔負けではないか?

沙奈は前をあるいている学生を見つけ

獲物を謳歌の如く全力疾走をした。

ものの10秒たたずに姿がみえてきた。

どこがで見たことある容姿だ。

あのモデルのような長身。

あれは昼の二年生。


今まで見てきた男とは

オーラからなにまで違った。

だからこそ、自分のものにしたかった。


「咲人先輩〜!!待って下さ〜い!」


咲人は足を止める。

どこかで聞いたこの声。あのお姫様か。

昼の今でなんのようだろうか?

家の目の前なのに

楓がはやく帰らないと怒るだろうなと

思いながら振り向くのだった。


「やぁ、沙奈ちゃん。どうしたんだい?」


昼に見た沙奈の100%スマイルを

真似してみたのだが、うまくいかない。

哀れだからその笑顔はやめた方がいい咲人。


「先輩、ケーキ買いましたか!?」


かわいい顔が般若の形相になっている。

もったいないなとか咲人は思う。


「う、うん。買ったよ。

それがどうしたの?」


「あの、モンブラン買いました?」


「うん、在庫全部ねっ^_^」


「やっぱりですか〜、良かったです!

え?全部!?」


「妹が拗ねちゃって

妹がモンブラン好きでさ、買ったんだ。

もしかして沙奈もモンブラン好きだった?

だったら、ウチで食べていかない?」


「え?あ、あの...」


「いいから、いいから。」


勢いよくドアがあく音がした。

どうやらこの家にも般若がいるらしい。

楓が怒っているようだ。

弁解するならいまうのうちだ咲人。


「ちょっと!うるさいよお兄ちゃん!

近所の迷惑だよ!ん?

そのおんなのひとは誰かな?お兄ちゃん?」


どうして怒った人間の笑顔は何よりも

恐ろしいのだろう?

背中がゾクゾクするのがたまらない。

っていうのは作者の主観です。


「いや、違うんだ!楓!

これは後輩の沙奈で一緒に

ケーキを食べないか言っただけだ!」


しばしの静寂。

楓はその少女に気付いた。


「あっ!沙奈ちゃんだ!沙奈ちゃ〜ん。

来てくれたの?ありがとう!」


あまりの急展開に

エジソンもガリレオもびっくり。


「あら?楓じゃない。

まさか咲人先輩の妹だったなんて。」


先程まで見せていた顔とは打って変わって

またお姫様の顔だ。


「まあ、とりあえず二人とも

家に入ってケーキ食べよ。」


それからしばらくは楓と沙奈による熱い

モンブラン大討論会が始まった。

ちゃっかり俺のモンブランも食べたな?

沙奈?食物の恨みってちょ〜怖いんだぞ?

お前ら、落ち着けよ。

和栗かイタリア栗だの

フランス栗だの知らんよ。


「でも、楽しそうだな、沙奈。

昼に見たお姫様の時よりなんかより

この素の表情の方もかわいいじゃないか」


時が止まるとはこのことを言うのだろうか?某奇妙な冒険に出てくる技のように時が

止まるのを体で感じる咲人だった。

この静けさを作ったのは

他でもない咲人だというのに。


「ちょ、ちょっと!

何言ってくれちゃってんの!?

か、かわいいって何よ!?

ま、まぁ私がかわいいのは当然の事実だし。当たり前だけどっ!

そ、そのいきなり言われると

困るっていうか、心の準備が

できてないっていうか。」


どうやら、無意識的に言葉に

出してしまったらしい。

沙奈の慌てようは俺の発言のせいか

ミスったなー。

ん、ミスったなじゃねええよ!

何言っちゃってんの!俺!?


「いや!さっきのミスっただけなんだ!

でも勘違いするなよ?

沙奈は実際かわいいから。

さっきのはおれの失言というか

何というか、ごめんな」


「また、可愛いって言った///!」


失言なのにもっと恥ずかしいことを

言ってのける、さすが咲人。

さっきよりも顔がイチゴより

トマトより赤くなっていく沙奈。


「も、もう帰る!お邪魔しましたあああ」


後悔と後悔の嵐。なんてことを

してしまったんだ、俺は。

今日会ったばかりの下級生に。

咲人よ、その後悔をさるのはまだ早い。

もっと恐ろしい鬼が君の目の前に

立っているだろう?そう、君の大事な楓だ。


「お兄ちゃん?

ちょっと正座しようか?

ね?」


「ぎやあぁぁぁぁぁ!!」


断末魔の叫びとはこれを言うのだろう。

今日の夜はこれからだ咲人。


一方、沙奈の家では


「な、なによ。あいつ!

直接言うなんてなかなか見所あるじゃない///ふんっ、仕方なく私の物に

してやるんだから感謝なさいっ!」


三人の女神が揃った。

咲人の運命の歯車は確実に

動き出している。






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