第67話 心配ゼニスさん
翌朝の食事も豪華だった。
昼間までリーリとラーラの工房で錬金術談話をした。
驚いたことにレナセールは、日に日に知識を身に着けている。
「レナセールさんは博識ね。リーリでも驚くわ」
「三級になったばかりとは思えません。ラーラはびっくりです」
「とんでもない。お二人にはかないませんよ」
うかうかしていると一級錬金術師となって、俺が助手になってしまいそうだ。
昼食後は街に観光へ。
この国に来てから驚いたことはたくさんるが、何よりもびっくりしたのは――。
「もしかしてリーリとラーラじゃないか? 初めてみた」
「ほんとだ。可愛い、お人形さんみたい」
「へえ、あれがリーリとラーラか」
周りの人たちが、二人に驚いていることだ。
確かに可愛いし目立つが、それよりも初めて見た?
「リーリ、聞いていいか?」
「何でも聞いていいわよ。リーリは何でも応えるわ」
「ラーラも答えますよ。何でもは無理ですけど」
「もしかして、あんまり外出ないのか?」
「最後に出たのは半年ぶりくらいかしら」
「いいえ、半年と14日ぶりです」
まさかの返答に驚いた。
え、半年!?
それに対して、レナセールも反応する。
「どうしてなんですか? 何かその、ご病気とかでしょうか?」
「いたって健康よ。錬金術が楽しいからだわ」
「そうですね。お使いはゼニスがしてくれますので」
ただの出不精なんかいっ!
そういえば外に出る前「リーリ様、ラーラ様がお外に!?」とゼニスさんが驚いていた気がする。
ゼニスさん、過労で死なないようにしてもらいたいな……。
そこから機械仕掛けの時計台や、列車を見せてもらったりした。
リーリとラーラはこの国でかなり有名らしく、また貢献もしているとのことで、施設は殆どタダで利用できた。
さらに寄付金もしているらしく、街ではシスターからお祈りもされた。
天才双子錬金術師で究極の善人か、凄いな。
「ねえこれゼニスのお土産にしない? 箱を開けたらお化けが出るみたいだわ」
「そうですね。これはゼニスが喜びそうです」
多分、ゼニスさん以外には。