生徒会編
俺は今どこにいる?見渡す限り
真っ暗な世界。嗚呼、夢の世界か?
ここは前の高校の教室か...
てことは...
「なぁなぁ、なんであんたまだ
学校に来てんの?咲人君とは
不釣合いだって言ってんじゃん!
このブスがっ!」
やめろ。やめてくれ。唯を...
「本当だよね、なんであんたが
咲人君と彼カノな訳?
意味不なんだけど?」
唯を...傷つけないでくれ...頼むから!
夢の世界にいるのに通じるはずは
ないことは頭では理解しても
体と理性が暴走する。
「シカトこいてんじゃねえよ!」
か弱い少女が机から床に叩き
付けられた。教室の隅で寝たふり
をした少年は歯ぎしりをしながら
この醜いやり取りが終わるのを
ただ終わるのを待った。
......
勢いよく体を起こす。
またあの夢か。もう嫌だ。
見たくない。でも無理なんだろうな。
この痛みは俺が死んでもきっと
ついてくるに違いない。
徐々に気温が上がり、冬眠したいた
虫、幼虫やサナギだった虫達は
この季節をまちかまえていたかの如く
暑さに負けずに動き回る。
まだ、起きるには早い時間か。
こんな時はシャワーを浴びるに限る。
転校してきて早くも2、3ヶ月が
経とうとしていた。
転校して以来、なんだかんだで俺は
この学園を気に入っている。
その明白な理由は分からない。
ただ、なんとなかおもうのは
どんな人間であれ受けいれてしまう
この寛容な雰囲気だろうか?
シャワーを浴びてサッパリした咲人
はまだ寝ているであろう楓のために
朝ごはんを作り、早めの登校をした。
咲人にも勘といいものがある。
特に女性関連には敏感であるが、咲人
も動物だ。動物的本能には敵わない。
「やあ、学校フェチの咲人。」
こうして早く学校にいく度出くわす
生徒会長 龍ヵ峰 桜子。
美人で才色兼備なのだがなかなかの
腹黒さを持ち合わせている。
完璧な人間など存在しないのだ
と証明するための証拠品のように。
「桜子先輩、いい加減その
学校フェチとかいうあだ名やめて
下さいよ。」
「そうか?私は案外気に入ってる
のだがな。」
分かってくれたか、流石会長。
物分かりがいい。
「なら野獣咲人ってのはどうかな?」
「余計悪いわっ!だから野獣じゃ
ないですって!」
この人相手だと調子が狂う。
よく生徒会の人はついていけるな。
その精神に脱帽します。
「今日は君に用があるんだよ、咲人」
嫌な予感しかしない...。
「是非生徒会に入ってくれないか?
もちろん、君の性格は分かっている
雑務をしろとは言わない。
君にして欲しいのは、この学園の
日常生活を写真に納めて欲しいんだ」
え?それだけ?どうせ、変なのが
来ると思っていた咲人は安心する。
「なんで、写真ですか?」
「写真があるとさ三年生のアルバム
やあとは文化祭の時に貼ったり
来年の学園のパンフレットだったりと
色々使い道があって便利だからだよ」
なるほど、この会長やっぱり
頭がいいな、もったいない。...
常に一言多い咲人だった。
「でも、生徒会って女子だらけで
あの副会長 高坂 一途さんも
いるでしょ?そこんとこ大丈夫
なんですか?」
咲人の疑問も最もだ。あの副会長には
嫌われているのは明白だし
女子が苦手な咲人にとってあの空間は
非常によろしくない。
「一途のことなら心配するな。
私がなんとかするよ。それ以外の役員
の了承は得ている。やっぱり役員会議
の時のお前は印象的だったようだ。」
雑務はしなくていいのか、まぁ
生徒会ってのも評点高いし
帰宅部のスローガンに傷がつくのが
心苦しいが仕方ない。
「分かりました。俺でよければ
それします。写真に納めれば
いいんですよね?」
桜子のこんなに喜んだ顔を見たこと
はない。目がいい意味で輝いている。
「本当か!そうかそうか!
はい、これがカメラだ。早速今日から
取り組んでくれ。適当に写真が
集まったら私に直接渡すか
生徒会室に置いとけばいいから。
いや、本当によかった!
最高だ!咲人。じゃあまたな。」
そんな訳で生徒会に所属することに
なった咲人。これからまた彼の
生活は忙しくなることだろう。