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自縄自縛な僕・三人の女神   作者: 松永 もっこり
11/27

咲人カメラマン編 上


咲人の今日はいつもと違う。

なにが違うと言うと、まず一つ。

楓と登校していること。

そしてふたつ。

首に一眼レフカメラを

かけていること。


「お兄ちゃん!私のこといっぱい

撮ってね!」


「声が大きいぞ、楓。周りの生徒から

ロリコンじゃないかと言われている

のが聞こえないのか?」


そんな咲人の忠告を楓を左から右へ

と受け流し、ここぞとばかりに

腕に抱きつく。


「ちょっと見て、咲人君。

小さい女の子とイチャイチャしてる」

「えー。咲人君って誠君と

出来てるって聞いたんだけどなー」


ちょっと待て、聞き捨てならない

言動を察知したぞ。

誠と俺はそんなホモぉな関係では

断じてない!否だ!


そんな咲人の思い虚しく今日も

学校に行くのであった。


「おはよう、咲人。おや?写真部

にでも入ったのかい?」


「いやこれはだな、生徒会に

入ったんだが、学校のあらゆる日常

を写真に納めてほしいと頼まれてな」


「へぇ、咲人が生徒会ね。すごいね

あの乙女の園とまでいわれている

生徒会に入れるなんてね」


「いや、雑務はしなくていいんだ。

ただ写真を撮るだけでいいらしい。」


ちょうど我らが担任が入ってきた。

さて、なんの写真を撮ろうか。

そんな事を考えてると放課後になる。


「結局、なにを取ればいいか

分からなくなった。簡単そうで

あまり思い付かないな。本当に

このままだとすべての写真が

楓だけでうまりそうだ。それは

さけたいからな...。

あっ、部活動の様子でも取れば

いいのか、簡単じゃないか。」


咲人にしては名案だと思われる。


「んー?部活か、誰かいい被写体

はいないかね?おっ!!奈津美が

いた!」


スクープを見つけたカメラマン

のように家庭科室にダッシュを

決め込む咲人であった。


「奈津美!写真撮らせてくれ!」


咲人よ、今は部活の時間というのを

忘れたのか?料理部推定30人近くの

女子が君をガン見しているぞ。

ようやく自分がドアを勢いよく

開けた事によって、注目の的に

なっていることに気付いたようだ。


「なにあの人?」

「え?あんたしらないの?二年生の

夢崎先輩じゃない!?転校してきた

ばっかりなのにファンクラブ出来てる

ぐらい人気なのよ!?」

「咲人様だ〜、うわっ本物始めて

間近で見た!顔小さい〜キレイ〜」


「あれが咲人君?可愛い子ね」

「なにあんた、年下が好みなの?

まぁ、あれだけ美形だと

年下もありね」 ゴクリ...


おうおう、咲人よ。一年生だけで

なく三年生のお姉さんからも

もててるとは、女性が苦手なのに

難儀な事だ。


え?なにこの状況。引かれると

思っていたのに恍惚とした目で

見られているだと?

それよりも何だ、奈津美に写真

撮らせてもらわないと。


「奈津美、生徒会で学園や生徒の

写真を撮ることになってるんだが

奈津美が料理してるとこ撮らせて

くれないか?」


「え、えぇ?私?いや、サッキー

知っての通り私料理下手だよ?

私より上手い部長とかの方が

いいんじゃ?」


遠慮がちになる奈津美。

確かに苦手な事をしているのを

写真に撮られるのは少なかれ

気後れするだろう。


「確かに、奈津美が料理が苦手なのは

知ってる。でも、奈津美の

一生懸命な所は料理の得意不得意

関わらずカッコいいんじゃないか?」


咲人の必殺100%スマイル!

奈津美が顔を真っ赤に

するなかこの一部始終を

見守っていた部員がまた沸く。


「キャー、咲人先輩カッコいい!

私を撮ってぇぇぇ!」

「いや、是非私を!」

「いや、年上の私がリードしよう」


「奈津美さん、いいじゃない。

撮ってもらいなさい。」


料理部の部長だろうか?

聖母のように柔和な笑顔で言う。


「ぶ、部長...。うーん、分かりました!

鼓 奈津美!頑張ります!」


「本当か!ありがとう奈津美」


「いや、サッキーにはお世話に

なってるし。このくらいお安い御用

だよ!サッキー!」


やっぱり奈津美の笑顔はいいな。

暖かさを感じる笑顔だ。

見るもの全てを包んでくれそうだ。


「よしっ、早速始めるぞ!」


無事に撮影が進む。奈津美は真剣

そのものの表情。前見た時より

確実に上手くなっている。

よくみると、手に絆創膏が何箇所

か貼ってある。努力家なんだな。

思わずカメラのシャッターを切る

手が止まるのを抑えつつ、ここぞと

ばかりにシャッターを切る。


「うん、いい。最高だ」


「はい、出来たよ!サッキー!

あの頃のホットケーキとは

訳がちがうんだから!」


「ほう、ではお手並み拝見と

いかせてもらうか。」


そんなことをしなくても美味しいのは

目に見えて分かった。

本当にあの頃とは訳が違う。

フンワリしていて、甘すぎず

いくらでも食べれそうな感じだ。

こんなに成長するとは圧巻の一言だ。

「美味しいよ、奈津美。」


「本当に!?サッキー!?

ほんとにほんと!?やったあ〜」


「男は胃袋を掴んだもの勝ちですよ

奈津美さん。」


「部長///そんなんじゃないです!」


なにはともあれ、いい写真が撮れたな

この調子でガンガン撮って行こう!

おっと、咲人よ。ただで帰れるとは

思っているまい?他の部員の闘志が

もえあがっているのにきづかないか?


「咲人先輩!私のも食べて下さい!」

「何よ!あんただけズルいわ!

咲人さん、年上の私の料理食べて

くれますわよね?」

「先輩は引っ込んでて下さい!

咲人様、是非私のを!」


「ま、まぁみんな落ち着いてよ。

た、たべるからさ。」


次の撮影までしばらくかかりそう

だな、咲人。















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