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第66話 ごめんねレナセール

「たいっへん申し訳ございませんでしたあああああああああああああ、とんだご無礼をおおおおおおおおおベルク様、レナセール様ああああああああああ」

「ちょっ、ちょっと頭をあげてあげてくださいゼニス(・・・)さん!」


 緑髪リーリ、赤髪ラーラ。

 そして執事であり二人に無茶ぶりをさせられたあげく申し訳なさそうに土下座を始めたのは、白髪の老人――執事(・・)のゼニスさんだった。

 どうやら無理やり演じさせられていたらしく、申し訳なかったとのことだ。


「このたびは、このたびはあああああああ」

「だ、大丈夫ですから!? あ、頭をあげてください!?」 

「ああ、心優しきお言葉でございます。大変身に余る光栄でございます」


 すげえ申し訳ない。といっても、俺が仕掛けたわけじゃないが。


「ラーラのせいでゼニスが泣いてるじゃない」

「そんなことありません。これを考えたのはリーリですよ」

「もうこんな事させるのはやめてください! 肝が冷えますよ!」

「ごめんねゼニス」

「ごめんなさいゼニス」


「まあ、そこまで言ってくださるのならば良いですが……」

「ありがとゼニス」

「ありがとですゼニス」

「反省してないみたいですね」


 どうやら二人はなかなかのお転婆娘らしいが、仲は良さそうだ。色々と大変そうだが。

 ゼニスさんはそれから失礼しますと前置きして、テキパキと紅茶と菓子を人数分用意した。シゴデキおじさんカッコイイ。


「しかしレナセール、よくわかったな」

「いえ、とんでもないです。ただ見ていただけですよ」

「それでも凄いよ。そもそも、なんで執事の顔を覚えてたんだ?」

「ベルク様に脅威をもたらす可能性があるかもしれませんから、出会った人、関わった人の顔はすべて覚えるようにしています」


 サラリととんでもない事をいっているが、確かに一度記憶したことは忘れない。

 その矛先が、いやその愛情が俺に向けられているのは嬉しいような、ちょっと怖いような?

 

 っと、それより――。


「リーリさん、ラーラさん、改めてよろしくお願いします」

「よろしく。敬語はいりません。私たちのほうが年下なので」

「私は敬語を使いますが、ベルクさん、レナセールさんは普段通りで大丈夫です」

 

 レナセールはいつも通りという事で丁寧に。

 俺もそうしようとしたのだが、チェコさんの知り合いなら仲良くなりたいので普通で、と言われて遠慮なく。


「なら遠慮なく。――二人(・・)の年齢から聞いても良いのか? 失礼だったらすまないな」

「私リーリが16歳で」

「私ラーラが16歳です」

「つまり16歳か」


 コントみたいになってきたな。ゼニスさん、毎日ツッコミ大変そう。

 しかしレナセールは楽しそうだった。確かに話していて面白い。


「ベルクさんとレナセールさんの事はよく知っているわ。冷気送風機は凄かった」

「剣術大会優勝、オール満点で錬金術師となったレナセールさんは有名です。私たちこそ、あなたにお会いしたかったんです」

「そうなのか。それは光栄だな」

「はい。嬉しいです」


 二人は俺たちの事をよく知ってくれていた。なのにこっちは何も知らないのは申し訳ない。


「庭のチャイムは、二人が?」

「あれはリーリが作ったのよ。凄いでしょう?」

「いいえ、ラーラが作りました。でも記憶が確かなら二人で作りました」


 天才双子とは聞いていたが、現代知識と同じような物が作れるのは間違いなくそうだろう。

 紅茶と菓子を頂いた後は、工房を見させてもらった。

 チェコの工房と違ってかなりごちゃごちゃはしていたが、面白いものが沢山あった。


「共鳴のアミュレット?」

「そう。リーリが考えたのよ。凄いアイテムよ」

「いいえこれはラーラが考えました」


 二つのアクセサリー、全く同じものだが、レナセールと首からかける。

 すると驚いたことにお互いの位置が何となくわかったのだ。


 今はまだ実験段階らしいが、5キロ程度なら把握できるという。


「リーリはやっぱり天才ね」

「考えたのはラーラですが」


 他には二つの指輪を見せてもらった。装着すると共鳴し合い、魔力を媒体に光を送り合えるらしい。

 これは相当な範囲が可能らしく、信号を送ることで危険を知らせたりするとのことだ。

 もちろんあらかじめ決めていれば安全だというサインでも可能。


 おもしろい、なんておもしろいんだ。


 今までにないアイディアばかり。


「それで、ラーラにも教えてもらえる? ベルクさんのやり方とか」

「リーリも知りたいです。もちろん、レナセールさんのも」

「え、わ、私ですか!?」

「はい。同じ錬金術師ですから」

「レナセールさんの話も聞きたいわ」


 彼女たちは一級錬金術だ。なのにレナセールの話にもしっかりと耳を傾けていた。

 なるほど、チェコが紹介してくれるわけだ。


 ゼニスさんは時折やってきてはテキパキと片付けをしたり、何かあればお申しつけ下さいと言ってくれた。

 ほんと、いい人ばかりだな。


 気づけば夜になっていた。大事なことにハッと気づく。


 宿を……決めていない。


「リーリ様、ラーラ様、御夕飯の準備ができました」

「あら、もうそんな時間なの?」

「楽しい時間はあっという間に過ぎますね」

「ああ、だったらそろそろおいとま――」

「食事はもちろん、寝室のご準備もしております。滞在は七日と聞いております。良ければごゆっくりおくつろぎくださいませ」

「「……え?」」


 思わずレナセールと顔を見合わせる。すると、リーリが俺の腕を掴んだ。


「ほら行きましょう、食事をしながら錬金術の話の続きよ」

「遠慮なく泊まっていってください。この家は安全ですし、お出かけを自由にしてもらって構いませんので」


 反対方向にはラーラが腕を掴む。俺は、レナセールが怖くてチラリと視線を向けた。

 めちゃくちゃ微笑んでいる。


「どうかしましたか、ベルク様。ご飯を食べましょうね。いっぱい食べましょうね。それにしても幸せそうですね。私もベルク様が幸せそうで嬉しいです。ねえ、幸せですか? 幸せですよね。うん、幸せいっぱいのお顔していますね」


 夜、ごめんねちゅっちゅっいっぱいした。

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