もしかしてあいつか!?〜ガンヴォルグ(買取解体長)
ある日、色んな意味で残念だと有名なエルフの嬢ちゃんが、ボロボロの姿でギルドに駆け込んできた。
って、その色々丸見えの格好で町中を移動して来たのか?
残念にも程があんだろうよ。
受付のカティーナ嬢ちゃんに話しているのが聞こえて来たが、騙されてダンジョンの5階層まで行って、娼館のジョーティに奴隷にさせられそうになったらしい。
ジョーティは、黒い噂が絶えないがシッポを掴めずにいるのが現状だ。
確かこのエルフの嬢ちゃんは、魔法が使えない残念エルフだったよな?
どうやって、逃げて来たんだ?
あぁ、誰かに助けられたんだな。
なるほど。
今あのダンジョンに潜ってるパーティはどのくらいだったか?
どのパーティに助けられたんだ?
って、ちょっと待てよ?
最近あのダンジョンは、3階層より下層に行けてないんじゃなかったか?
さっき、5階層に行ったと言わなかったか?
何?
助けてくれた人を6階層のセーフティエリアで待ってた!?
地上まで送らせるつもりだった!?
けど、現れなかった?
なんで、6階層にいけるんだ?
ってそうか、一度でも行ったことがあれば、いつでも行けるんだったな。
そもそもなんで6階層に行ったんだ?
5階層にいたなら、そのまま1階層に転移装置で戻ってくればいいだけじゃねぇか?
残念にも程があるな。
そういえば、ジョーティはどうしたんだ?
はっ?
5階層で縛られて眠らされてる?
さっき戻る時にはまだ寝てた!?
はっ!?
2階層にも同じ状態の男どもがいた!?
どうなってるんだ?
カティーナ嬢ちゃんは、ギルマスに報告をあげに行ったな。
ってことは、確認に誰かが動くだろう。
そもそも2階層と5階層で、人を捕まえて眠らせたのは誰だ?
おっと、エルフの嬢ちゃんがこっちに来るな。
聞いてみるか。
「よう、エルフの嬢ちゃん」
「何よ、ドワーフの爺さん」
かぁー。
相変わらずエルフってのは、高飛車でいけすかんな。
「おまえさん、どのパーティに助けられたんだ?」
「パーティじゃないわよ」
なに?
「パーティじゃない?」
「えぇ。1人よ」
1人!?
1人でダンジョンに潜ってるのか!?
「どんなやつだった?」
「黄色っぽい茶色の髪で紫っぽい目の少年?」
んっ?それって、ミゲルの坊主じゃないのか?
見習いから卒業したから、さっそくダンジョンに挑戦したのか?
「名前は?」
「聞いてないわよ。とにかく失礼なやつよ」
って、助けてもらった相手の名前も聞いてないだと!?
「助けてもらったんじゃねぇのか?」
助けられたのに、失礼なやつって…。
エルフの嬢ちゃんの方が、よっぽど失礼なんじゃないのか?
「そうだけど、地上まで送ってって言ったら嫌だって言ったのよ!?」
この私が送る権利をあげてるのにっ!って、この残念エルフは何を言ってるんだ?
「おまえさんの方が失礼だろうよ、それは」
「なんでよっ!!」
それもわかんねぇのかよ。
噛みつきそうなほど、睨んでるけどよ?
「ダンジョン内は自己責任だ。助けてもらえただけでも感謝するべきだろ?なのに送れ?ふざけんなって思って当たり前だろ?」
「なんでよっ!さっさと助けてくれればいいのに、あいつは助けが必要かとか聞いてくるし、逃げてるんだからわかるでしょ!?」
いや、それはどうだろうか?
「なのに、私が盗みとかして追われてるのかも知れないとか言うのよ!?そんなことするわけないじゃない」
知らねぇよ。
助けたやつの方が正しいと、俺は思うけどな?
「助けてくれたのは、おまえさんの知り合いか?」
だったら、おまえさんの言い分もわからなくはない。
でも名前も知らないって言ってたよな?
「違うわよ」
「だったら、わかるわけねぇだろ」
やっぱり残念エルフだな。
「そもそもおまえさんは、その助けてくれた人に謝礼をしたんだろうな?」
「…お礼は言ったわよ」
あん!?
「おまえさん、自分の命を助けてもらって、礼だけかよ!?やっすい命だな。こりゃ助けた方も止めておけばよかったと思うだろうよ」
俺ならそう思うがな。
「何よ!あいつが無事に帰って来たら言い値で払うわよ。それでいいんでしょ!?」
ナイスタイミングだな。
「だってよ、ミゲル」
俺は、今ちょうど扉から入って来たミゲルの坊主に声をかけた。
言い値でいいってよ?
どうする?ミゲルの坊主よ。
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