ただ、愛してた
似てない双子と誰からも言われる双子の姉妹。それが私たち。
由香と私は、誰からも違うと言われた。容姿が、勉強が、運動が。
私たちを見る周りの目が、私たちに差をつける事が嫌だった。
双子だからいいところは全部持っていかれちゃったのねと、悪気無く言われる事が何度あったか。
それがどれだけ心を傷つける残酷な言葉かも知らないで。
何でもできるのはあの子。何もできないのは私。
何もかもが嫌に思った事もある。なんで私は、と思った事もある。妬んだことがないかといえば嘘になる。
でも、それは由香のせいじゃない。悪いのは全部私。
私のせいでより辛かったのは由香の方。こんな事を思う資格、私には無い。
そんな愚かで醜い私に優しい由香。
だから私はあの子が、由香が好きだった。
優しくて、綺麗で、かわいいあの子。誰もが好きになる、私の神さま。
ずっと仲良しで、出来る限り一緒に居られる事が幸せで、あの子だけが私の希望だった。
世界でただ一つの、私の光。
けれど、二人揃って異世界に連れて行かれたところから、私たちの共にいる運命はバラバラになった。
バラバラになるしかなかった。
正しいとか、正しくないとか、そんな事は知らない。
ただ、思うのは。
あの子が誰よりも、あの世界で幸せになれますように。
―――
気が付けば、私達は白い部屋に寝かされていた。
短い髪の私とは対称的に長い、真っ直ぐで綺麗な髪を持つあの子は気弱にここはどこだろうね、と呟いた。この子が綺麗なのは髪だけじゃない。この子は誰よりも綺麗。傷もニキビもない白い肌に、大きな二重の目を縁取る長い睫毛。
気弱に言うところも絵になるなんて、双子なのにどうしてこうも違うのかと違いすぎてため息もでない。
二人で身を寄せあってどれ程たっただろうか。部屋から出ることもできなかった私たちの目の前には、二人の男の人と、一人の女の子が現れた。
日本では見たことのない髪の色を持った、美しい人たち。
美しい人たちは言った。
二人のうち、一人の願いをどんなことでも叶えることができる、と。
だがその代わり、願いを叶えた子は一生元の世界に帰ることはできない。異世界の巫女として、この世界と契約するという。
そしてその子の願いが通じれば、もう一人は元の世界に帰ることになるのだと、美しい人たちは言う。
二人で一緒に帰れないなんて! その時の衝撃は言葉にできない。
実際に、何も言うことはできなかった。ただ、目の前で美しい人たちが話すことを頭で必死に理解しようとした。
だが衝撃が強すぎておそらく言われている事が半分も理解できていなかっただろう。
銀の髪を持った美しい少女が語る。
「この世界に残って頂く方は、ここにいる私たちが選ばせて頂きます。私たちは、神の前でその名前を儀式にて唱えます。そして、九十日たてば、神が一人に加護を、一人に帰還を成して下さいます」
金の髪を持った美しい男性が語る。
「ただ、無理やりここにいてもらう事はできない。けれど二人を一緒に帰すこともできない。期間は九十日。それで決まらなければ、二人ともここに残る事となる」
青い髪を持った美しい男性が語る。
「こちらの都合で、家族と離され、どちらかが世界に繋がれること、非常に申し訳ありません。ですが、我々にとっても国の存亡がかかっております。ご理解を、お願いします」
なにも、反応を取ることが 出来なかった。聞こえる説明に理解が追い付かない。
泣いてしまえるのなら、泣きたかった。
身勝手だと怒りたかった。
そんなことできないと、逃げ出してしまいたかった。
けれど。
しっかりしなければ。私があの子を守らなきゃいけないの。その想いだけが私を支える。
だけれど、やはり何も声は出ない。出そうとしても、口から音が出てこない。声になり損なった息だけが口から漏れる。
ふざけるなと、罵ってやりたかったのに。
急に、引かれる袖。綺麗なあの子は笑っている。
この白い空間に相応しくないほど、綺麗な笑顔で。
この世界の美しい人たちと並ぼうと遜色ないほど綺麗なあの子。
「私は、ユカって言います! えっと、こっちは双子のお姉ちゃんで、ユウリちゃんって言うのです!」
明るく言う言葉の真意がわからない。こんな事、今まで無かった。
けれど、あまりに私は混乱していたので、やはり何も言う事ができなかった。
腕を強くつねられる。どういうことか、わからない。この子に手荒くされるなんて、初めてかもしれない。それがまた困惑の種となる。
「ゆ、ユ、ウリ、です」
あの子に言われるままに必死で絞り出した声は、呟くようであまりにも頼りない。それでも、あの子は私を見ない。
急な世界、急に変わった誰よりも近い肉親の対応。
何もかもが急すぎて、その時の私には何も解らなかった。
運命は残酷で、一人が道を間違えてしまえば、もう交わる事は叶わない。
私は何度道を間違えてしまったのだろうか。
あの子の手を離してしまったのは、私の方。
あの子は私が居なきゃ駄目だと言っていたが、一人じゃ駄目なのは、どこまでも私だったんだ。
でも本当に、嘘じゃなく。心から私は、あの子を、




