ギフト【快適亜空間】
宿屋に戻って、可もなく不可もない晩メシを食ってから部屋に戻った。
部屋の入り口は、しっかりとカギをかける。
今から試すことを見られるのは、たぶんマズい。
ステータスをもう一度確認してみたが、間違いなく、ギフト【快適亜空間】は存在している。
ギフトの欄は、スキル【隠蔽】で、見られない様にしておかないとな。
なんだよ、創造神アレクサンドリールからの詫びってのは!
とりあえず、発動してみるか。
ギフト【快適亜空間】発動。
目の前にドアが現れた。
ドアを開けると、別の空間…これが亜空間ってヤツなんだな?
開けて中に入ってすぐのところには、ダイニングキッチンがある。
たぶん20畳くらいあるな?
奥にもうひと部屋あるようだ。
寝室ってことか?
しかもトイレと風呂は別だ!
トイレは水洗だし、風呂は湯船がちゃんとある。
やっぱり元日本人としては、湯船は欠かせないだろう?
今は、【クリーン】がメインだからな。
綺麗にはなるが、やはり湯に浸かりたいよな。
確かにキッチンはある。
間違いなくある。
けどだな…?
あるだけじゃないかっ!
とりあえずシンクはあるが、コンロはねぇ。
調理道具が何もねぇ。
何処にも何も入ってねぇ。
冷蔵庫とかねぇの?
って、調味料はあんのかよ。
"創造神アレクサンドリール"様よぉ!?
中途半端すぎんだろうよ。
部屋だけ用意されても、快適じゃねぇだろ?
ヒラヒラと紙が1枚降ってきた。
なんだ!?
そう思っていたら、頭の中に声が響いた。
『ミゲルよ。喜んでもらえると思ったのだが、足りないものがあったようだな。必要なものをその紙に書くが良い』
へぇー?
要望を聞いてくれんのか?
調理道具
鍋、小鍋、フライパン、包丁、まな板、フライ返し、お玉、泡立て器、ヘラ、ボウル、天ぷら鍋とかも欲しいよな。鍋やフライパンは出来れば2つずつは欲しいよな。
食器
皿、小皿、丼、箸、スプーン、フォーク、ナイフ、コップ、マグカップ
家電
冷蔵庫はもちろん冷凍庫付き
コンロ(最低2口は必要)
電子レンジ
洗濯機
あっ、家電はこっちで使える様にしてくれよ?
寝具
ベッド
敷布団
掛布団
枕
マットレス
あとはそうだな。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、歯磨き粉、歯ブラシ
タオル、バスタオル
「給水と排水はどうなっている?」
どこまで、要望を聞いてくれるか知らんけど、思いついたものをリストアップしてみた。
「"創造神アレクサンドリール"様、こんなんでどうだ?」
また、頭の中に声が響く。
『あい、わかった。しかし細かいな…給水と排水は気にしなくて大丈夫だ』
【念話】か?
それとも、神様が直接話しかけてくれてるってことか?
まぁ、会話になるなら、なんでもいいか。
ダイニングキッチンにリストアップしたものが、積まれて行く。
マジか、全部用意してくれんのか。
「消耗品は無くなったら、またもらえるのか?」
『使った分だけ常に補充されるから、無くなる心配はない』
マジか!
「調味料も同じか?」
『もちろんだ』
なるほど、それはいいことを教えてもらったぞ。
「サンキュー、神様」
これは間違いなく、【快適亜空間】だな。
よし、さっそく肉焼いてみようかな。
ラビット肉のソテーだな。
日本の塩コショウがあるだけで、全然違うだろう?
コンロの魔石に魔力を流せば、スイッチオンだ!
ちゃんと火力の調節も出来るな。
熱したフライパンにサラダ油引いて、ラビット肉を乗せる。
ジュッといい音がした。
少しするといい匂いがしてきた。
いい感じの焼け目がついている。
ひっくり返して、蒸し焼きにする。
フライパンにはちゃんとフタがついていたぞ。
塩コショウもするのも忘れないぜ。
その間に、神様にもらった食器などを片付けてしまいたかったんだが、棚がねぇ。
神様、食器棚もくれねぇかな?
ダメだったら、明日町ん中で探してみるか。
宿屋にいるのに、食器棚とか怪しいか?
おっと、ラビット肉が焦げちまうな。
真ん中を割ってみたが、ちゃんと焼けていた。
いい匂いだ。
美味そうだぜ?
テーブルとイスは元々、キッチンにあったぞ。
皿に乗せたラビットソテーを置いて思った。
そういえば、スライムって何を食べるんだ?
前世のラノベだと雑食で、なんでも溶かすイメージだけど…。
マリンをカバンから出してみる。
「マリンは何を食べるんだ?」
みゅ?
首を傾げた様に見えるのはなんでだ?
スライムに首とかねぇよな?
マリンは、ぽよんと跳ねて、テーブルに着地した。
ラビットソテーの横をゆらゆらと揺れている。
「もしかして、ラビットソテー食べたいのか?」
『みゅっ!』
マジか!
俺は、ラビットソテーの端をナイフで切ってマリンにあげてみる。
マリンは、肉を自分に取り込んで、シュワーっと溶かしてる。
それから、ぽよんぽよんと嬉しそうに跳ねる。
嬉しいと言う感情がなんとなく流れて来る。
「美味いか?」
『みゅみゅ!!』
どれ、俺も食ってみるか。
これは、めっちゃいいにおいだな。
思いっきり肉の焼けた匂いを吸い込んでみる。
これは、絶対美味いだろ!?
噛んだ途端、肉汁がぶわぁっと広がった。
いや待て、ラビットの肉だぞ?
結構あっさりのはずだぞ!?
なんでこんな旨味が!?
やべぇ、手が止まらねぇ。
肉の横で、マリンがもっとちょーだいとアピールしている気がする。
肉を切ってあげると、みゅっ!と喜んでいる。
気づいたらペロリと食べ終わっていた。
あっ、このにおいって、亜空間の外には漏れてないよな?
漏れてたらマズいよな。
この空間から、外の様子が確認出来るのか?
あっ、出来るみたいだな。
出入りする時だけ気をつければ、宿に泊まる必要ないんじゃないか?
いや、それは怪しいか。
そう言えば、入っている間はドアってどうなってんだ?
消えてることを確認出来ればいいんだが…
神様から返事が来た。
『中からドアと閉じれば、外ではドアは消えるよ』
教えてくれんのは、ありがたいけどさ?
神様はまだ俺のこと覗いてんのか?
ヒマなのか?
『心配してただけじゃないか』
と、拗ねた口調がちょっと笑える。
『何かあったら、教会か神殿で祈って』
「あー、なんかあったらな。ギフトありがとな」
神様にお礼を言ってから、マリンを連れて、亜空間から出る。
すると、ギフト【快適亜空間】のドアは消えた。
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