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自縄自縛な僕・三人の女神   作者: 松永 もっこり
15/27

期末テスト編 中の1


本格的な夏にもはいったことで

いくら夕方と言えども

外はかなり明るい。未だに

グラウンドや音楽室からは

楽器の音、様々な部活動を

行っている生徒達が青春にあせを

流している。


「ふぅ、とりあえずこの問題は

正解、と。もうこんな時間か。

そろそろ帰るかな。」


誰もいない静寂につつまれた中で

咲人は一人勉強をしていた。

変える準備をしようとバッグを

整理していると封筒が出てきた。


「ん?これなんだっけ?

あっ、会長に頼まれてた写真か。

結構撮ったし、とりあえず

渡しといたがいいかな。

帰るついでに生徒会室寄って行くか」


いつもとは違う自分の廊下を

歩く音が聞こえる静かな校舎の

中を歩く。


「しつれいします。写真届けに

来ました。」


生徒会室には桜子と

副会長の一途がいた。


「何しに来たんですか?この猛獣!」


「俺は人だ。獣じゃないぞ」


「はんっ、どうだかね。」


なんでこんなにジト目で

見られなきゃいけないんだ!俺は!


「おい一途。会う度文句をいうな。」

「まだ二回目ですっ!お姉様!」


そう言うと一途は拗ねて奥の部屋へ

いってしまった。

細かいな、いがいと。


「あー、咲人君。ご苦労だったね。

どれどれ...、ほう!なかなか

いい写真が撮れてるじゃないか。

この剣道の写真なんか気迫を感じぞ。

うん、君に頼んで正解だったな。

引き続きまたお願いしたい」


「俺でよければ、是非。」


「ありがたい。それにしても君が

こんな遅くまで残るなんて

珍しいな。部活はしてないんだろ?」


「はい、実はテストが少し...」


「ははーん、転校してきたばかりで

この学園の進度が思いのほか早く

ついていけてなくてこのままだと

夏休みが補修で染まりそう!

っと言ったとこかな」


この会長、いつおれの心を

読みやがった!?凄まじいな

どんな読心術を心得ているんだ?


「まあ、そんなとこです。

情けないもので。ははは...」


「なんなら、私が教えようか?

部活の練習は家で出来るし

何せ写真のお礼がしたい。

遠慮することはないぞ。どうだ?」


咲人はこの時だけは桜子が

崖っぷちから救ってくれる聖女の

ように見えた。あの猛禽類がだ。

夏休み補習をどうしても回避

したい咲人に断る理由などなく

二つ返事でお願いした。


「ふむ、そうだな。相当ヤバイ

のであろう?では、早速今から

学園近くのファミレスででも

しようか。」


「分かりました!桜子先輩!

よろしくお願いします!!」


「いい返事だ。ではいこう。」


ファミレスに着くと早速桜子教諭に

よる勉強会が始まった。


桜子先輩、勉強教えるの上手い!

これなら、いける!!

咲人は勉強にのめり込んでいった。

一方、ファミレス前で二人の

女子高生が店内に入ろうとしていた。


「沙奈ちゃん、ありがとう!

ここの学園の勉強難しくてさ〜

焦ってたんだよね〜。」


「焦っている人間は授業で寝たりは

しないはずよ?楓。」


そう学園誇る幼児体系沙奈と楓だ。


「まぁ、いいわ。早く入りましょう

言っとくけど、私が教えるからには

赤点回避なんてそんな甘いレベルで

許さないんだからね。最低でも、

そうね。平均点より上は取って

もらうから、楓♡。」


「う、うん。頑張るよ、沙奈ちゃん」


そのスマイルに恐怖を覚えながらも

ファミレスに入って行くのであった。


「楓、私ちょっとトイレ

行ってくるから。待ってて。」


ひたすら問題と格闘している楓に

沙奈の声は届くはずもなく

沙奈は気にせずトイレを行って

勉強会の続きを再開するはずだった。


そう、咲人と桜子の姿を

見るまでは。


(ちょっと!ちょっと!ちょっと!

何よ!あの女!てか、なんで咲人

がいるのかしら!ん?あの女うちの

生徒会長だったはね、そういえば。

咲人も何よ!私という物がいながら!)


咲人に対する気持ちが独占欲から

恋愛感情に変わっているのに

気付いていない沙奈であった。

鬼のような形相で戻ってきた沙奈の

顔を見た楓は悟った。

あぁ、今日の帰宅は遅くなるな、と。


そんな事があっているとは知らない

咲人、桜子たちであった。



「うむ、今日はこれくらいにしよう。

咲人よ、君は飲み込みが早いから

多分テストも大丈夫だろう。」


「いやいや、桜子先輩の教え方が

上手かったおかげです。

本当に助かりました。」


「そ、そうか。それならいいんだ...。

うん!!では明日も頑張ろう

じゃないか、咲人よ!」


「明日もいいんですか?

桜子先輩、大変なのに。」


「なに、乗り掛かった船だしな。

元々は私が提案したんだ。

最後まで付き合うよ。

その代わり、写真も頼むよ。」


「ありがとうございます!

では、明日もよろしくお願いします」


これはなんと強い味方だろうか。

これで俺の夏休みは灰色には

ならないぞ!

希望を見出した咲人は明日を

迎えるのだった。


次の日は、どことなく気分が

晴れやかな咲人であった。


「サッキー、おはよう〜!」

「おはよう、咲人。」


「あぁ、二人ともおはよう。」


「ねぇねぇ、サッキー。誠君と

さっき話し合ってたんだけど

今日一緒に勉強しない?」


「テスト前の週末ってこともあって

剣道部も休みなんだ。どうかな?」


うーん、どうしたものか。二人の

提案は願ってもないものだが。

会長には今日もお願いしてあるし...。

かといっていつもお世話になっている

二人を無下にはできないな。

ん!そうだ!


咲人はそこで、今生桜子に勉強を

教えてもらっていること

そこに至るまでの経緯を話した。

その上で、奈津美と誠も一緒に

どうかと誘ってみた。


「へー、あの完璧超人と名高い会長

からの手ほどきを受けれるとは

すごいね。でもいいのかい?」

「そうだよ、私達が来てもいいの?

面識ないよ?」


「そこんとこは大丈夫!だって

写真を撮るよう俺に依頼したのは

会長だよ?俺が撮った写真は既に

会長に渡してるし、誰が写ってるかは

誠も奈津美もよく分かってるだろ?

俺が事情を話すから、そこは任せろ」


「咲人、ありがとう。」

「本当に!サッキー。初めて

サッキーすごいとおもったよ!」


「初めてとは、そりゃどうも...」


その時、咲人の教室のドアが

これでもかというぐらいの

音を立てて開いた。そこにいたのは


「その話

私も乗せてもらいます!咲人先輩!」

一年生の小悪魔姫様 華城 沙奈だった。


ドアの音より、沙奈が現れたことに

対しての方が驚きが大きいようだ。

一部の男子生徒は神様でも見るような

顔で沙奈を本来の意味で拝んでいる。

その圧倒的なオーラは

いつ見ても圧巻だった。

改めて沙奈の人気の高さを

実感する咲人だった。


「さ、沙奈?なんでここに」


「た、たまたま通ってそんな話が

聞こえただけです!私も咲人先輩に

よければ勉強を教えようかなと

思っただけです!」


「でも沙奈は一年生だろ?

大丈夫なのか」


それを聞いた沙奈は待ってました

とも言わんばかりの笑顔をした。


「ご安心ください♡咲人先輩。

私は二年生までの内容ならとっくに

終わらせてますから♡」


「そ、それは心強いな...」


「やあ、僕は咲人の友人。

吉原 誠だよ、よろしく。沙奈ちゃん」

「私は、鼓 奈津美!いやー

沙奈ちゃんって噂には聞いてたけど

かわいいね〜。よろしくっ!」


「すいません、申し遅れました。

こちらこそ、よろしくお願いします」


「二人は大丈夫なのか?」


「もちろん、断る理由がないしね」

「私も、楽しみだよ〜。」


これは咲人がどう足掻こうと

意味はないようであった。


「分かったよ、沙奈。会長にも

言っとくから。」


「本当ですかぁ〜!?やった〜。

流石、咲人先輩!」


この天使っぷりにはたまに本当に

小悪魔なのかと錯覚してしまう

咲人だった。



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