期末テスト編 中の2
早速、咲人は新しく勉強会に
加わりたいという三人について
桜子に説明した。
「勉強する仲間が増えるのは
いいことだ。もちろん、構わないよ。
ほ、本当は君と二人が良かったがな...」
桜子先輩最後なんて言ったんだ?
まぁ、いいか!
「本当ですか!ありがとうございます
三人も喜びますよ」
「そ、そうか。それは良かった。
では、放課後に昨日と同じ場所でな」
咲人は奈津美、誠、沙奈を連れて
昨日と同じファミレスへと向かった。
「では、始める前に自己紹介を
しておこう。私は、君達も
知ってるかとは思うが生徒会長の
龍ヵ峰 桜子だ。よろしく」
「私はサッキーと一緒のクラスの
鼓 奈津美です。料理部です。
よろしくお願いします!」
「僕も咲人と同じクラスの吉原 誠です
よろしくお願いします」
「私は一年の華城 沙奈です。
よろしくお願いします!」
六人揃ったとこで勉強会が
始まった。沙奈と桜子と誠は
問題ないため、主に三人が
咲人と奈津美の教師役をしている。
「やれば出来るじゃないですか!
咲人先輩〜。」
「それじゃ、俺が普段やってない
みたいになるから勘弁してくれ。」
沙奈はこれでもかとばかりに咲人の
肩やら腰を触ってくる。大胆に
なるのは恋する乙女の力なのか。
桜子は思わず、咲人の足を
思い切り踏む。どうやら沙奈の行動が
気に入らなかったらしい。
「痛っ!桜子先輩痛いですよ」
「おっと、すまない。不可抗力だ。
許してくれ。」
なんで? 今日の桜子先輩は不機嫌
なんだ?分からない。なにか
やらかしたか?俺?
(なるほどね、この会長も咲人の事
気に入ってるのね。面白いじゃない)
(この泥棒猫め、ベタベタ触りおって
潰してやる。)
二人の間でしか分からない火花が
散っている。その頃、誠・奈津美達は
「誠君!説明うまいね!どんどん
頭に入って行くよ!すごいよ本当に!
わたし、びっくり!」
「力になれて何よりさ。この調子で
テストも乗り切ろう。」
なんとも穏やかな雰囲気である。
咲人サイドとは極楽と地獄ぐらいの
雰囲気の差がある。
そうこうしている間に
時間は過ぎて行く。
「よしっ、そろそろお開きに
しようか皆。」
「そうだな、皆。ちょっと聞いてくれ
私から提案があるのだが。
明日の休日に私の家で
勉強会しないか?」
誠が、挙手をする。
「僕は構いません。むしろ、お邪魔
になるのでは?」
「いや、大丈夫だ。遠慮は
しないでくれ。どうだ?」
桜子のまさかの提案に始めは戸惑い
わしたが、咲人含める五人全員の
満場一致で桜子の家
での勉強会が決まった。
次の日、咲人一行は桜子の家を
訪れた。あまりの絶景な言葉が出てこない。
「へぇ、立派なものだね
会長さんの家。ビックリだよ。」と誠。
その反応はビックリした人間の
セリフじゃないぞ。
立派だね〜?おいおい、そのくらいで
まとめられるレベルか?これ?
「なんとなく予想はついてたけどさ
ここ本当に家か?野球できるぞ?」
桜子が玄関から出てきた。普段の会長姿
とは違い、見た目とあった非常に
清楚な格好だ。
「やぁ、よく来てくれたね。
ゆっくりしていってくれよ。
さあ、中へどうぞ。」
「ありがとうございます。
あの桜子先輩。一ついいですか?」
「なんだい、咲人。」
この疑問をぶつけずには勉強はできない!
「どうして家に弓道場が完備
されているんですか?」
「あぁ、これはね私含めて家族が
弓道をするからなんだよ」
だから、部活の練習は家でできる
って言ってたのか。確かにそうだけど
スケールが違いすぎる。
桜子除く全員が唖然となっている中
部屋へついた。
「まぁ、くつろいでくれ。
じゃあ、早速勉強会を始めようか」
「はい!」
桜子の家が和風だからか、それとも
気持ちのいい朝だからか
分からないが、気合が十分に
入る咲人であった。
「咲人先輩♡昨日言っておいた問題
ちゃ〜んとときましたか?」
早速沙奈が咲人に密着する。
恋人同士ではないと分かっていても
他人が見ても非常に暑苦しい光景であった。
「あ、あぁ。これであってるか?」
「ふむ...。おっ、あってますよ♡
咲人先輩。流石ですねー。」
「う、うん。ありがとう、沙奈。
勉強教えてくれるのはとても嬉しい
んだけどさ。あまりくっつかれると
その俺も暑いし、汗かくし...。
他の人の視線で燃えそうだし。
もう少し離れないか?」
「もぅー。そんなこといって!
照れちゃって〜、かわいいですね♡でも、
そんなこといったら
勉強教えませんよ?いいんですか?」
くっ、明らかにこの状況を
楽しんでいるぞ、この小悪魔姫様!
「問題ない。貴様が教えなくとも
咲人には私が教えるからな。」
沙奈は渋々咲人から離れる。
「分かりましたよ、分かりました。
離れればいいんでしょっ!フンッ」
「理解力があって助かるぞ、小娘」
ただですら猛暑と言うのに二人の
おかげでもっと暑くなったように
感じる。勘弁してくれよ。
誠が不意に立ち上がった。
「会長、トイレお借りしても
よろしいですか?」
「あぁ、部屋を出て右に真っ直ぐ
進んでくれ。」
「ありがとうございます。会長」
「桜子でいい。会長と言われるのは
あまり好きではないんだ。」
「分かりました、桜子先輩。」
「うむ、よろしい。」
誠がいなくなったからなのか
それは定かではないが、奈津美が
先程からペンが止まって
頭を抱えている。仕方ない俺が教えようかな
「この問題はな、...こう解くんだ。」
「え?あっ!サッキー、ありがとう。
やっぱりサッキーも頭いいんじゃん!
それより助かったよサッキーの
おかげで分かった!」
「いや、これさっき桜子先輩に
教えてもらったんだ。だから
分かっただけだよ。」
桜子が照れているのが視界に
入ったが、本人のためにも流しておこう。
奈津美の笑顔はやっぱりいいな。
きっと誰が見ても安らぐ笑顔だろう。
勉強会始まり当初はどうなるか
と思ったが、桜子も沙奈も問題を
交互に教えてくれるローテーション
方式にしてくれたので揉め事は
なくなった。
奈津美も誠とのワンツーマンで
はかどっていたようだ。
「ん?もうこんな時間か。
そろそろ、皆お開きにしようか?」
「そうだね、今日は皆も実のある
勉強だっただろうし」
「では、今日はこごでにしよう。
咲人、奈津美。私達が教えたんだ。
夏休み補習などしてみろ?
的にしてやるからな」
「咲人先輩♡分かってますね?」
「お、おう。任せとけ」
「も、もちろんともさぁ〜!」
まだまだ気の抜けない
咲人と奈津美であった。