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ワタシ死ねないみたいです。あと○○になる方法、探してます。  作者: マナマナ


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最初にお前と出会った頃

「それにしても今日は暑いね。まだ四月だよ」

 相楽はそんなことを言いながらスカートの裾をパタパタしている。もちろん足以上は見えないけど。

 俺はお互いのドリンク以外の食べ終わったハンバーガーの抜け殻達を捨ててテーブルに戻って来たところだった。

「なあ」

「ん?」

 う〜ん。こういう場合なんて言ったらいいのか?

「・・・スカート」

「スカート?それがどうしたの?っていうかやっと気がついた?」

「は?そんなの初めっから分かってた。なんで今日に限ってスカートなんだよ」

「だってお母さんがスカートしか買ってくれなかったから」

「スボンも持ってるだろ」

「聞いてよ拓哉。今日一緒に出掛けるって言ったら『デート』なんて言うんだよ。そんなんじゃないのにね。おかげで新しい服買ってもらえたわけだけど。全く困ったもんだよね」

 確かに俺達にとっては今はデートなんて言わない。親友同士ならそんなことにはならない。もしかして端から見たらそういう風に映るものなのだろうか。

「ちょっと、さっきから待ってるんだけど」

「何をだ?」

「もう。鈍いなあ。私が不可抗力とはいえスカート履いてきたんだよ。ほら。なんかないの」

 よっぽど感想が欲しいのだろうか。俺は今言える最善の解答しか思いつかない。至って単純。でも言う相手が親友だとなかなか言葉にしにくいことだけは理解してもらいたい。

「・・・似合ってるな」

 こう言うしかないんだろうな。なんでこんなラブコメみたいなことしなきゃならないんだ?おい、もしもし、頼むから満足したような笑顔はやめてくれ。

「私、拓哉と会う前に自分が生まれた頃のアルバム見てきたんだ」

 相楽はアイスティーを一口飲んで

「やっぱり私は女の子なんだって」

「当たり前のことを言っているように聞こえるが」

「でもさ、どこでそんな風になったか分かんない。二歳くらいの私はちゃんとスカート履いていた。それに髪だって結っていた。私は切るの嫌がったんだって。腰くらいあったみたい。全然覚えてないけどね」

 俺と幼稚園で初めて会った時はまだ女の格好をしていたと思う。かなりうろ覚えだけど。それから割とすぐだったかな、相楽が突然自分の髪をハサミで切った。工作かなんかだったか、子供用のハサミでいきなり前髪を切ったんだ。先生はもちろんアイツの母親もビックリしていたな。みんな呆然としているのに相楽はどんどん切っていった。床一面に切った長い髪が散らばっていた光景が記憶として残っている。

 次の日、相楽は幼稚園には来なかった。そして再び顔を合わせた時には、俺と同じくらいの短髪になっていた。本人はとても気に入っているみたいだった。俺のところに来て『どうだ?同じだぞ』って言ったことを覚えている。それから相楽の長い髪なんて見たことなんてなかった。

「ねえ、聞いてる?」

 相楽の言葉に我に返った。逆光で見たちょっと拗ねたような顔は初めて会った女の子だった相楽の顔と被る。なんだか前の相楽の方が一時的だったような気さえしてくる。

「悪い、途中から考えごとしていた」

「もう。人がいろいろ話してるのに?まあいいけどね。子供頃の話なんて大して面白くなんてないもんね。お腹も満たされたことだし、そろそろ行こっか」

「わかった。今度はどこに行くんだ?」


 俺達はショッピングモールを軽く一回りした。時々服屋の前に立ち止まると『こういうのどうかな』なんて聞いてくる。そんなの分かるはずないだろう。俺は適当に相づちを打っていた。その度に『ちゃんと見てない』って文句を言っていたけど、実際に服を選ぶ相楽はとても楽しそうだった。女の買い物に付き合わされている男の気持ちをなんとなく理解した。


 それから俺達が移動したのは昔からの馴染みの近所の街中だった。お互いずっと住んでいる街なのに相楽は必ずといっていいくらい『なんか知っている。懐かしい感じ』みたいなことを言っていた。

 陽がだんだん傾いてくると風が急に冷たくなってきた。

「う〜・・・足、寒い」

 相楽は両手で両足を撫でている。そんなこと言われても俺には何かをしてやることなんて出来ないと思っていたが

「ねえ、ジャージ貸して。持ってるでしょ」

 なぜ俺が持っていることを知っているのだ?練習は短パンだったから履くことなくカバンの中で眠っていたわけだが。

「よく分かったな。持ってるの」

「なんかさ、前の記憶なのかな。そうなのかなって思ったんだ。絶対持ってるって。」

 俺はカバンからジャージを出して渡すその場で何の躊躇もなく履いた。

「やっぱ大きいねぇ」

 裾を何回か折ってたくし上げる。

「ありがとう。助かった。これ洗って返すからこのまま貸してね」


 またしばらく歩いていると

「最後にあそこに行きたい」

 相楽はある方向を指差す。その方向にあるのは

「もしかして天文台か?」

「うん。今日の締めにこの街の全体を見ておきたいんだ」

 天文台って俺達がずっと呼んでいる場所がある。

 そこは本物の天文台とは程遠い。望遠鏡があるわけでもないし天体観測をしているわけでもない。この街にあるちょっと小高い場所。観測はしないが街灯りが少ないため実際に星はよく見えるからそんな呼び名がいつしか付いたと聞かされていた。

 普段はあまり人気はないところだが夏はちょっと違う。中学生くらいに聞いた話しだと大人のデートスポットになるらしい。だから夏はあまり行くなと大人達から言われていた。今はまだその季節ではない。だから行っても問題はない。

 でも・・・ホントにいいのか?お前は本当にその場所でいいのか?聞きたいのに俺は口にすることができない。

「・・・分かった」

「どうしたの?疲れたとか?ごめん。けどもうちょっと付き合って欲しい」

 あの日のこと・・・俺は昨日のことのように脳裏に蘇っていた。

 先を歩く相楽の姿・・・楽しそうだな。今のお前はあの時のことは何一つ覚えていないのかもしれない。

 俺はただ黙ってお前の後ろを歩いてゆくしかなかった。

やってきました2026年。新年あけましておめでとうございます。

読んでいただきありがとうございます。

アップした今日は初詣に行こうかな。

実はどこの神社に行くか決めています。ご利益欲しいな。

嬉しいことが溢れる一年になって欲しいな。←欲張りな私。

そんな気持ちで過していきたいですね。

浮かれていますが今年もよろしくお願いします。

お賽銭。奮発します!!!

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