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キューピッドの不祥事

作者:綾田宗
 高校一年生の少女、山村愛美(やまむらまなみ)は高校の特待生学費免除を受け、寮で一人暮らしをしていた。
 父は愛美が幼い頃に自殺し、母親は水商売で出来た愛人の男と、愛美が中学生の時にどこかへ蒸発した。
 親類からもよその子扱いを受け、愛美は一人で生きていく道を選んだ。
 そのために選んだのが、低偏差値の私立校から特待生制度を受ける事だった。
 猛勉強の末、特待生となり授業料は免除となった。しかし、寮費までは免除の対象にならずアルバイトで生活費を稼いでいた。
 とあるアルバイトの日、バイト先に向かう途中、胸になぞの衝撃を受けて横断歩道の真ん中で止まってしまい、左折してきた大型トラックにはねられ、愛美は死亡してしまう。
 幽体離脱し、愛美は自分の死を目の当たりにする。
 事故現場に、金髪に肩出しの衣を来て、手には洋弓を握る少年風の者がいた。
 彼は、愛の神クピド、別名キューピッドであり、自身の神の力で愛美に結婚相手を作るべく弓を射ったのだが、それが原因で交通事故に発展してしまった。
 クピドは、約五百年ぶりに愛の神の仕事をしようとしたのだが、五百年で文明が進化した人間界で、巨大な車が非常に速いスピードで走れることを知らなかった。
 知らなかったとはいえ、死ぬ運命になかった人を死に追いやってしまい、愛の神クビになるのかと額に手をやって落ち込むクピド。
 そんなクピドへと空から彼の母親にして美の女神ヴィーナスが、グーパンチと共に下りてくる。そしてクピドの首根っこを掴み、一緒に愛美に土下座する。
 更に、神々の王、ゼウスが人間界にやって来る。
 ゼウスは、五百年前のイングランドで勃発した内戦を両陣営の婚約によって終わらせた功績を讃え、クピドに一年間の猶予期間を与える。
 その猶予期間でクピドに与えられた試練は、愛美に結婚相手を魔法を使わず見つけ出すものだった。
 三柱の神々が死後次々に現れて圧倒される愛美であったが、ここで異を唱えた。結婚するなど死んだ方がマシだと言った。
 しかし、神の不祥事によって死んだ魂は輪廻から外れ、来世は醜い虫になると言うゼウス。無論どちらも嫌だと言う愛美。
 クピドの方も人間と結婚するのはお断りであった。
 二人の強い反発でゼウスは妥協案を出す。それはクピドの力で愛美に恋人を作る事だった。
 更にゼウスは一言残す。愛美の慈悲の心を試す、と。
クピドとの最悪なる出会い
2025/05/25 20:17
波乱の夏休み
2025/06/25 21:38
多忙の学園祭
2025/07/27 22:52
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