右の森に行ってみよう
夜が明け切る前に、宿を出た。
本当はFランクになった時に、右の森で薬草採取をするつもりだったんだよな。
その前にダンジョンで討伐と採取しまくったら、Dランクにランクアップ出来ちゃったんだけどな。
で、次のCランクにアップするには、800件ずつ必要なんだとさ。
もちろん魔物のランクもDランクとCランクのものでってことなんだよな。
採取はクリアしてるけどな。
でも、まだ右の森に行ってないから、採取するのも悪くないだろう。
門に向かう途中で、サイジュを見かけた。
久しぶりだな?
しばらく見かけなかったけど。
俺がダンジョンにいたからか?
その前から見てない気もするけど。
声をかけようか迷っていると、向こうが俺に気づいて近づいて来た。
「ミゲル!久しぶりだな。ずいぶんと早いな?」
「サイジュ、久しぶり。薬草採取に行くんだ」
なるほど、それで早いのかと納得したようだ。
「どっちの森に行くんだ?」
「今日は右に行くつもりだが?」
なんでそんなことを聞くんだ?
「それなら、俺も一緒に行っていいか?」
「いいけど、行ってどうするんだ?」
「ちょっとボア肉が欲しくてな」
ボア肉か。
焼肉のタレで焼いたのは、美味かったよな。
それまでは屋台の串焼きしか食ったことしかなかったしな。
ボア肉は豚肉に近かったよな。
角煮とか食いてぇなぁ。
【快適亜空間】でなら、作れるか?
いや、レシピがわかんねぇんだった。
俺もボア肉欲しいな。
ダンジョンのドロップは、食っちゃったしな。
マリンがよく食うんだよな。
「俺もボア探そうかな。あっ、薬草採取した後でだけどな」
ボアの討伐部位はどこだっけ?
「サイジュ、ボアの討伐部位ってどこだ?」
「あぁ、牙と魔石だな。皮や肉も買取してくれるぞ?」
「牙と魔石だな。皮はいらねぇけど、肉は欲しいよな」
まるっとは、いらねぇけどって言うか、欲しいって言ってもどうやって持って帰るんだって話になっちまうからな。
【インベントリ】は秘密だし。
ガンヴォルグのおっちゃんだけなら、マリンに収納出来るからある程度は、持ち帰り出来るだろうけどな。
それじゃなきゃムリだな。
ダンジョンだと討伐部位とか考えなくていいから楽だったよな。
「ミゲルは自分で料理とかするのか?」
「焼くくらいだけどな」
「今日も焼くのかい?」
「いや、薬草採取のつもりだったから、何も持って来てないから無理だな」
本当は、サイジュがいるから無理なんだけどな。
1人の時じゃないと、【快適亜空間】に入れないし。
【快適亜空間】があるから、荷物がないってのもあるけど。
「そうか、残念。強請ろうと思ったのに」
「後輩に強請るなよ、先輩」
「あははは、そうだな」
サイジュは頬をポリポリ掻いている。
「そう言えば、サイジュってランクはなんなんだ?」
「俺か?俺はEランクになったばかりだ」
Eランクだったのか。
その割には、レベル高いよな?
あっ、偽装してるんだったな。
けど、俺抜いちゃったな。
「Eランクか」
「ミゲルは?」
「Dランクになったぞ!」
サイジュは目を丸くして、すごく驚いていた。
そりゃそうだよな。
「マジか!? Dランク!?すごいじゃないか!この間、冒険者登録したばっかなのに!」
「だろ」
「どうやってそんなに早くランクアップしたんだ?」
「ダンジョンに行って来ただけだぞ」
ドヤって見せたら、笑われたけどな。
ダンジョンかぁーと、ぶつぶつ言っているな。
アサラサダンジョンなら、サイジュも問題なくないか?
「そもそも見習いからFランクに上がるのは、大変じゃなかったか?町の雑用って取り合いになるだろ?」
あー、配達とかはそうなるのか。
「いや、誰もやらねぇやつをやってたから」
臭くて汚いやつな。
「あっ、もしかしてミゲルか?すげぇキレイにドブ掃除してる見習いって?」
「たぶん俺だな。他にドブ掃除してるヤツみたことないし」
見習いどころか町の人もやらねぇもんな。
「あれって、魔法だよな?」
「そうだな。あんなの手作業でやってられねぇよ。くせーし」
ゴミ捨て場は、町の外だし。
「俺の泊まってる宿屋の近くもキレイになって、クサくなくなってさ、快適になったんだよ。ありがとな」
「いや、別に依頼でやっただけだし」
全部終わってねぇから、場所によってはクセぇんだけどな。
「町のドブ掃除って、全部は終わってないよな?」
「あぁ、半分も終わってないんじゃねぇかな?」
全体の区画数とか把握してねぇしな。
見習いの時は、20区画くらいしか掃除してないんじゃないか?
ランクアップ出来る分しかやってないからな。
残り24区画とか言ってたっけ?
「そうか…」
「なんだよ?」
サイジュはちょっと困った顔をして、
「終わってないところで、暴動が起きそうだなと…」
「そんなこと言われてもな?全部終わるまでランクアップ待ってくれとか、掃除屋のおっさんに言われたけど、俺はそこまでお人よしじゃねぇしな」
「そりゃそうだな」
サイジュは笑って、
「さてと、森に着いたけど、なんの薬草を探すんだ?」
なんの?
「見つけたら適当に、かな?」
「いつもそんな感じなのか?」
俺は頷いて、聞いてみた。
森に来たら、マリンを出してやりたい。
「従魔を出してもいいか?」
「従魔?もちろんだよ」
サイジュの了承が取れたので、カバンを開ける。
「マリン!」
ぴょーん!と、かばんから飛び出たマリンは、俺の腕に着地した。
「スライム!?」
サイジュが驚いてる。
「そう、アクアスライム!可愛いだろ?」
うちの子、可愛いだろ?
「触ってみてもいいか?」
「マリン?サイジュが撫でたいって」
マリンに言うと、マリンは、
『みゅー!〔いーよー!〕』
と鳴いた。
「大丈夫みたいだよ?」
「スライムが鳴いた!?」
「可愛いだろ?」
サイジュは、そーっと手を伸ばして、マリンに触れる。
「ぷにぷに、だな」
そうなんだよ、マリンって、ぷにぷになんだよ。
すげぇ、気持ちいいんだよ。
サイジュの男前のキレイな顔が、だらしなくなってるぞ。
大丈夫か!?
女子には見せちゃイカン顔になってるぞ!
『みゅみゅっ!!〔もういや!!〕』
マリンがサイジュの手から逃げ出した。
しつこすぎたようだ。
イヤって言われてるぞ。
サイジュにはわかんないだろうけど。
サイジュは、あぁぁぁ…って、絶望してるけど放っておこう。
マリンはいつものように、ぽよんぽよん跳ねながら、薬草を見つけては、
『みゅ!〔こっち!〕』
と鳴いている。
「おっ、強化草じゃないか!」
俺はマリンを撫で回す。
『みゅ!〔やった!〕』
嬉しそうに鳴く。
そしてまたぽよんぽよんと飛び跳ねる。
俺は【マップ】と【索敵】で、ヒール草やマナ草を採取する。
サイジュが俺たちの後を着いて来ながら、
「薬草採取ってこんな簡単な感じだったか?」
頭を捻ってるのには、気づかないことにして、採取を続ける。
そろそろ採取に適した時間帯も終わるな。
そこそこ薬草も採取出来たしな。
おしらせ
3月は【日曜日】【火曜日】【木曜日】【土曜日】に更新します。
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。




