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生まれたその日にダンジョンに捨てられた俺はドラゴンに育てられる  作者: トーヤ


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旅立ち

「本当に行くの?」


リデル母さんは、俺に何度も何度も同じ事を尋ねている。


俺が冒険者になるために、街へ行きたいと言ってからずっとだ。


俺も15歳になったから、成人だ。

独り立ちするべきだろう?


「行くよ。今まで育ててくれてありがとう。

リデル母さん、ザランデュエル父さん」


「父さんは心配だよ。今まで父さんと母さん以外と会ったことがないだろう?」


そう、俺は生まれてから今まで、ずっとこの場所で生きて来た。

ここから出たことはない。

父さんと母さんがいるこの場所だけが、俺の世界のすべてだった。


「そうだけど、でも死ぬまでここにいるわけにはいかないだろう?」


俺は人間で、父さんと母さんはドラゴンなんだから…。

俺を育てるために、15年間ずっと人化しているのは大変だったのではないかと思う。



「それはそうだが…」


眉毛がハの字になっている父さんに、


「大丈夫だよ、何かあったら【転移】で戻ってくるよ。その時はドラゴンの姿を見せてね」


俺がそう言うと、

2人の動きがピタリと止まった。


「知っていたの?」

「いつから知っていたんだ!?」


「最初からだよ。俺は生まれてからの記憶が全部あるんだ」


俺がそう言うと、2人とも目を見開く。


「なん、だと!?」

「どうして黙っていたの!?」


どうしてだろうな…?


「黙っていれば、本当の子供だと勘違い出来ていたから…かな?」


ちょっと言ってて、泣きたくなって来た。


「バカモン!お前は俺とリデルの子供だ!俺たちが育てた本当の子供だ」


ありがとう…。


父さんの震えている声と、母さんの抱擁に俺は泣いてしまった。


余計な事を言わずに、さっさと出て行けば良かったな…。


俺はたまに帰ってくる事を約束させられてから、今度こそ冒険者になるべく街へと一歩を踏み出した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



目的の街までは、いくつかの村を経由して4日ほどだと、父さんたちは言ってたけど…。


それって、父さんたちの移動速度でってことだと思うんだよな。

もちろん、人型の速度だろうけど。

ドラゴンなら、ひとっ飛びだろうしな。


俺の移動速度だと、さらに1日や2日は余計にかかると考えている。


初めての旅?外出?なんだから、急がずのんびりと色々外の世界を見ながら行こうと思っているんだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



アイアと言う1番近い村で作っているモウのチーズが絶品だから、寄ってみなさいと母さんが言っていた。

それはぜひ食べてみたい。

チーズが美味しいってことは、ミルクも美味しいんじゃないか?


村だから、お金よりも魔物の肉とかの方が喜ばれるらしい。


途中で遭遇したボアを狩って、【浮遊】の魔法で、ボアを浮かせて運んでたんだけど、村へ辿り着いたら、悲鳴をあげられてしまった。

驚かせてごめん。


それでもチーズやミルクと交換してくれたよ。

すげぇ美味かったぞ。

ボアはそこそこでかくて、村の全員でお肉を食べられると喜んでくれた。



その次のアイカ村では、泊めて欲しいとお願いして、代わりに何か出来る事があればと思って聞いたら、魔物に畑が荒らされて困っていると聞いて、畑を荒らしに来たウルフの群れを倒して泊めてもらったんだ。


さすがに初日から野宿は嫌だったしな。


ウルフは13匹の群れだった。

その全部を【解体】して渡した。

久しぶりの肉をみんな嬉しそうに頬張ってた。

次の日、出発する時に焼きたてのパンを分けてくれた。

ありがたく受け取ったよ。

アイア村のチーズを挟んで食べようかな。



次の村に向かう途中で、色んな魔物と次々遭遇したんだけど!?

なんでこんなにたくさんいるんだ!?

この道って、村と村を繋ぐ道だよな?

村道ってやつじゃないのか?

こんなに魔物がいたら、村の人たちは行き来出来なくねぇか?


ビッグボア3体の首をサクッと落として、スキル【解体】を使って【インベントリ】に収納した。


これで、何か食べるものと交換してもらえたらいいな。

とか思ってた時もあったんだけどな?


次から次へと、魔物が湧いて出て来た。

確かに道を少し外れたら、森だから魔物はいるだろうけど、多くねぇか?


ワイルドボアも倒した。

ホーンディアも倒した。

ホーンベアも倒した。


なんでこんなにいるんだ?


倒して、【解体】して、【インベントリ】に収納してを繰り返してたら、次の村にたどりつけなかったんだけど?


えっ!?

2日目にして野宿かよ!?

歩けるだけ歩いて、道からちょっと外れて森に入る。

けど、ここで無防備に肉を焼いて食うわけにもいかねぇし、寝るわけにもいかねぇじゃねぇかよ。


しかたねぇから、木の上で寝るか。

メシはアイカ村で、もらったパンを食べるとするか。

もらってすぐ【インベントリ】に入れたから、焼きたてのままだぜ?



日の出までうつらうつらして、さっさと移動を始めた。


アイサ村に着いたのは、たぶん10時ころ。

果物がなっているのが見えていたので、わけてもらえないか交渉してみた。


【解体】したビッグボアの肉1体分で、カゴに山盛りの果物を渡してくれた。


オマケだと言って、ジャムを少しわけてくれた。

ジャムなんてあったんだな。

お礼を言って、次のアイタ村を目指した。



今日は、野宿はしたくないからな。

アイタ村は湖のほとりにあるらしい。

父さんのオススメの村だ。

魚が食べられるらしい。

どんな魚かは教えてくれなかったけどな。

なんでだよ?



あー、そういうことかよ。


村に着いてわかった。

父さんは俺のこと驚かせたかったんだな?


村の人に、運がいいなって、なぜか歓迎された。

この湖でたまに獲れるのが、魔魚(まぎょ)なんだと。

全長2メートルくらいで高さ?も1メートルくらいあるデカい魚…魔魚。


だから、今日は宴会なんだってさ。

俺は食わせて泊まらせてもらう代わりに、ビッグボアの【解体】した肉を提供した。

宴会なら、肉もあったほうがいいだろ?


魔魚は、切り分けられて、焼いたり、スープになったり、煮込みになって出て来たぞ。


焼きたての魔魚は、魔魚と言うだけあって魔力を含んでるみたいだな。

美味かったよ。



翌日は朝から次の村へと向かった。

次のアイナ村ではタマゴを分けてもらい、さらに次のアイハ村で泊めてもらい、パンを多めにお願いしてみた。


もちろんホーンディアの肉と交換だ。

なんだったら、ツノとか皮とかも置いていくぞ?

そしたら、50個くらいパンを用意してくれたよ。

ありがたい。

【インベントリ】のパンがなくなってたんだよな。



で、次のアイマ村が、町の手前の最後の村だ。

やっぱり、4日じゃ辿り着かなかったな。

今日で、5日目だからな。


アイマ村は、町に近いからか野菜を作っているんだと。

新鮮なまま売りに行けるからか。

さすがに野菜をそのまま手に入れても、料理のアテがないな。

でも【インベントリ】にいれておけるから、残っているビッグボアの肉すべてと交換してもらった。

結構な肉の量だったけど、今までの村より住人が多いみたいだしな。

問題ないだろう。

野菜を大量に渡されて、苦笑いしたのは内緒だ。


そして、町に向かって歩き出したんだ。

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