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第71話 すんごい手紙。

 王都では国家錬金術師という肩書がある。

 名前の通り、俺のような野良ではなく、国に仕えている人たちのことを指す。


 ただもちろん真理の扉を開いて手をパァッンとする人はいない。

 指パッチンで火はつけないし、筋肉に勢いを任せて地面を殴っても土がうごめいて攻撃したりしない。

 当然、喋る鎧の人もいない。



 彼らは幼いころから英才教育を受けている。

 王家に仕える騎士と同様、すべての技術は国の繁栄のために向けられる。

 軍向けの開発などが主にそうだ。


 王都には魔力を鉄砲のように放つ武器や戦闘で使われる砲台のようなものがある。

 それらはすべて国家錬金術師が作り上げたものだ。


 一年に一度行われるパレードで打ち上げをしているのを見たことあるのだが、圧巻の一言だった。

 ただ俺は、一度見ただけでレシピと作り方がわかってしまったが。


 国家錬金術師とは、どんなものも作り上げるスペシャリストだが、武器防具に特化していると考えればいいだろう。

 噂によると王からのご指名もあるのだとか。


「……え? 王家?」

「ベルク様これ……大丈夫なんですかね?」


 そしてポーション作りに精を出していた俺の元にすんごい手紙が届いたのだった。


   ◇


「ベルク様、レナセール様、そのままお待ちくださいませ」

「は、はい」


 銀甲冑に身を包んだ王騎士が、俺とレナセールを王城の応接間に案内してくれた。

 これはなんだ? 夢か? 夢なのか? いや、夢ではないよな?


「ベルク様、これは夢ではありません。現実です。そしてここは、王城にある応接間です。そしてお菓子は最高に美味しいです」

「結構冷静だなレナセール」


 隣の彼女は、笑顔でクッキーをぼりぼり食べていた。

 よくこんなときに喉が通るな。


 手紙の内容はシンプルだった。

 要は俺に作ってほしいものがあるとのことだ。


 錬金術師になれば珍しくはない依頼任務。

 俺も何度か冒険者ギルドを通じて、大きなポーションを作ったことがある。

 だがその依頼相手は貴族だったし、王家から直属なんてありえない。


 もちろんすぐチェコに相談した。


『むふー、まあ悪い話ではないと思いますよ。ただ、ちょっと不安ですねえ』

『というと……』

『国家錬金術師、知ってますよね。普通はそっちに頼むのが筋なんですよ。それを通り越してってなると、想像がつきませんよねえ』


 とのことだ。

 一体何が起こるのかさっぱり。


 一番助かるというか嬉しいのは、エアコンを作ってほしいと言われることだ。

 それなら納得できるし、優勝したからこそありえる。


 国家錬金術師でも難しいだろうからな。

 でもそれならギルドを通じて連絡が来るはず。


 うーん、さっぱりさっぱり。


「ほんと、何を言われるんでしょうね。そしてこのチョコレートも、最高に美味しいです」

「やっぱり冷静だな。でも、とりあえず俺も食べとくか」


 考えても仕方がない。それに俺は普通の錬金術師だ。悪いことはしていないし、なんだったら優勝経験もある。

 レナセールも無事に錬金術師になっている。何も恐れることはない。


 んっ、このチョコレート美味いな。


 ――コンコン、ガチャっ。


「――すみません、遅れてしまいましたっ!?」


 勢いよく扉を開けて現れたのは、見た目はレナセールよりも少しだけ年上だろうか。

 それでも少女と呼ぶことのできるほどの幼さの女性だった。


 艶やかな黒髪、気品のある純白の装い、ドレスといっても差し支えないだろう。


 そして後ろから慌てて追いかけてきたのは、先ほどの騎士だ。


「リティア様!? あ、謝るだなんて!?」


 慌てて立ち上がり、レナセールと一緒に頭を下げる。


「ど、どうもベルク・アルフォンです」

「レナセールです」


 王妃? いや、若すぎる。

 娘? いや、違うか。


「こちらが遅れたのですから、当たり前です」

「し、しかしそれでは――」

「私は、自分を甘やかしたくはありません。――お呼びしたのに大変申し訳ございません。頭を上げてもらえますか、ベルクさん、レナセールさん」


 許可をもらってふたたび顔を上げる。とんでもなく綺麗だ。

 にしても凄く丁寧だな。王家にこんな人がいるのか。


 それから対面に座って、自己紹介をしてくれた。


「私はリティア。第三皇子の妃としてこちらに嫁いでまいりました。このたびは突然のお手紙にもかかわらずありがとうございます」

「いえ、とんでもない」


 第三皇子とは驚いたな。確か、かなり頭もよくて一番国王に近いとされていたはずだ。


「突然のお手紙、驚きましたよね。内容を詳しく書かなかったのには、理由があるんです」

「お聞きしても?」

「はい。それでさっそく申し訳ないのですが――」


 ごくり。俺は息をのんだ。

 

 そしてそのお願いは、俺にとって、いや俺の人生の中でもとてつもない出来事だった。

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