【選定の儀】2
なんだ今のは?
「ようこそ、※※※くん。2度目まして!やっと来たね」
何?
聞き取れなかったけど、なんて言った?
文脈からいくと、名前っぽかったけど…。
目の前に床につくほど長い銀髪の真っ白な服を着た誰かに話しかけられた。
ギリシャ神話に出てくる神様みたいな服装?な感じだな。
2度目まして?
初めてだろ?
やっと来たってなんだよ?
「ひどいなぁ、覚えてないのかい?」
「誰?」
「あれ?本当に覚えてないのかい?」
いや、マジで誰だよ。
「僕は神様だよ」
はっ?神様!?
「そうだよ、転生する時に会ってるじゃないか」
はっ?
いや、会ってねぇよ?会ってないよな?
って、しゃべってねぇのに、会話が成り立ってんだけど?
ナチュラルに心ん中読むのは、止めてくれねぇかな?
「今更でしょ?」
いまさらって…。
「どうして、今まで【選定の儀】に来なかったんだい?」
「知らなかったし」
「えっ!?どうして?君の両親にはきちんと神託を出しておいたのに」
はぁ?
「それって、いつの話?誰の話?」
「もちろん君のご両親だよ?ちゃんと10歳の時に神託をしたよ」
ホントに神様なのか?
「失礼な!この世界の創造神だよ」
へぇー?
「俺は生まれてすぐに ダンジョンに捨てられたんだが?そんなヤツらに神託をしたところでムダだろ?」
神様が聞いて呆れる。
心の中でもっと悪態をつきたかったが、思ったことが筒抜けだからなぁ。
「なんだと?捨てられた?」
「あぁ、生まれたその日にな。
俺の赤と青の瞳が不吉だ不気味だと言ってな」
「なんということだ」
それこそ今さらだろ。
「今は、偽装をしてるんだね?」
「あぁ、そうだ。この瞳のせいで無駄に絡まれたりするのは、ごめんだからな」
ザランデュエル父さんとリデル母さんの色に、ケチをつけられんのはごめんだ。
あいつらには、死ねと言われたしな。
死体が残らないからと、ダンジョンに捨てられたんだよ。
全部記憶にあるんだよ。
あー、神様?
あんたの記憶はないけどな。
転生する時ってことは、生まれる前ってことだよな?
なら、覚えてないかもな?
「では、どうやって生き延びた?」
「そんなのたまたま拾って育ててくれた龍がいたからだろ?」
じゃないと、生きていられるわけがない。
そんなことよりも、
「なぁ、神様なんだろ?早く職業くれよ。冒険者登録して宿を探さなきゃダメなんだからよ」
町に着いたのに、野宿とか嫌だぜ?
「では…そうだな」
「あっ、勇者とか賢者とか剣聖とか聖女とかは、そういうのはいらねぇからな。そんな職業にすんじゃねぇぞ」
なんか嫌な予感がして、先回りした。
神様は、口を開いたまま止まった。
今、ぜってぇーそれっぽい職業にしようとしただろ!?
ふざけんなよっ。
「地味で目立たないやつにしてくれよ。普通に冒険者が出来ればそれでいいんだからな。使命とかもいらねぇぞ。そんなもん押し付けたらぜってぇ許さねぇからな」
押し付けられたって絶対やらねぇけどな。
俺は神様に向かって、不遜だと言われそうなことを口にする。
別にどう思われようと関係ねぇしな。
「ならば、どんな職業がいいのだ」
職業のこと、さっき知ったんだぞ?
そもそもどんな職業があるか知らねぇんだよな。
「魔法を使ってもおかしくない職業で、その職業の人が他にもたくさんいる職業ってなんだ?」
神様は唸って、
「魔法士だな」
と。
「じゃあ、それで」
魔法士なんて職業があんのか!
ファンタジーだな。
「属性は何にする?何の属性が使えるんだ?」
属性?
火とか水とかってことか?
「なんでもいい」
「なんでもって、使えない属性の魔法士になっても意味がないだろう?」
どれでも同じだろ?
「別にどの属性も使えるから問題ねぇし」
「はぁ!?全部使える、だと?」
それっておかしいのかよ?
「使えるよ。ほら早く、1番多くいる属性ってどれだ?」
「それは、火属性だが」
「なら火の魔法士にしてくれ」
「そんな適当な…」
ザランデュエル父さんと同じ属性だから、それでいいよ。
いや、むしろそれがいい。
ほら、早く!
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