合流
そうだ!
余ったご飯でおにぎりを作ろう。
おにぎりの中身に、焼いて余っていた肉を切って入れた。
海苔がないのは、残念。
でも、これでも十分美味しいと思う。
とりあえず10個出来たので、マリンのストレージに収納した。
お昼にサイジュと3人で食べようなって言ったら、マリンは跳ねて喜んでいた。
どんだけ食べるのが好きな食いしん坊になっちゃったの?
さてと、サイジュをスキル【千里眼】で探せるかな?
この【快適亜空間】からの方が探しやすいと思うんだけど。
アシーダの町から、視線を移動させる。
いた!
でも、誰かと一緒にいるな。
フードをかぶってるから、性別もわかんないな。
サイジュは貴族だから、従者みたいな人か?
それだったら、昨日同行者がいるって、言われててもおかしくないと思うんだけど…。
少し距離をあけたところに【転移】しようか。
スキル【隠密】で姿を隠しておこう。
スキル【転移】発動。
俺からサイジュが見える位置に【転移】した。
もちろん【隠密】も発動中だ。
少し近づいてみるか。
サイジュじゃない方が何かを話しているが内容は聞き取れないな。
けど、女の声だな。
サイジュ、まさかの女連れかよ?
「いいかげんにしてくれっ!」
サイジュの声が響く。
あっ、違った。
付き纏われているみたいだ。
「俺はこれから友達と合流するんだ。あんたは必要ない」
あっ、俺ってサイジュの友達なんだ?
ちょっと嬉しいかも。
「でも、今はいないんでしょ!?私が同行してあげると言っているじゃないの!素直に頷いたらいいじゃない!」
この上から目線の話し方とこの声は…。
風魔法でフードを外す。
やっぱりか。
俺は、【隠密】を解除して、
「おい、残念エルフ!サイジュが困ってるだろうがっ!」
残念エルフは、振り向きながら、
「誰が残念エルフよっ、ヒィーーーーッッ」
人を化け物でも見たみたいに、叫んでんじゃねぇよ。
エルフとは思えない表情してんな?
「おい、俺には二度と関わらない、話しかけない、視界に入らないってのを全て破りやがったな。契約違反だろう?白金貨3枚だな」
俺は手を出して、罰金を要求する。
「なんであんたがここにいるのよ」
「あぁ?俺がサイジュと合流する友達だからだろ?」
そのくらい気づけよ。
この残念エルフがっ!
「ほら、早く罰金よこせよ」
「あるわけないじゃない!」
はぁ!?
なんでそんな偉そうなんだ?
俺はサイジュに、対処法を確認するために経緯を説明した。
残念エルフの命を助けたこと。
残念エルフが俺の言い値で、支払いをすると言ったこと。
俺は、二度関わらない、話しかけない、視界に入らないことを条件に金を受け取らなかったこと。
ただし、条件を破ったときには、破る毎に白金貨1枚を要求すること。
それに残念エルフも同意したこと。
「サイジュ、こういう場合はどうなるんだ?」
「それは、エルフのあんたが白金貨の支払いをするに決まってるだろ」
だよな?
「だからそんなお金はない!」
お前何様だよ?
「エルフってのは、自分でした契約すら守れないのか?自分の命の対価も払えねぇの?さすが残念エルフだな。あー、落ちこぼれなんだっけ?それは払えねぇよな?」
「その通りよ」
って、おまえそれで払わなくていいと思ってるわけ?
「残念エルフ、俺のこと馬鹿にしてんのか?そんなんで許されるはずねぇだろ?」
「ないものはない!」
うっわー。
開き直りやがったぞ、こいつ。
サイジュと顔を見合わせる。
ため息しか出ねぇな。
「こういう時って、借金とかさせて払わせるのか?それとも奴隷落ちにするのか?」
俺は、サイジュに聞いてみる。
この間、アサラサダンジョンから戻った後に調べてみたら、こっちの世界は奴隷が制度として成り立っていた。
借金奴隷、犯罪奴隷とかがいるらしい。
元日本人としては、いい感じはしないけどな。
「一般的には奴隷落ちだろうな。借金奴隷になるんじゃないか?」
「ふざけないで!奴隷なんてイヤよ!」
いやいや、ふざけてんのはおまえだろ?
「あれもいや、これもむり…っておまえ子供かよっ!」
「ムリなものはムリ!!」
腹立つな。
なんか絶対に守らせる魔法とかないかな?
無くならない記憶は便利だよな。
おっ、これならいいんじゃないか?
スキル【アグリーメント】発動。
俺はデッカいため息を吐いてから言った。
「わかった、なら今回は見逃す。これ以降二度と俺に関わらない、話しかけない、視界に入らない、という条件を破ったときには、今回の白金貨3枚も上乗せで払ってもらうからな。また払えないとかイヤだとかゴネたら奴隷落ちして払ってもらうからな。いいか?」
「わかったわよ」
「契約成立!」
残念エルフが光って、手首にグルリとツタのようなアザが浮き上がった。
「何よこれ!?」
「何って、契約の証だろう?」
「ふざけないでよ」
「それは俺のセリフなんだが?どうせまた次回があってもゴネればいいとか思ってたんだろ?」
うわっ。
図星だな。
すっげぇ睨んでくるぞ。
「解除しなさいよ」
「イヤだね。本当なら今すぐ魔法で眠らせて、奴隷落ちさせたっていいんだからな?」
うわー。
ギリギリと歯軋りの音が聞こえてるぞ。
「10数えてやるからその間に消えろよ。それ以降は容赦しねぇからな」
俺は、いーち、にー、さーんと数えだすと、残念エルフは、覚えてなさいよーと叫びながら遠ざかっていった。
はい、じゅう!!
二度と現れんじゃねぇぞ!
「はー、やっと静かになったな」
「すまんな、ミゲル」
サイジュも、ぐったりしてるな。
「なんで、あの残念エルフに付きまとわれてたんだ?」
「わからん、去年冒険者になったころからずっと恋人にしてあげるとか私が付き合ってあげるとか言われ続けてる。毎回お断りしてるんだがな」
あー、サイジュに惚れてんのか。
見た目がいいと大変だな。
「顔が良いと大変なんだな」
俺がしみじみ言うと、サイジュは苦笑して、
「ミゲルはなんで、あんなに毛嫌いしてるんだ?」
「あー、助けてやったのに、地上まで送る権利をあげるから送れとか言われたしな。それにあの態度だろ?イラッとするんだよな。うまく説明出来ないけど視界に入るだけでイライラする。生理的にムリな感じ?」
エルフってだけでそんなに偉いのか?
っつうか、見えないと思ってるのかまだいるんだよな、あの残念エルフ。
さてと、どうしてやろうかな?
お読みいただきありがとうございます!
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トーヤのテンションがあがります(笑)
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