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ワタシ死ねないみたいです。あと○○になる方法、探してます。  作者: マナマナ


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まがい物って

 完全に寝不足の一日が始まった。

 身体と頭は眠りを求めているのに意識だけははっきりとしている。

 それは見た夢があまりにも強烈な夢だったせいもある。

 むしろ今は夢の延長線上で活動しているといってもいいくらい俺の手は痺れこそ取れていたが感触はクッキリと残っている。


 この先。本当に誰かの何かの首を・・・いや、あれは夢の話だ。やっぱり現実に持ち込むのはよくないことだ。


 本当はまだ眠っているのかもしれない。俺は何度か頭を振ってみた。


「拓哉。おはよう」

 振り返ると相楽がいる。なんだか昨夜のことの再現みたいだ。天辺にあるのが太陽か月かくらいの差しかない。

 昨日のことは特に気にしている様子はないみたいに見える。俺はストレートに酷いことを言ったにも関わらず、相楽の笑顔はいつもと同じに見えた。


「眠そうだね」

 相楽は俺の顔をあおり気味で見上げる。つい相楽の首元を見てしまう。白くて細い首はまるで夢で見た首そのもののように見える。まさかな。たまたまだろ。

「なに?どこ見てんのよ」

 相楽は急に胸元を隠すように一歩距離を取った。

「わ、悪い。ただ・・・」

「ただ?なに?」

 お前の首を見ていたなんて言ったところでその説明を求められたりしたら俺には上手くできるかどうか分からない。


 首を締めている夢を見たんだ。


 素直にそう言えば納得するのだろうか。嫌な夢だった。思い出してしまう。それに手の感触がリアルに蘇ってくるみたいで気持ちが悪い。


 締めていたのは相楽の首だったのか?


 俺にはそんなことをする理由がない。


「拓哉。大丈夫?なんだかボーッとしているけど」

 俺はまた首を見ていしまいそうだったからなるべく視線を合わせないように

「お前と一緒だ。昨夜は俺も夢見が悪かった。寝不足じゃない。ただ上手く現実に馴染めないみたいなんだ」


 相楽は俺のことを覗き込むように見つめて

「分かるよ。その感じ。もしかして私、拓哉のこと巻き込んでいるのかもしれない」

 今の俺にはお前の言葉より視線に気持ちが奪われている。

 その視線・・・俺は一度だけ・・・小さな頃。見たことがあるんだ。


 男のように振る舞っていたお前はからかわれたあの日のこと覚えているのか?


「ちょっと、拓哉、聞いている?」

「あ、ああ。悪い。昔のこと思い出していた」

「昔?」

「ああ。今のお前の視線で思い出したんだ」

「思い出した?・・・何を?ねえ、それって前の私のこと?」

「そうだ。前のお前のことだ。でも似ているんだ。あの時の視線に」

「それってさ・・・聞いてもいい?」

「そうだな・・・」


 話そうにももう教室に来ていた。

「じゃあお昼に聞かせてよ」

 そう言って相楽は自分の席にゆく。俺はなんとなく後ろ姿を見ていた。

 あの感じだと覚えてはいない。いや違うな。別人だとしたら知らないって言った方がいいのかもしれない。

 俺の中ではどうしても別人という言葉が横切ってしまう。


 相楽は隣りの今井と挨拶でもしている。そこには何も変わらない日常の笑顔がある。ずいぶん仲良くなったんだな。


 午前の授業は眠気との闘いとなった。うっかりすると本気モードで寝てしまいそうでずっと手の甲に刺激を与え続けていた。そして休み時間の度にトイレに行っては顔を洗って少しでも眠気に抗っていた。

 鏡を見ると目の下にクマができていた。なんて酷い顔をしているんだ。


「平気?」

 トイレから出ると相楽がいた。待っていたのか?

「なんだ。お前もトイレか?」

「そんなこと聞かないでよ。私が拓哉に聞いてるの」

 俺達は親友。なのに朝お前が見せた一瞬の視線で気持ちが揺らいでいる。

「・・・平気だ。次が終われば昼休みになる。飯食って少し寝る」

「ふうん。じゃあ朝の話は?」

「それは・・・」


「やっぱ日下部と相楽ってデキてんじゃねぇの」

 急に話に割って入ってきたのは佐々木だ。

「またその話題か。言ったよな俺と相楽は親友だって」

「ホントか?端から見たら付き合っているとしか見えねぇけど。相楽はどうなんだ?」

「え?私」

 つい相楽のことを見る。なんて答える?俺は相楽の答えに期待している・・・一体何に期待している?

「もちろん親友だよ」

 相楽は即答した。当然の答えだよな・・・でもそれがいやにモヤモヤする自分が分からない。

「ふ〜ん。親友ね。クラスの連中みんな俺と同じこと思っているけどな」

「ああ・・・それね。昨日今井さんにも聞かれた。やっぱり私と拓哉ってそんな風に見えてるんだ。今井さんにも親友って言ったよ。佐々木君にも納得してもらいたいんだけど」

「佐々木君。だって。ホント中学の時と別人だな」

 佐々木は笑っている。相楽は黙ったまま佐々木のことを見ている。

「もういいだろ。予鈴も鳴ったから教室に戻ろうぜ」

「そうだね。戻ろ、拓哉」

 相楽は自然と俺の腕を取る。

「それそれ。その態度がなんかムカつくんだよな」

「なにが?私達には普通のことだけど。ねえ拓哉」

 なんて答えたらいいか分からないけど俺は喜んでいるのか?

 それは相楽が昔と変わらず接してくれているからだ。ここまでの密着なかったが、相楽のことをそういう目で見ているヤツに取ってはかなり口惜しいだろうな。

「相楽、お前さ」

「なに?まだなんかあるの?授業始まるんだけど」

「まがい物」

 佐々木は捨て台詞を言って俺達より先に教室に戻ってゆく。

「なにあれ?まがい物って、なんのこと?」


 ・・・まがい物


 あの時もそんな言葉があった。そうか・・・言ったのは佐々木だったのか・・・


 小さい頃の記憶なんてうっすらとしか残っていないのにその言葉ははっきりと覚えている。


 相楽はなにか文句を言って舌を出している。今の相楽にはピンと来ていないのだろう。


「なんか腹立つ。昔とは違うって何回も言ったよ。全然分かってないよねあの人」

 見上げる相楽の視線はいつもと同じで呆れているのと腹立たしさで満ちている。

「朝の話。まだ聞きたいか?」

「朝・・・ああ。もちろん聞きたい。私も今日から写真部の体験入部だから。終わったら一緒に帰ろう」

「・・・分かった」

「今の私は昔のこともっと知りたいんだ。楽しみにしてる」

 本鈴が鳴った。俺は相楽に引っ張られる形で教室に戻る。

 廊下の窓から見える空は青一色に染まっている。青色って確か気持ちを落ち着かせる効果があると聞いたことがある。

 今夜は早く寝て元に戻ろう・・・今夜?今夜ってなんだ?何か引っかかる。


 そうだ・・・満月の反対。新月なんだ。あのカードのことが不意に頭を過る。

 何か起こるのか?そんな気がしてならない。これじゃあの時の相楽みたいじゃないか。

 もしかして相楽も言葉にしていないけれど何か感じているのだろうか。

 なんとなく釈然としない気持ちで午後の授業が始まった。

二月が終わって三月が始まる。ってか、もう?

読んでいただきありがとうございます。

時間の速さに驚いている。←いつもです。

時期的に冬アニメは『転』のフェーズに入っていて目が離せません。

でも最後まで見るのは10本くらいかな。

皆さまは今期のオススメはなんですか?

私はまあ、いろいろですね。

さてテンション上げて書くか。ではまた来週お会いしましょう。

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