アシーダのお祭り騒ぎ1〜ザランデュエル(父)
「さて、どうしましょうか?ザランデュエル?」
「どうしたい?リデル」
俺とリデルはアシーダの町に【転移】していた。
「お祭り騒ぎね」
「あぁ、俺らも加わってくるか?」
ニヤリと笑った俺に、リデルは満面の笑みでそうしましょうと、頷いた。
それなら、まずは《精霊の宿木》に顔を出してくるか。
ミゲルと一緒に行くという、サイジュというやつにも、会っておかないとな。
「ミランジュランダ、いるか?」
奥から、ハーフエルフが出てきた。
前に会った時と全然変わってないな。
「ザランにリディじゃないか」
「よう、さっきの念話ぶり」
そりゃ、さっき念話したばかりだしな、驚くよな。
「元気だったかしら?」
「まぁ、ぼちぼちだな。で、どうしたんだ?」
「ちょっと確認だな。この町の状況ってわかるか?」
窓の外に視線を向ける。
「あー、サイジュから少し聞いている」
「教えてくれないかしら?」
リデルの笑顔が満面すぎて怖い。
ミランジュランダから、聞いた話はミゲルから聞いていたよりも酷かった。
あいつ、心配させまいとして、端折って説明したな?
「へぇー?やってくれるじゃないのよ」
あー、リデルのスイッチが入ってしまったぞ!?
ジーライとヨーゴのやつら、終わったな。
「もしかして、そのミゲルって子は?」
「そうだ、俺たちが育てている息子だ」
大切な息子だぞ。
「なるほど、通りで規格外な数の魔法を使うわけだ」
「何?」
ミゲルのヤツは、何をやらかしてたんだ?
「龍族の魔法は使ってないと思うよ。人族の魔法で色んな魔法を駆使してたみたいだね。ドブ掃除をして綺麗な状態を維持する魔法も使ってたみたいだしね。今はその魔法は感じないから解除しちゃったのかな?」
変わった子がいるなと思っていたんだ、とミランジュランダが言う。
ミゲルは、魔法を覚えるのが得意だからな。
確かに町にうっすらとミゲルの魔力を感じる。
あいつ、自分がいなくなるから、魔法解除したんだろうな。
そこまでお人よしじゃないよな。
「それで、この騒ぎはうちのミゲルちゃんを探してるのかしら?」
「たぶんな、部屋を開けたら誰もいなかったって、騒いでるのが聞こえていたからな」
ミランジュランダの長耳が、ピコピコ揺れる。
貸してる部屋を勝手に開けるとか、宿としてありえないだろう?
「どこの宿だ?」
「《トーガの宿》だそうだ」
サイジュから聞いたと、ミランジュランダは言った。
「トーガだぁ!?あの小僧もか!」
どいつもこいつもロクな大人になりゃしねぇんだな。
「ザランデュエル?どうやってアシーダをつぶしましょうか?」
リデル、本気で怒ってるな。
「待て、町をつぶすのはやめてくれ!」
まぁ、そりゃそうだよな。
「えー?ダメなの?それなら、どうやってギルドをつぶしましょうか?」
そうだなぁ。
物理で潰すか?
「待ってください!」
知らない声が割り込んできた。
「サイジュ!?寝たのではなかったのか?」
ほぉー?
この子がサイジュか。
ミゲルと王都まで行くと言う?
なんか懐かしい顔な気がするな。
『ザランデュエル、この子レティに似てるわ』
あー、確かに!それなら王家の血を引いているか?
『アルランバートの血筋だな』
『そのようね』
魔力の色がアルランバートによく似ている。
まさか、ミゲルがアルランバートの血を引くものと知り合いになるとはな。
「君がミゲルと王都に行くというサイジュかな?」
「はい」
「それで、ギルドを潰すのを待てとは?」
「ギルド本部から正式にギルマスを交代させます」
なるほど?
「そんな権限が君にあるのかな?」
ただの冒険者だろう?と言に込める。
さて、どう出る?
「あります。申し遅れました。私はトライアングリカ王家、第三王子、アルサイジェス・ラズリ・トライアングリカと申します。お初にお目にかかります。ザランデュエル様、リデル様」
やはり王家のものか。
って、なぜ俺たちの名前を?
「なぜ俺たちのことを知っている?」
「私のお祖母様のお祖母様がルクレティナーリアでございます。お祖母様からよくお二人のことを聞いていました。お祖母様もお祖母様から聞いたとおっしゃっていました。お会い出来て光栄です」
やはりアルランバートの子孫か。
「そう、レティの」
リデルは懐かしそうに、アルサイジェスを見ている。
「なぜ王子が冒険者などをやっている?」
「私は、冒険者として市井で民の目線から現状把握に努め、確認して王家に報告しています。この領は、領主から腐っている。領主変更のための証拠を集めている最中でした。その最中にこの騒動です。ギルドも領主も一新させる好機なのです」
言いたいことはわかる。
が、しかし。
「そのためにミゲルをダシにしたのか?」
「いえ、違います。今回のことはたまたま偶然が重なっただけです。ミゲルがおとなしい性格だったなら、起こらなかった騒動でしょう」
確かに、聞いた話ではかなり強気に出たみたいだしな、ミゲルのやつ。
「なるほど?で、ミゲルはアルサイジェスが王子だと知っているのか?」
アルサイジェスは俯いて、言った。
「まだ話していません」
そうか。
まぁ、言ったらどう態度が変わるかわからんから、躊躇うのはわかるけどな。
「俺たちからは言わないが、いずれちゃんと伝えてやってくれ」
「はい」
アルサイジェスは小さいけれど、はっきりと頷いた。
「あの、ミゲルは龍なのでしょうか?先程あなたたちの息子だと聞こえてしまいました」
俺たちの正体を知っていれば、そう思うのも無理はないか。
「いや、ミゲルは人族の子だ。捨てられていたのを俺たちが拾って育てた」
アルサイジェスは目を見開いた。
可愛かったよな。
赤子のミゲルも。
「ミゲルはそのことは?」
「知っているぞ」
俺たちもこの間まで、知っていることを知らなかったけどな。
「アルサイジェスくん、ミゲルちゃんが話すまで待っていてあげてね」
リデルの言葉に、アルサイジェスは頷いた。
「さて、あいつらにお灸を据えてやらんとな」
俺がそう言うと、アルサイジェスは焦って、
「ギルドをつぶすのは…」
「わかっておる」
「そうねぇ。【威圧】くらいは浴びせておきたいわね」
アルサイジェスもそのくらいなら…と折れてくれた。
あっ、俺たちと会ったことは内緒にしておいてくれな?
それなら、次は冒険者ギルドだな?
おしらせ
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