ちょっと里帰り
「ただいま!」
ドアを開けたら、むぎゅっと潰されそうになった。
「ミゲルちゃん!おかえりなさい!」
リデル母さんは、ぎゅうぎゅうに抱き締めてくる。
「母さん、苦しい…」
「あぁ、ごめんなさい。嬉しくて!」
「おかえり、ミゲル。早かったな」
「ザランデュエル父さん、ただいま」
父さんに頭を撫でられる。
「で、どうしたんだ?」
そう聞かれたので、お茶を飲みながら話すことにした。
この2ヶ月ちょいであったこと、今日のギルドでのやり取りを話した。
「それで、アシーダを離れるから父さんたちにも伝えておこうと思って」
そう言ったら、父さんと母さんの顔がめっちゃ怖くなっていた。
どうしたのさ?
「今、アシーダのギルマスはクソガキのジーライか?」
「ジーライの幼馴染ってことは、泣き虫ヨーゴね?」
あれ?
父さん達、あの2人のことを知ってるの?
「知り合い?」
俺が不思議そうに聞くと、
「あいつらが見習いに成りたての頃に、冒険者の先輩として、指導してやったことがあるんだよ」
「そうよねぇ。本当にヒョロヒョロで落ちこぼれの子たちだったのよね」
えっ?
今はギルマスはムッキムキだし、ヨーゴはブヨブヨだぞ!?
「あいつら、俺たちの子供だと知っていて、その対応か!?」
「そうよねぇ。恩を仇で返すなんて悪い子たちねぇ?」
ちょっと待ってくれ。
「俺、父さんたちのこと言ってないぞ?」
そう言ったら、
「なんでだ!?」
「どうしてよ!?」
って、息ぴったりな返しが来た。
「だって、父さんたち目立つじゃないか。注目とかされんの嫌だったんだよ」
「ミゲルちゃん、お母さんたちのこと嫌なのね」
よよよよよって、嘘泣きはやめろよ。
「そんなこと言ってないだろ」
父さんは母さんの頭を撫でて、
「リデル、ミゲルで遊ぶな」
てへって、舌出して笑うなよ。
「ごめんね?」
「もういいよ」
母さんってそういう人だもんな。
「で、アシーダを出て、どこに行くんだ?」
父さんに聞かれて、まだ言ってなかったことに気づいた。
「アシーダで知り合いになった人が、王都に戻るから一緒に行かないかって」
「王都に行くの?」
心配そうだな?
まぁ、母さんはここから出る時も、超心配してたけどさ。
「うん。いつかは行ってみようと思ってたし、王都のことを知ってる人と行くのも悪くないかなって。それにアシーダに留まるのはヤバそうだから」
母さんの目が、冷たく光った。
「どういうこと!?」
しまった、言わなくてもいい事だったな。
余計に心配させちゃうか?
うまく誤魔化す方法がみつからねぇ…。
しかたなく、ギルドを出てから監視されていたこと。
ここに【転移】する前に宿が囲まれてたことを話した。
あー、2人とも威圧やめてくれ。
俺は大丈夫だから。
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だよ」
心配してくれるのは、ありがたいんだけどね。
一応、成人してるからね?
「今日はこのまま泊まっていけ」
「あー、そうしたいのは山々なんだけど、明日の早朝に門で待ち合わせしてるんだよ」
サイジュの方は、大丈夫か?
「ミゲル、アシーダには戻らずに出発した方がいいと思うぞ」
「そうね、その方がいいわ」
「でも…サイジュと約束してるし…」
そう言うと、
「一緒に行くって人のことか?どこに泊まってるとか聞いてるか?」
「あー、それは聞いた。《精霊の宿木》だって言ってた」
ハーフエルフの人がやってるって言ってた。
「あら、《精霊の宿木》なの?それなら、ミランジュランダのところね」
「えっ?知り合い?」
「あぁ、古い知り合いだな」
古いってことは、ハーフエルフの人も寿命が長いのかな?
「ミランジュランダなら、連絡が取れるから町の外、次の村までの間で合流すると伝えてもらいましょう。今ならまだ起きてる時間よね?」
念話だろうか?
念話って、距離は関係ないのかな?
すぐにサイジュの了承の返事が、ミランジュランダさんから返って来たらしい。
これで、アシーダに戻る必要は無くなったな。
あっ!忘れてた。
「父さん、母さん。俺の従魔に会ってよ」
「「従魔?」」
俺はマリンの入っているカバンを開けた。
ぽよんとカバンから飛び出したマリンは、俺の腕にいつものように収まった。
『みゅ!〔まりんだよ!〕』
って、自己紹介なのかな?
俺にしか聞こえないんじゃないのか?
「あらあら、マリンちゃんっていうのね」
あれ?
俺、マリンの名前言ったか?
「アクアスライムか!珍しいな」
「アクアスライムって珍しいのか?」
『みゅ?〔だれ?〕』
「ミゲルのママよ」
『みゅ?〔まぁま?〕』
「そうよ」
って、えぇー!?
会話が成り立ってるよな!?
「ミゲルのパパだぞ!」
『みゅ?〔ぱぁぱ?〕』
「そうだ」
「父さんも母さんも、マリンと話せるのか!?」
「もちろんよ」
「念話があれば、話せると思うぞ?」
そうなのか?
俺は契約してるから話せるのかと思ってた。
2人は、マリンをぷにぷにしている。
サイジュの時とは違って、マリンも嬉しそうだ。
どのくらいマリンを愛でていたのか、さすがにそろそろ終わってくれねぇかな?
眠いぞ。
「ミゲルは、自分の部屋で朝まで寝ておけ。明日から歩くんだろ?」
「そうだね。なんか色々あって疲れたから眠いや」
ふぁーと、あくびが出た。
「おやすみ、ミゲルちゃん。マリンちゃん」
「おやすみ、父さん、母さん」
『みゅ!〔おやすみ!〕』
おしらせ
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