ベータ3ダンジョン5
「さて、場所を変えるか」
俺たちは他に何か採取出来るものかないか、探しながらボスエリアに向かって草原を進んでいた。
「ミゲル、気づいてる?」
マシロも気になったか。
「あぁ」
もちろん、気づいているさ。
「みげるさま、いやなにおいするなの」
ヒスイの言う嫌なニオイが何かは、わからないけど、つけ回されたら、いい気はしないよな。
あやしい動きをしているのがマップにも表示されているし、気配察知で5人組がこちらの様子をうかがっているのが、丸わかりだ。
何をたくらんでるのか。
『ヒスイかマシロ狙いかもしれないから、油断するなよ?』
念話でそう伝えると、
『はいなの』
『えぇ、わかったわ。何かしてきたら糸でぐるぐる巻きにしてあげようかしら?』
いやいや待て待て。
『マシロの糸は高級なんだから、あんなのに使うのはもったいないだろう!』
『そうなのー』
『それもそうね』
貴族のドレスの元になる糸なんだろう?
あんなあやしいヤツらに使う必要はない。
『俺が【バインド】か【スリープ】するよ』
『それがいいなの』
『なら、ミゲルがお願いね』
【鑑定】したいけど、見ないと【鑑定】できないしな。
振り向いたら気づいてるのバレちゃうしな。
『みげるさまだっこしてなの!【かんてい】するなの』
『ヒスイ【鑑定】出来たのか?』
『ミゲル、神獣はみんな出来ると思うわよ』
マシロ、ため息混じりに言わないでくれるかな?
『そうなのか!ヒスイ頼んだ』
『はいなの!』
俺はヒスイを抱っこする。
俺が振り向く必要はなくなったな。
『ぼうけんしゃなのー!でもぬすみとかころしとかしてるなの』
おっと、クソヤロー共だったか。
『さて、どうするかな』
『こちらから手を出しちゃダメよ?』
マシロにそう言われて、そりゃそうだよなと頷いた。
『あいつらが、何を話してるかわかればいいんだが』
『ミゲルは風魔法の【集音】とか使えないのかしら?』
【集音】?
俺の中にはないな。
首を振ると、マシロが言った。
『魔法陣を展開するから覚えられるわよね?』
さすが神獣だな。
『音を保存する魔法とかないかな?』
『音を保存?』
『アイツらの悪巧みを残しておけないかなって』
『なるほど?』
『みげるさま、この【ほかん】のまほうじん』
ヒスイが展開してくれた【保管】の魔法陣と【集音】の魔法陣をさっそく覚えて、両方を発動した。
「ちょうどよさそうなカモがいるじゃねぇか、ゲリーちょっとボコってこいよ」
「エリックが自分で行けよ。しかしダンジョンにソロで来るとかナメてるよな」
「あの緑色のヤツの額に石がついてねぇか?フォルトは見えるか?」
「それって、伝説のカーヴァンクルとかじゃないのか!?ハンスはよく見えるな?俺は見えねぇな。イモラはどうだ?」
「あぁ、見えるぜ?高く売れそうだぜ」
あのヤロー共。
うちの可愛いヒスイをなんだと思ってんだ。
『ぶっ飛ばしていいか?』
『だから、こちらから手を出しちゃダメだって言ってるでしょ?』
はい、ごめんなさい。
『みげるさま、なんかきたなの』
あー、動き出したな。
マップに表示されてるヤロー共が、こっちに向かって走り出したな。
とりあえず【結界】張っておくか。
スキル【結界】発動。
俺とヒスイ、マシロを囲う。
ガギン!とすごい音がした。
振り向いた俺が見たのは、ハンマー?斧?を【結界】に叩きつけてるイモラと呼ばれていた男だった。
俺のこと殺す気だったよな?
「なにすんだ?」
俺は少しの【威圧】を込めて、そう言った。
ふむ。
このくらいの【威圧】じゃ、動じないか。
「イモラ!何やってんだ!」
「うるせーな、当たらねぇんだよ」
他のヤローも次々と攻撃を仕掛けてくる。
エリックと呼ばれていたヤツが、剣で斬りつけてくる。
ハンスってヤローは、モーニングスター!?
メイスじゃなくて、鉄球がトゲトゲのやつで鎖で振り回すようなヤツな。
遠心力でかなりの勢いで【結界】に攻撃してくる。
まっ、ビクともしないけどな。
フォルトってヤツが、おー!魔法使うのか。
うん、たいした威力じゃないな。
ゲリーは槍か。
1点集中で突いてくる。
「なんで当たらないんだ」
「何に阻まれてるんだ」
「結界じゃないか!?」
「なんだと!?こいつ結界箱持ってやがるのか!」
「くそっ、めんどくせぇな」
「さっさと倒して、結界箱もいただいていくぞ」
「「「「おうよ」」」」
めんどくせぇって、俺のセリフじゃねぇ?
そもそも結界箱とか持ってないけどな?
『マシロ?もう【バインド】してもいいか?』
『えぇ、もういいんじゃない?』
『みげるさま、がんばれー』
はいはい。
頑張るまでもないけどな。
スキル【バインド】発動。
俺の【結界】の周りではしゃいでたヤツらを一気に制圧した。
「何しやがる」
「ふざけんじゃねぇぞ」
ぎゃーぎゃーと騒ぐねぇ?
「うるさいな。ふざけてんのはそっちだろ?」
「なんだと!?」
なんで驚いてんの?
人のことを襲っておいて、何を言ってんのかな?
「人のことを襲って、俺の従魔を売り捌こうとしてたヤツが何を言ってんだよ?」
「なんでそれを!?」
「余計こと言うな、ハッタリに決まってる」
えぇー?
『ヒスイ、さっきの【保管】した音は、どうやったら聴ける?』
『【ほかん】にりすとでるなの』
なるほど?
おー出た出た。
『何回でも聴けるか?』
『けさなければきけるなの』
よし、それはいいな。
俺はさっき【保管】したリストからコイツらの会話を選択してきかせてやった。
いやー、見る見る顔色が青ざめていって笑えたな。
「さて、どうする?素直にギルドに突き出されるか?」
「誰がっ!!」
そう言うと思ってたけどさ。
「なら、拘束されたその状態でこのままここに放置して行くか」
「それがいいのではないか?」
後ろから声をかけられた。
「ホムラ!」
「マシロから聞いたぞ。ヒスイを売り捌こうとしてたらしいじゃないか」
「そうなんだよ」
「しかもミゲルのことも襲ったと?」
俺が頷くと、ホムラはギロリと捕まえてるヤツらを睨んだ。
「ミゲル様、大丈夫ですか?」
「問題ないよ。なんの攻撃も当たってないからな」
「確かに血のにおいはありませんね」
セツカは俺のにおいを嗅いで、怪我がないか確認したみたい。
セツカが、グワっとひと吠えしたら、襲撃者たちは泡を吹いて倒れた。
「あら?やりすぎましたか?」
セツカは、飄々としながら言った。
いや、絶対わざとでしょ?
わかっててやったでしょ!?
知らん顔しないで?
「ミゲル殿、こやつらどういたすでござるか?」
『みゅみゅ?〔みげるぱぱよぶ?〕』
そうするか?
『父さん?』
『どうした、ミゲル?さっきの奴らならヴァンボルザに渡してきたぞ?』
えっ?王都のギルマスに渡してきたの?
アイツら終わったな。
『ありがとう、けどそれとは別件でまた引き取りに来てくれないかな?』
『またか』
『今度の方がタチ悪いんだよ』
『なにがあった!?』
『ヒスイが狙われて、俺も襲われた』
『なんだとっ!!!』
頭ん中に父さんの怒鳴り声が響いた。
しまった。
【結界】で防いだこと言ってない。
『大丈夫!【結界】でひとつも攻撃当たってないから!!』
『そうか、そのアホ達は何人だ?』
『5人。今はまた【バインド】で拘束してるけど、セツカのひと吠えで気絶してる』
『………神獣様達、表に出てるのか?』
あっ、我慢してもらうって話だったんだっけ?
『少し動きたいって言うから』
『…そうか。…今何階層だ?』
『4階層だよ』
『母さんとすぐに行く』
『お願い』
「今来てくれるって」
「うむ。ミゲルよ、肉がたくさん手に入ったぞ!」
「そうね、ダンジョンコッコとダンジョンチキンは全部お肉になったわね」
「拙者、向こうに金色の卵みつけたでござる。どうするでござるか?」
金色の卵?
気になるな。
「コイツらを父さんに預けたら行ってみようかな」
「待たせたな」
「全然待ってないよ。何度もごめん」
本当にゴメンとしか言えないんだけど。
俺のせいじゃないと思うんだけど。
「そいつらか?」
俺が頷くと、母さんが両手で俺の顔を挟む。
「ミゲルちゃん、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ」
よかった!とギューっとされる。
「みんなも無事かしら?」
「水麗龍殿、問題はない」
「それなら良かったわ」
母さん苦しいんだけど…。
手加減してくれる?
人化した姿は華奢だけど、龍の力そのままだからね?
俺なんて簡単に潰れるからね?
「コイツらもギルドに突き出すんでいいのか?」
「それでいいと思うけど、ヒスイがコイツら盗みとか殺しとかしてるって言ってたから、ギルドでいいのか謎なんだが」
母さんが俺を離して、コイツらを【鑑定】している。
「あらー、かなりやらかしてるわね。ヴァンボルザに引き渡して相談したほうがいいわね」
「お願いしていいかな」
「「もちろん」よ」
父さんたちは、犯罪者を連れて【転移】していった。
なんでダンジョンって、アホばっかりいるんだろうな?
いい加減にしてほしいぜ。
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
引き続き他の作品共々よろしくお願いします!
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