表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタシ死ねないみたいです。あと○○になる方法、探してます。  作者: マナマナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/36

やっぱり女の子なんだ

 お風呂から上がって気分はさっぱりしたけれど、気持ちまではさっぱりさせてはくれない。

 私はカレンダーを見てみると数字と曜日以外の記載はない。なら、と思ってパソコンを開く。


「次の満月は来月なんだ。長いなぁ。満月の日には絶対何かあるんだよね」

 月の満ち欠けや星座や星の動きなどを纏めてあるカレンダーをディスプレイ越しに眺めていると今月の後半には新月がやってくる・・・これも引っかかるなぁ。

 もしかして新月になったらまた私は記憶に残らないようなことがあるのかな。いい加減記憶の欠落は嫌だ。これを回避するには・・・って言っても具体案なんて簡単には出てこない。


「時間ならまだある」

 頭の中は考えているようで何も思いつかないので真っ白なまま。


「あ・・・スマホ」

 震えている。

 拓哉からの返信だった。開いてみると実に簡単に『役に立ったなら良かった』とだけあった。

 ま、既読がついただろうから返信なんて必要ないかな。

「あ、いいこと思いついた」

 もしかしたら拓哉に相談したら良いアイディアが出てくるかもしれない。


 返信しないつもりだった私は『今度一緒に考えてもらいたいことある』と送ると少し時間を置いてから『分かった』とだけ簡単な返事が返ってきた。

 ま、一応了承してもらったということで『おやすみ』的なスタンプを押して終了。

 

 ベッドに寝転んで真っ白な天井を見ていると意識が戻った日のことを思い出した。あれからもう二ヶ月近くは経ったんだ。早いなぁ・・・ 

「もうそんなか・・・今をもっと楽しまないと・・・時間なんてあっという間に消えてく・・・もっと、もっと私は私として生きなきゃ・・・ならない・・・」

 白い天井は何も描かれていないキャンバスみたいに見えてくる。あのワンピースだって同じ。白。


 白いって可能性を感じる。これからいろんな色で染められゆく。生きた証みたいに。


「・・・叶えようよ・・・あなたが望んでいたことって今は分かんない。でもね。いつか今の私の希望や願いに繋がってくるようにも思う・・・っていうか思いたい」

 手鏡で自分の顔を映してみる。私の瞳に映るのは『一緒に見つけよう』って期待した顔があった。それはただ単に私の今を映しているのか、それとも前の私のことを映しているのか。

 優しく微笑んでいる顔。次第に私は私に吸い込まれてゆく。

「おやすみ。また明日」

 鏡の中の自分と唇を重ねてみると恥ずかしいよりも安心する心地良さを感じている。その気持ちのまま私は眠りに落ちていった。


「いい加減起きて欲しいんだけど」

 お母さんの声に起こされる。昨夜はとても気持ち良く眠りに着いたのに目醒めはなんとも悪い。朦朧とあっちこっとに散らばっている意識を必死に掻き集めてやっと言葉を紡いだ。

「・・・なに勝手に入ってくるのよ」

「勝手になんて入ってないわよ。ちゃんとノックをして入ったわよ」

「知らない。聞こえない。OKもしてない」

「朝から文句ばっかり」

 お母さんは断りなしに私の布団をはぎ取ってゆく。

「文句じゃない。私にだってプライベートある」

「そうかもしれないけど、今日は良い天気なの。私はシーツの洗濯をしたいの」

「だからってこんな強行軍なの」

「仕方ないでしょ。何回起こしに来ても起きないあんたが悪い」

 気が付くと私はベッドの上を転がっていてお母さんは手際良くシーツを搔っ攫ってしまう。

 寝起きの私に抗う術なんてコレっぽっちも残されていなかった。


「じゃ、もらってく」

 お母さんは楽しそうに笑っている。なによ、その顔。

「・・・そんなに可笑しい?」

「そうじゃなくて・・・う〜ん・・・あんたに言ったらまた機嫌悪くなるし」

「どういうこと?いいから言ってよ」

「懐かしいって思って。前のあんたもよくこうやっていたから」

 前の私の話か・・・そっか・・・ちょっと前の私なら文句の一つでもすぐに言っていたかもしれない。でもその気持ちは昨夜変わったんだ。


「別に怒んない。もういいの。今は昔のこと知りたくなっているから。それで?前の私はこういう時どんな文句言ってたの?」

 お母さんは意外そうな顔をして私の顔を覗き込む。

「な、何よ?近いから」

「今も昔も関係ない。美有はずっと美有のままなんだって思って」

 確かに私は昔と比べられることによって自分の存在が否定されているみたいだったから嫌な気持ちになっていた。

 でも自分が自分として馴染んでいる日々を過しているうちに少しずつ考え方や感じ方が変わってきていた。

 前の自分と繋がることができるならもっと繋がってみたいって思うようになったんだ。だから今は前の私のことをもっと知りたい。いろいろ聞いてみたい。そうすることで私はもっと私自身に近づけるんじゃないかって思ってる。


「いいから。答えてよ」

 やっぱり楽しそうな顔をしている。もしかして前の私ってあんまりお母さんと話しなかったのかな?

「前はこうやっても寝てたわね。ホントは起きてたかもしれないけど意地でも寝てやるって感じで。私が部屋から出てしばらくして『腹減った』って何事もなかったかのように起きてきてたわね」

「そうなんだ。結構意地っ張りだったとか」

 その光景を思い描いてみる。私には想像できない。あんなことされたら絶対起きるっつの。でもなんか可笑しいし微笑ましいし可愛いとも思ってしまう。なんか不思議だよね。かつての自分のことなのにね。


「あんたこそなんで笑っているのかな?」

「想像したらそれってさ可愛いんじゃないかなって思った」

「そういう見方のあるのかも。でもねぇ。私からしたら太々しいって。心はどうあれ、実際は女の子なわけでいつか治ってくれたらいいのにって・・・思ってた」

「で?今はどうなの?」

「ん〜・・・五十点」

 なにその辛口採点。ちょっとムカッとしたんですけど。

「は?意味分かんない。今の私は心もちゃんと女なんだよ。なんで100点じゃないわけ?」

「まだまだ女を磨く余地があるからよ。じゃ、もらっていくね。洗濯そろそろ一回目終わるから。それと朝ご飯出来てるから食べるんならちゃんと着替えてからにしてよね」


 お母さんは部屋を出て行ってしまう。後ろ姿ですら楽しそう。

 残された私は頭を振って今までのやり取りを思い返してみる。


 分かってるよ、そんなこと。こんな髪グシャグシャの姿、お父さんには絶対に見られたくない。

 そんなの乙女心が許さない・・・女を磨くか・・・もちろんやりますとも。私はもっともっと可愛くなってやるんだから。

 今に見てなさい。お母さんが私のこと心配でしょうがなくなるくらいの娘になってやる。

 目指せ美少女だっつうの!!!

アップした本日は穏やかな天気です。暖かい。

読んでいただきありがとうございます。

こんな日は散歩に限ります。空は青くて時間も緩慢で。

ちょっとだけ自分が社会の輪から外れてしまったような感覚。

好きだな。

足並みを変えるだけで見えないものが見えてくる。

見慣れているものすら新鮮に映るなぁ・・・

さ、次回もアップがんばろう。パフェでも食べてね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ