アルテーリアで会おう〜サイジュ(冒険者)
アルテーリアで、下の兄上と会う用事があり、今はアシーダの町を離れている。
俺には兄が2人いる。
上の兄、フォリー兄上はめちゃくちゃ頭がいい。
さすがは【賢聖】ってことだよね。
頭脳明晰って、この人のことを言うんだろうなって思う。
努力型の天才なんだと思う。
表には努力していることを見せないようにしているみたいだけどね。
俺とは5歳違うけど、物事の捉え方が違いすぎる。
顔の作りは似てると思うんだけどなぁ。
雰囲気が違いすぎて、似てるようには見えてないみたいだ。
兄上は金の長髪で、いつも緩めにひとつで結っている。
サラサラすぎて、それが限界なんだそうだ。
スピネルの瞳の優しい顔立ちの美男子だよ。
自分で似てるとか言っておきながら、美男子とか言っちゃうのもどうかとは思うんだけど、見た目だけは褒められるから、そういうことなんじゃないかな?
そして、誰よりも怒らせたらダメな人なんだよ。
小さい頃に悟ったよ。
逆らっちゃダメなんだって。
キレイな笑顔なのに、目だけは笑ってないんだよ。
どれだけ怖いかわかるか?
思い出しただけでも、震えるね…。
フォリー兄上は、4属性に加えて、聖属性と光属性も有している。
全部で6属性という稀有な存在なのだ。
聖を冠する職業は、聖属性もしくは光属性が使えることがあるのだが、フォリー兄上はどちらも使えるのだ。
下の兄、バトル兄上は剣の腕がすごい。
3歳しか違わないが、まるで似ていない。
フォリー兄上より下手したら年上に見える。
貫禄ありすぎ。
俺は鍛えても筋肉がつきにくくて、ひょろっとしているが、バトル兄上はムキムキだ。
金の短髪にガーネットの瞳で、大剣を軽々と振り回す。
バトル兄上は1メートル90センチほど身長がある。
1メートル80センチある俺でも若干見上げる。
フォリー兄上は1メートル77センチくらいだ。
なんであんな大剣(長さ1メートル50センチ、幅25センチ)を振り回せるんだろう?
俺は、持ち上がりもしなかったんだが…。
さすが、【剣聖】だよね。
比べるのが間違ってるよ。
バトル兄上は、火と土、光の3属性保持者だ。
水と風には、まったく適性がなかったらしい。
ちなみに俺は、光属性がない5属性保持者だが、火属性が弱い。
バトル兄上が、1番父上似の見た目だ。
フォリー兄上と俺は、母上似だな。
アルテーリアに仕事でバトル兄上が来ると連絡が届いて、俺にも来い(推定だが)と言うので、俺もアシーダからアルテーリアへと来たわけだが…。
アルテーリアに入った瞬間から気になっている。
この町全体に広がる悪臭が…。
アシーダでは最近、ドブ掃除をしている見習い冒険者がいると聞いていた。
まだ区画的には、そんなでもないらしいが、明らかにアルテーリアの方が臭いと感じるのだ。
これはバトル兄上に報告するべきだろうか?
しかし、俺にはドブ掃除をしていると言う見習い冒険者が、ミゲルなのではないかと感じている。
もしミゲルなら、報告をしたくないと思ってしまうんだよな。
【選定の儀】を15歳になるまで、知らなかったくらいの田舎から出てきたんだぞ?
領都や王都になど、行きたいと思うだろうか?
逆に憧れて行きたいと言うかも知れないが、絶対に行きたくないと言う可能性の方が高い気がしている。
連れていかれて、良しとするようには思えないんだよな…。
一旦保留にするか…。
「サイジュ、久しぶりだな」
「お久しぶりです、兄さん」
こんな冒険者ギルドで、兄上なんて呼びかけたら頭を鷲掴みにされる。
ぎりぎりと締め上げられるのはごめんだよ。
すでに1度経験済みだ。
あの時は、頭が無くなると思ったよ。
今日はバトル兄上も、冒険者スタイルだ。
バトル兄上は、Aランク冒険者なんだよね。
あと3年で俺もAランクになれるかと言えば、間違いなくムリだ。
元の戦闘能力が違いすぎる。
「最近はどうだ?」
「やっとEランクに上がりました」
Eランクに上がるより、Fランクになる方が大変だったけどな。
やっぱり町中の雑用依頼は、大変だった。
ラクな依頼は取り合いだったし、他の仕事はキツイものばかりだった。
申し訳ないが、俺はゴミの焼却ばかりやっていたよ。
魔力があって、魔法が使えればなんと言うこともない依頼だったからな。
火属性が弱いと言っても、ゴミの焼却くらいなら問題ない。
ドブ掃除をやろうとは思いもしなかったな。
「そうか!たった1年でEランクは中々じゃないか?」
「そうですかね?」
見習いを2年とかやらないと、ランクアップ出来ない冒険者もいるらしいけどな。
「そう言えば、さっきギルマスに聞いたんだが、アシーダで無傷のフォレストスネークが持ち込まれたらしいぞ?知ってるか?」
無傷のフォレストスネーク!?
「いえ、初めて聞きました。俺がアシーダを出た後でしょうか?」
「あぁ、時期的にはそうかも知れんな。正確なところはわからんけどな」
なんかこれもミゲルの気がしてならないんだが?
だって、この間までにはなかった変化が続いている。
それには、新しく増えた誰か、つまりミゲルが関係しているのではないかと、予想が立つ。
しかし、フォレストスネークを無傷で!?
「驚きです。兄さんならフォレストスネークを無傷で持ち込めますか?」
「俺は首を一閃しちまうだろうな」
なるほど、確かにバトル兄上ならそうかも。
「お前ならどうする?」
「うーん、魔法を使うにしてもどんな魔法を使って、どうやったら無傷で倒せるのか…見当もつかないですね」
本当にどうやったんだろう?
攻撃魔法を使えば、間違いなく傷が残る。
無傷…?
可能なようには思えないんだけどな。
「アシーダに戻って、倒した本人に会えたら聞いておいてくれ。他のデカいスネークやサーペントとかに応用出来るかも知れないからな」
「わかりました。覚えておきますよ」
サーペントの皮が無傷で、手に入ったらそれはかなりの買取価格になるだろうな。
フォレストスネークの倍以上の大きさはあるからな。
個体によっては下手したら 5倍とかになるかもしれない。
金貨、もしかしたら大金貨もありえるんじゃないか?
それはすごいんじゃないか!?




