転校編
トラウマによって女性が苦手な主人公
夢崎咲人。
しかし、彼女達三人の出会いにより
変わっていく
いつからだろう、女性が苦手に
なったのは。やはり、あの出来事か。
きっと一生僕のしがらみとしてあの
彼女に巻き付いた縄のように
ついていくのだろう。
ずっとそう思い続けてた。
彼女達と会うまでは
いつも通りの眠い朝を、今日は少し
早めに起きる。
四月とはいえ、まだ
冬の寒さを少しばかり含んだ心地いい
朝の風が眠気を多少は取ってくれる。
どうして、いつもより早いのかと言ったら、今日から新しい高校
聖リリーベル学園に通うからだ。
この学園は決して
キリスト教の学校ではない。
仏教やら様々な混合した生徒達が
集まる普通の高校である。
新しい高校であり、初の転校であり
慣れないことだらけのため
学校探検でもしようか思いながら
まだ着られている制服で通学路を歩く。
まだ通学する時間でもないためか
制服の人は見かけない。
そんなことを思っている内に学校についた。
「思ってたより、でかいな...。
ここは本当に高校か?
下手な学校の二倍は下らない面積だぞ。
それなのに学費が安いとはキリスト様の
御加護でもあるのかね、不思議なものだな」
咲人は早速驚かされた。すると
ふと、後ろから透き通った声がした。
振り返って見れば
このなかなか抜けない眠気すら
一気に吹き飛ばすような美しさを持つ
女生徒がいた。
「君は転校生の夢崎咲人だな?
転校初日から早朝に学校に来るとは
感心する心がけだ。
まさか貴様学校フェチか?」
前言撤回。なんだこの女は。
初対面で人をバカにし
学校フェチにまつり上げるとは
いい根性してやがる。
まて、どうして俺の名前を知っている!?
こいつ、新手のストーカーか!
「おっと、申し遅れてすまない。
私はこの聖リリーベル学園の
生徒会長龍ヵ峰桜子だ。
君の名前を知っているのは
生徒会長だからさ。」
ドヤ顔で言われてもな。それにしても
なるほど、やっと合点がついた。
「まぁ、学校詮索も
朝のHRには間に合うようにな。
では、また学校で会おう。」
俺、まだ何も喋ってない。
随分と一方的に喋ったな、あの会長。
でも、綺麗な人だったな。
あの少しばかりの黒さを除けば、だが。
...
そうこうしている内に時間になった。時間とは経つのが早いものである。
「昨日、担任と会ったが
あれもあれで会長と負けず劣らずの
変人だったな。大丈夫か?
俺の新しい高校生活よ、心配だ。」
そんな心配なんかしても
無駄と分かりながら咲人は
新しい教室と担任の横で
好奇な視線に耐えながら待った。
「おい、お前らよく聞けー。一
今日は新学期と同時に、このクラスには
転校生がくることになった。
紹介しろ、夢崎」
「は、はい。この度転校してきました!
夢崎咲人です。分からないことが
まだたくさんあって
迷惑をかけるとは思いますが
よろしくお願いします。」
噛むことなく、当たり障りのない挨拶を
終えて良かったと思う。
やっぱり第一印象は大事だからな、うん。
ホッとする咲人に追い打ちがかかる。
ある女子が勢いよく立ち上がった。
「はい、はい!咲人くん!質問いい?
好きな食べ物ってなに?
私は、おいしければなんでもいいかな!」
「え?ええと
好きな食べ物か...そうだな」
「うるさいぞ、質問なら後にしろ鼓。
私は二日酔いできつい。
夢崎、お前の席は〜そうだな。
吉原の隣だ。はい、以上!」
二日酔いでだるいとか自業自得
じゃないか、おいおい。
こんなんでよく教師が務まるな。大丈夫か?このクラス。いや、学校。咲人は席につく。
「やあ、夢崎くん。僕は吉原誠だよ。
誠って呼んでね。困ったら何でも言って。」
おお、エラくイケメンだな誠君とやら。
まともな人もいるものだ。
「よろしく、誠って呼ばせてもらうよ。
俺の事も咲人でいいよ。」
なかなかいい
スタートダッシュではないかと
喜んでいる内にクラスメイトに
囲まれてしまった。
どうやら、俺の高校生活は
波乱万丈のようだ。
小説って難しいですね!